テシス2005年11月03日 16時28分01秒

テシス(1995)
テシス TESIS
1995 スペイン 監督:アレハンドロ・アメナーバル
アナ・トレント フェレ・マルティネス エドゥアルド・ノリエガ

暴力描写についての論文を執筆中のトレントは参考資料を見たいために映像オタクのフェレに接近。
論文の指導教授が亡くなった現場から彼女はつい彼の観ていたと思われるビデオテープを持ち去る。
彼女がフェレと見たそれは実際の殺人現場を撮影したスナッフフィルムだった。一体誰が?
トレントとフェレは撮影したカメラを突き止めた。同機種のカメラを持つノリエガに近づいたトレントに危険が迫る。

ストーリーも演出もキャラクターもなかなか面白いスペイン映画だった。サスペンスとしてはスナッフフィルムの撮影者であり殺人の犯人として疑わしい人物が 2、3人。見ている側として、こいつか?あいつか?と思わせる演出。素直に観てしまう私は監督の狙いにまんまとはまってしまったクチです。
アメナーバル監督ってまだ30代?若いんでびっくりした。「オープン・ユア・アイズ」に「アザーズ」。この監督の感覚は結構好きかもしれない。

「バッド・エデュケーション」で初めて見たフェレがまるで別人。こっちの方が人間くさくて親しみが持てる。ぶっきらぼうだけど結構かわいいぞ。ちょっとジョニー・デップに似てた。
ノリエガも「オープン・ユア・アイズ」以来2度目だけどこの人はいつもこんな感じなのか?暗っ!

初出:2005/5/16(月) 午前 0:43


既出コメント:

アメナーバル監督は、キャラの描き方や見せ方が凄く上手いと感じました。チョッとコミカルさを含むテンション高めのフェレの演技は、確かにジョニデに似てます(笑)ノリエガは笑顔を見せる事は多いのに、キャラ的には暗めの場合が多いですねぇ~ なぜかな?
2005/5/16(月) 午前 6:22 [ aikirin ]

アメナーバル監督の次作は?フェレでもまた観たいですね。 「アザーズ」みたいに英国俳優陣でもやって欲しいな。 サスペンスじゃなくてコメディっぽい感覚もいいしね!
2005/5/16(月) 午後 11:59 [ mekabucchi ]

めかぶさん、こちらではお久しぶりです。蝶亀で申し訳ないですが、チェマはホントにジョニデに似てましたよね♪ラスト、アンへラのプレゼントを素直に受け取らない可愛いヤツで(笑)。今でも親友というアメ監督とフェレ、また一緒に組んでほしいなぁ。(今度はコメディで?笑)ところでこっちに一緒に書いちゃってすみませんが、めかぶさん職場が転勤になられたのですね。慣れなくて大変でしょうけど、帰りに銀座の単館系に寄れるというのが羨ましい♪
2005/6/18(土) 午後 6:29 [ cinemama930 ]

しねままさん、いらっしゃい!やっぱりジョニデに似てますよねー。りんさんもそう思うんだからそうよね。ちょっと自信なかったんですけどね。なかなか今は忙しいし精神的に疲れてしまってブログが膠着状態にありましたが、最近新作でいいキャラクターがどんどん登場してきて意欲が湧いてきました。またおつきあいくださいねー!
2005/6/19(日) 午後 1:30 [ mekabucchi ]

ビル・パクストン2005年11月03日 16時41分03秒

タイタニック(1997)
BILL PAXTON  1955/5/11 USA

名前をはじめて意識したのは「ツイスター」の主演だけど実際に見ているのは」もっと前からになる。ただ名前を知ろうとしないだけで・・・。
彼はとにかく目立たない。邪魔にならない。それでいてしっかりと役目を果たす演技をしてくれる。傍役としてこんなにありがたい人っていないんじゃないだろうか?主演になってもそのまま目立たないで終わりそうなのが困ったところだ。「ツイスター」も「マイティ・ジョー」も主役級なのにヘレン・ハント、シャーリーズ・セロンの影に隠れてしまいそう。なんか同じタイプの人がいたなと思ったら、そうでした。ビル・プルマンだった。ルックスだって決して悪くないのにねぇ。もうひとつ華がないのか損な役回りの運命なのかもしれない。

しかしながらパクストンの出演作品は凄い。「ターミネーター」「エイリアン2」「プレデター2」「アポロ13」「タイタニック」「夕べの星」「バーティカル・リミット」「U-571」とハリウッドメジャー映画御用達俳優かいな?と思うようなラインナップ。ジェームズ・キャメロン監督によく使われていたのも一因ですね。

