しあわせな孤独2005年09月03日 12時22分41秒

しあわせな孤独(2002)
しあわせな孤独 ELSKERDIGFOREVIGT
2002 デンマーク 監督: スザーン・ビール
マッズ・ミケルセン ソニア・リクター ニコライ・リー・カース

ラース・フォン・トリアーの DOGME 95 製作作品。以前「幸せになるためのイタリア語講座」でとても好印象を持っていたので安心して観られた。前作はほっと幸せな気分を味わえたのだけど今作はちょっとほろ苦い。

簡単に言うと不倫の話だ。ただし交通事故を起こした加害者の夫と、被害者の恋人が関係を持ってしまうというちょっとやっかいな状況ではある。事故の被害者の彼は首から下がマヒ。絶望から恋人を罵倒し遠ざける。傷ついた彼女を加害者である妻に頼まれて慰めたのがミケルセン。なるべくしてなった感じ。最初は妻に隠そうとする男の浅ましさをこれでもか!というくらい見せつけられるが、何とミケルセンは本気で彼女に恋してしまう。すべてを知った妻はショックを受けるがそれでも家族を守ろうと夫を許そうとする。なのに彼の恋心は揺るがない。ところが今度は彼女を遠ざけたはずの彼の態度が軟化して彼女の心は彼に戻る気配が・・・。

ちょっとねたばれしてしまうが、恋におちた男の気持ち、夫に去られてしまった妻の気持ち、寂しさのために二人の男の間で揺れる女の気持ち、どうにもならない自分からついには彼女を解放しようとする男の気持ち・・・。交錯しながらもどれも結びつくことなくそれぞれが別々の方へ向かっていってしまうというラストはほろ苦く妙な開放感があった。

日本のドラマにもありがちな陳腐な内容だと思うのだが、妙に染み入ってしまったのはデンマーク映画という欧州の香りと主演のマッズ・ミケルセンの魅力によるところが大きい。
デンマークの俳優なんてそうそうお目にかからないのでよくは知らないが、ミケルセンはデンマーク本国では第一線で活躍する誰でも知ってるような俳優だそうだ。今作ではティーンエイジャーの娘を筆頭に3人の子持ちの医者。ごく普通の男だが何だかどんどん恋におちていく様が不倫のくせにいやらしくなく、ドロドロした感じが一切しない。一途な恋に素直なところが魅力的だった。
実は彼はあの悪名高い(?)「キング・アーサー」に円卓の騎士のひとり、鷹を自在に操るトリスタン役として出ていたのだが、あのコスチュームに髭面で今作の彼とはなかなか一致しない。あれをきっかけにハリウッド進出なのか?うーん、いい脚本にキャスティングされればいいけどねぇ。

初出:2005/4/20(水) 午後 8:04


既出コメント:

めかぶさん、こちらでははじめまして♪ 私も『しあわせな孤独』はかなり好きな映画で、昨年劇場鑑賞のベスト10内に入ってます。確かに日本の昼メロみたいなストーリーなのですが、マッツ・ミケルセンの魅力でちょっとずるくて弱い男も可愛く見えてくるのですから、不思議です(笑)。サントラもお気に入りです。『キング・アーサー』はミケルセンとステラン・スカルスゲールドを目当てに見に行きましたが、2人とももったいなかったですね~、あの作品の出来では・・・。^^;
2005/4/20(水) 午後 11:40 [ cinemama930 ]

しねままさん、いらっしゃいっ!ベストテン入りの作品でしたか。こんな不倫男なのに魅力的に見えたミケルセン。そんな人初めてでしたよー。ほんとに不思議。トリアーの影響で北欧系の映画は好んで観るようになりました。さてラテン系はどうでしょう?「悪い教育」が楽しみですっ!
2005/4/21(木) 午後 6:43 [ mekabucchi ]

ジョッシュ・ルーカス2005年09月03日 12時35分54秒

メラニーは行く!(2002)
JOSH LUCUS   1971/6/20 USA

「メラニーは行く!」のリース・ウィザースプーンの田舎の夫。この時の彼が今まで見た中で一番魅力的なルーカスだった。一見野蛮で神経がずぶとそうに見えて本当は、愛だとか信念は口にしないけど行動で示す実直な奴。がんがん悪口暴言吐きまくるくせにその目は“愛してる”って言ってるんじゃん!みたいなかわいい男。ルックスは甘めのハンサム。コメディにも対応でき、アウトローっぽいキャラクターが良く似合っていた。

その甘めのルックスとは裏腹にダミ声に近いハスキーボイスが意外で渋い!この声は悪役や憎まれ役の時に抜群に活かされる。「ハルク」の嫌味な奴。「セッション9」の狂気に走る男、「ディープ・エンド」のゲイ男、「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」のローラ・リネイのろくでなしの前夫がこのタイプ(ほとんどそうじゃん・・・)。「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」はたったワンシーンだけなのに、このダミ声と息子に対する態度だけで強烈なダメ父の印象を残した。

「ウォルター少年と夏の休日」ではハーレイ・ジョエル・オズメント演じるウォルター少年の成長後。“そうかぁ?”と思うか“なるほど!”と頷けるかその辺は微妙だが私はなんとなくいいんじゃないかなーと思って観ていた。いい人も悪い奴も自在に演じ分けが可能のようだ。基本的にはきっちりスーツを着てばっちりキメてるよりもブルーカラーの労働者やアウトローな自由人タイプの方が生き生きして見える。
まだこれだ!という大役はないように思うが、ハリウッドのエンタメ系からインデペンデント系まで大小さまざまな作品に幅広く活躍しているよう。ハンサムに目がない人ならすぐにチェックできるはず。今後のルーカスに注目だ。

初出:2005/4/21(木) 午後 6:52

コール・ハウザー2005年09月03日 12時41分47秒

ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003)
COLE HAUSER   1975/3/22 USA

この人は軍隊もので兵士の一人として見かけることが多かった。最初は「タイガーランド」だったと思うが、「ジャスティス」「ティアーズ・オブ・ザ・サン」と、毎年、泥と埃まみれの撮影が続いていたのだろう。精悍な顔立ちに若さとパワーが伴って、兵士役のキャスティングには恰好の人材だったのだろう。
ハウザーの汚れていない顔を初めて見たのは「ワイルド・スピードX2」の悪役。軍服姿に汚れた顔しか見たことがなかったので最初は彼だとはまったく気づかなかった。何だか悪役にしてはこつぶで、悪役と言うかチンピラにちょっと箔がついた程度にしか見えない。顔がもともと善良そうなんだよね。せいぜい悪あがきするやな奴止まり。あまり悪役タイプには向かないような・・・。
“かっこいいかも”と思ったのは「ホワイト・オランダー」のロビン・ライト・ペンの恋人。アリソン・ローマンが彼とほんの少し心を通わせたがためにえらい目にあうのだが、彼に惹かれるのはわかる気がした。男っぽくて気さくで、おまけにわりとハンサム。そう、結構いい男なのだ。

軍隊の兵士の一人という時代が終わり、さあこれからというところ。悪役はもうひとつだったが、どんなキャラクターがはまるかは今後の彼次第。アクションは身についてそうだからいつでもOKだろうが、ドラマはどうだろうねぇ。「ホワイト・オランダー」で雰囲気だけちらっと見せたもののどうもラブシーンとかが想像しにくい。ワイルドなイメージが出来上がっているのでオフィスでスーツ姿ってのも想像できない。
いろんな監督に出会って新しいキャラクターを作っていって欲しい今後が楽しみな俳優である。

初出:2005/4/22(金) 午後 10:41