ドリームキャッチャー2005年08月31日 19時52分19秒

ドリームキャッチャー(2003)
ドリームキャッチャー DREAMCATCHER
2003 米 監督:ローレンス・カスダン
トーマス・ジェーン ダミアン・ルイス ジェイソン・リー ティモシー・オリファント ドニー・ウォールバーグ モーガン・フリーマン トム・サイズモア

「ドリームキャッチャー」スティーブン・キング
DREAMCATCHER by STEPHEN KING
(新潮文庫)

私は映画の原作を読むのが好きなのだがなるべく映画を先に観るようにしている。原作を超える映画に出会うことは滅多にない。読んだ時に出来ているイメージと合わなくてがっかりすることが多いので何もない状態でまず映画を楽しみたい。

さて「ドリームキャッチャー」である。これも先に映画を観たのだが予告で期待して本編を観たら「何だこれは?」と思った人は相当いたであろう・・・。私もそうだった。ところがその後原作を読んだら、いまいちだった映画が面白かったのかも・・・と印象が変わるという珍しい結果になった。

スティーヴン・キングの原作はかなり長い。「スタンド・バイ・ミー」の少年期のノスタルジックなドラマとエイリアンものを合わせた感じだがとにかく面白かった!中心となる4人の幼友達+αだが例によってアンサンブルキャストが好きなので映画はキャストを知った時から楽しみだった。映画を先に観ておくと読んでいる時にキャストの顔が浮かんでくるがトーマス・ジェーン、ダミアン・ルイス、ジェイソン・リー、ティモシー・オリファントの4人にダディッツのドニー・ウォールバーグはぴったりだった。映画にならなかった個々の人物のエピソード部分は頭の中で映像化してかなり楽しめた。

読了してまず思ったことだが、映画はそれほど原作の本筋を外れていなかった・・・そう思ったのは私だけだろうか?勿論長い話なのでかなりの部分はカットされている。モーガン・フリーマンとトム・サイズモアのふたりについては気の毒な程だが脚色は4人とダディッツの物語を中心に置いたようだ。だとするとベースにある4人とダディッツの物語の持つニュアンスはそんなに損なわれていないように思えるのだ。では何がいけなかったのか?それはエイリアン実体の登場だと断言する。これは同じことが「サイン」にも言えるのだが、あの造形を見せられて一気にしらけたのなんのって・・・途端に今まで物語の持っていたイメージすべてがパアになる勢いで崩れてしまったのだ。

また残念だがラストに向けての展開や後日談になる部分は映像化は不可能だし映画向きではない。そこを大きく変えざるを得なかった脚色の苦労は認めるが、ああしてしまうところは今のハリウッドの限界なのかなーと思ったりして。残念。
それ以外のドラマ部分や得体の知れない事態に直面する人物の不安や恐怖などはローレンス・カスダン監督の手腕が冴えていると思うのだがどうだろう?記憶図書館のシーンは秀逸だ。映画が結局は面白いと思えたのには原作の持つ力と魅力的なキャスティングと彼らを活かしたカスダン監督のおかげだと思う。なので、どっちらけのあの造形物体も後で考えると笑えるシーンと思ってもいいかなぁなんて感じで、B級映画続々のキング作品にしてみたらかわいいものであの程度なら許せる範囲だと思った次第である。

ところで魅力的なアンサンブルキャストだが・・・彼らのことはまた後日!
初出:2005/4/14(木) 午後 8:57


既出コメント:

哀生龍がB級好きだと知って紹介された作品。と言うわけで、はなからB級のつもりで見てしまいました(笑)やっぱりキングの作品は、映画化するとB級になってしまうのでしょうか? ラストには唖然でしたが、B級SFとしては楽しめました! “図書館”は秀逸!! アンサンブルキャストの話題。とても楽しみにしています♪
2005/4/14(木) 午後 11:02 [ aikirin ]

キングのB級じゃない映画は探すのは大変で当たると大きい。つい先日観た「デッド・ゾーン」は大当たり!クリストファー・ウォーケン主演で先の読めない映画だった。SFでもありラブストーリーでもあり政治サスペンスでもありでやっぱりドラマだ。でもオープニングはB級の匂いが・・・。お奨めです。
2005/4/15(金) 午後 9:38 [ mekabucchi ]

「ドリームキャッチャー」のメインキャスト2005年08月31日 20時04分17秒

ドリームキャッチャー(2003)
(左から)THOMAS JANE , TIMOTHY OLYPHANT , DAMIEN LEWIS , JASON LEE

4人の幼友達は成長後も友情関係があり、年に一度は集まって山小屋へ狩りに行く。なんて理想的な関係。山小屋でテーブルを囲んでいる4人のシーンがとても好きだ。この4人のつながりを強固にしたのが不思議な友人ダディッツ。この5人が「ドリームキャッチャー」のメインキャストと言えよう。みんな一人ではいまいちインパクトに欠けるがこのアンサンブルは見事にはまっていた。それぞれの個性が絶妙にバランスが取れていて何倍も魅力的にしている。

事故にはあうわ、エイリアンに身体を支配されるわ、受難の大学教授ジョーンジーを演じたダミアン・ルイスはダディッツを演じたドニー・ウォールバーグとは「B・O・B」でも共演。彼のことはこの2本しか知らないが英国で舞台の土台があるので演技は安心して見ていられる俳優だと思った。ハリウッドとは違った雰囲気を持つ彼の“記憶図書館”のシーンは見所だと思う。もっと出演作品を観てみたいけどこの後見かけませんね。英国内での活動が多いのかな?ドニーも見かけないですがインディーズ作品に潜行中でしょうか?