人のよさそうな顔が無難な役にしっくりくるのか被害者的な立場になる役が多かった気がするが、貫禄がついたのか次第に憎まれ役も増えてくる。「バーティカル・リミット」の欲にまみれたやな奴で結構びっくりした。が、富豪には見えないところが哀しい(笑)。やっぱり彼はどうにも庶民向きだ。マイナーな作品だが「運命の銃爪」の彼は都会に憧れる田舎の保安官がこれこそ哀しいほどはまっていた。同じことが「シンプル・プラン」にも言える。偉い人度が上がってきたのは年齢のせいだろうか。「U-571」では“おー!”と思ったのだがちょっと艦長たるカリスマが足りないかな・・・。最近は父親役も違和感がない。「サンダーバード」で20歳を越えるのを筆頭に5人の息子を持つ父親!老けて見えたのは素なのか?ちょっとさびしいかも。

「フレイルティ/妄執」で監督にも進出。サスペンスとして作品の出来はいまいちだった気がするが、パクストンらしさを感じた作品ではあった。地味ながらも、この人はほんとに映画が好きで仕事をしてるんだなという姿勢がいつもうかがえる。“あ、またパクストンだ!”と思わせる活躍を彼のペースで続けていって欲しい。

初出:2005/5/16(月) 午後 11:54


既出コメント:

彼はとにかく目立たない。邪魔にならない →本当にその通り(苦笑) 先日「ワイルド・ガンズ」を見て「あれ?前にも見たような」と思ったら、「サンダーバード」「スパイキッズ2,3」で最近お目にかかってたのですね。それ以前にも何作かお目にかかっていたはずなのに・・・(^^ゞ 今回見た西部劇風(と言うか南部の男)が、一番しっくり着ていたかもしれないです! カッコ良かった!
2005/8/24(水) 午後 0:57 [ 哀生龍 ]

パクストンにコメントが?と思ったら「サンダーバード」だったのね。しくしくしくしく・・・。こんなおやじ状態で認識されてしまうなんてお労しい。でも反論できないもんなぁー。(笑)コメディ路線じゃなくてシビアなヒューマンドラマでもやってみたらどうだろう。
2005/8/25(木) 午後 9:48 [ mekabucchi ]

「サンダーバード」を見たときも、認識してなかったの(汗)今回の「ワイルド・ガンズ」でやっとの事、彼を認識しました。「タイタニック」「最後の晩餐/平和主義者の連続殺人」も見てます。が、どれも彼を見るための作品じゃないですよね(^^ゞ 哀生龍的には、もっと男臭い役を見てみたいです!
2005/8/26(金) 午前 0:17 [ aikirin ]

だはは。あまりに普通すぎて印象に残りにくい顔ではあります。男臭い役のパクストンねえ。「スパイキッズ2」・・・うそうそ!「シンプル・プラン」をお薦めしましょう。
2005/9/1(木) 午後 0:59 [ mekabucchi ]

トムとトーマス2005年11月05日 20時27分36秒

トムとトーマス(2002)
トムとトーマス TOM & THOMAS
2002 英・オランダ 監督:エスメ・ラマーズ
ショーン・ビーン アーロン・ジョンソン ビル・スチュアート デレク・デ・リント

画家の父ビーンと二人で暮らすトーマスには想像上の友達トムがいた。夢に現れるのはもちろん時には彼の痛みを感じたり、想像というにはあまりにもリアルにトムのことを感じていたが、ついに実在したトムとトーマスは出会ってしまった。

最初はファンタジーかと思っていたら、だんだん子供の人身売買というシビアなサスペンスになってきたのは予想外の展開。ファミリームービーともいえるし、ひとひねりある英国製ドラマ。
トーマスと親友のような雰囲気のパパをビーンが好演。ハリウッドメジャーの大作で多くの傍役を務める彼が英国の小品映画で普通のパパを演じている。
英国映画に出ること自体が少なくなってきたビーン。悪役やコスチュームものが定番になりつつある彼のとっても意外な一面。この意外!なところがとってもいいんだなぁ。普通のビーンってかなり魅力的。トムとトーマスが入れ代わり立代わりビーンの前に現れてももちろん気がつかない。よもやそっくりな子がもうひとりいるなんて誰が思う?二人に振り回されているのが観ていて微笑ましく、トーマスの微妙な変化に困惑するビーンがおかしくて楽しい。好感が持てる作品だ。

大作への出演と平行してこんな小品も選ぶビーンの姿勢が頼もしい。応援するからもっとやってくれー。次はサッカーチームのコーチか熱狂的サポーターの役なんてどうよ!