自分の不思議な能力に疲れ自殺願望のある精神科医ヘンリーを演じたトーマス・ジェーンはここではアクションより内面的な演技を前面に出していたと思うが、ここ最近はアメコミの映画化作品「パニッシャー」でアクション俳優一直線のような気配が。「パニッシャー」ははまり役となったのか続編の製作が進んでいるのだとか。確かにあの鍛えた肉体はアクション向きだとは思うけどこのままその路線に走って行かないでくれー!アメリカンボーイらしいルックスで(悪く言えば個性が薄い)どんな役にも適応できそう。だからと言って「クリスティーナの好きなコト」はどうかと思うが。

爪楊枝のせいで命を落とすなんともキングらしいキャラクターのビーヴ演じたジェイソン・リーだが、まさにビーヴは彼のための役だと思った。出番は最も短いが、友情に厚く憎めない奴という雰囲気がにじみ出るいい役だったと思う。彼を初めて見たのは「チェイシング・エイミー」だった。私はこれのラスト、ベン・アフレックの究極の決断に腹がよじれるほど大笑いした。ベンの親友役がリーなのだが最高におかしい取り合わせなのでお奨めしたい。これを皮切りにケビン・スミス作品には必ずといっていいほどの常連だが、「バニラ・スカイ」や「あの頃ペニー・レインと」などの意外な作品にも出ていたりするので、各映画の製作者側から魅力ある俳優だと認められていたということだろう。まじめな役も笑わせる役も彼がやれば全部ジェイソン・リーにしてしまう面白い個性の人だ。次が何の役であっても期待してしまう。

ものを探す能力があったために可哀想な死に方をしてしまったピートを演じたティモシー・オリファントは4人の中で一番子供っぽくて軽快な奴。みんなに可愛がられる雰囲気を持つ男だった。車のディーラーに勤める営業マンでどこにでもいる一般市民の若者だがその軽さの裏にどこか悲しいキャラクターを感じさせた。
これで一気に注目したのだが、他にはクリスティナ・リッチの「ピンク・モーテル」、「go」、「ブルドッグ」などもうチンピラ役がはまる、はまる(笑)。「go」のジャンキーは目をギラギラさせて危なさ爆発だったが「ブルドッグ」ではヴィン・ディーゼルにボコボコにされたうえ砂漠に埋められそうになり「埋めるな~」と半べそをかく。情けないったらないのだがはまりすぎて笑えた。普通にしてればなかなかハンサム。もう少し役に恵まれてもいい気がするけどチンピラ役の彼も見ていて楽しいので捨てがたい。(笑)
初出:2005/4/15(金) 午後 9:27


既出コメント:

めかぶさんの1人1人に対する愛情溢れる紹介文に、もうウルウルです! 哀生龍が特に好きなのは“どこまでも良い人ジェイソン・リー”と“憎めないチンピラ ティモシー・オリファント”♪♪ 「チェイシング・エイミー」と「go」での二人は、本当に最高ですよね☆ 確かにピートは4人の中で一番子供っぽかったけれど、実はオリファントはメインの5人の中で一番年上だったりする(苦笑)
2005/4/15(金) 午後 10:22 [ aikirin ]

ご期待に沿えてよかったです。このキャストはほんとに素晴らしかったので大好きなの。リーに注目する人は結構いるけど、オリファントを気に入ってる人はなかなかいないと思う。さすが哀生龍さん!地道に応援しようねー。
2005/4/16(土) 午後 7:16 [ mekabucchi ]

めかぶさんもオリファントのファンですか? 宜しければ“あんこさん”のオリファントのコンテンツを覗いて見てくださ~い。http://www.hpmix.com/home/rdamtwins/AI15.htm あんこさんと2人でmixiにオリファントのコミュニティを立ち上げました。約10日経ちますが、まだ2人っきりなんですよね(苦笑)
2005/4/16(土) 午後 10:01 [ aikirin ]

パニッシャーへのTB有難うございます。こちらからも2つほどTBさせてもらっちゃいました(笑)パニッシャーの特典で、音声ではトーマスと言っているのに、字幕では“トム”(苦笑) 今後は、トム・ジェーンの方が主流になるんでしょうか??
2005/6/27(月) 午後 10:28 [ 哀生龍 ]

今後“トム”路線で行くんでしょうかね。私はトーマスの方が好きだけどなぁ。「パニッシャー」はりんさんもお気に召されたようですね。不評にもかかわらず続編製作ということなので楽しみにしてます。
2005/7/2(土) 午前 9:22 [ mekabucchi ]