初出:2005/5/17(火) 午後 11:03

「砂と霧の家」とロン・エルダード2005年11月16日 07時40分35秒

砂と霧の家(2003)
(中央)RON ELDARD 1965/2/20 USA

砂と霧の家 HOUSE OF SAND AND FOG 
2003 米 監督:ヴァディム・パールマン
ベン・キングスレー ジェニファー・コネリー ショーレ・アグダシュルー ロン・エルダード フランセス・フィッシャー キム・ディケンズ

父の遺産である家を数100ドルの税金未納のために差し押さえられてしまったコネリーと競売でその家を手に入れたイラン人移民のキングスレー。差し押さえは郡の間違いだったと判り、家を取り戻そうとするコネリーと手放すまいとするキングスレーとの間に争いが起こる。

強烈な悲劇で後味は良くない。ここまでしなければこうはならなかったろう的な事が雪だるま式に重なりすぎて大きな悲劇になってしまう。“家族と家”を描いたストーリーで登場人物のそれぞれに家族があり悩みや問題を抱えている。
一番のばか者はコネリーを愛してしまったエルダードだと誰もが思うだろう。“あんたがあんなことさえしなければ・・・”だが彼も彼なりに、すべては愛する彼女のために良かれと思って行動しただけなのだ。結果は最悪だけれども、それはとても誠実で素直な行動であって彼の気持ちは理解できる。
この作品の登場人物それぞれ。誰が悪いのかなんて一概には言えないと思った。

ロン・エルダードは“ディザスター・ムービーの出演者”でも少しふれたが、こういう地味な作品で人間くさい印象に残る演技を見せる力がある俳優だと思う。
最初に見たのは「スリーパーズ」で冒頭少年時代の悪夢を払拭させるべくケヴィン・ベーコンを撃ち殺す。目立ちこそしなかったが、この作品で成長した4人の少年の一人にキャスティングされたのは彼にとって意味があったと思う。次が前述の「ディープ・インパクト」。「ブラックホーク・ダウン」の墜落したヘリのパイロットと「プライベート・ソルジャー」の憎まれ役の小隊長で戦争映画のアンサンブルキャストでも印象に残る個性が見えた。
暗い作品が多いが「ミステリー、アラスカ」の軽~い奴の彼も悪くない。ルックスも悪くないし、オールアメリカンボーイっぽい雰囲気もある。もう少しこのての作品があってもいい気がするが、本人はシリアスなドラマがお好みか?こんな重厚な「砂と霧の家」で最初に姿を見たときは正直驚いたのだが、彼はあの作品の中でのポイントともいえるあの役割を確実に果たしていると、私は思う。エルダードは演技者として期待できる俳優だと思っている。
が、いまひとつインパクトに欠けるんだろうなぁ。「フォーン・ブース」でキーファー・サザーランドにあの役を交代させられてしまったのは気の毒だが、確かにあのキーファーの声には迫力があった。
次は頑張れ、エルダード!

初出:2005/5/19(木) 午前 1:22


既出コメント:

めかぶさん、こんにちは。2度目のコメントです。またロンについて触れてくださって有難うございます。多分、一発大きな役を得た日には、彼はかなりの注目を浴びるはずなんですが(実際TVシリーズ「Blind Justice」で大きな注目を集めたはず)、本人が作品選びにこだわりみたいなものを持ちすぎているような気もするので、そこらも考慮したり、それよりも映画製作者が彼にもっと注目してくれたら、私たちの夢はかなうと思います
2005/5/22(日) 午後 6:42 [ heartsarang ]

はーとさん、いらっしゃいませ。見ていてくださって嬉しいです。ありがとうございます。エルダードのこだわりと製作者側のタイミングがうまく噛み合ってくれるといいのですがね。でも残してる作品は決して悪くないので製作者の目に留まってくれればきっとブレイクする役が来るはず。ブレイクまで行かなくても重要な役にキャスティングされるだけの力はあるもの。楽しみに待ちましょ!
2005/5/23(月) 午前 1:19 [ mekabucchi ]

ジェフ・ブリッジス2005年11月17日 22時34分53秒

フィアレス(1993)
JEFF BRIDGES 1949/12/4 USA

彼だと意識しないうちから既に何本も出演作を観ていたようだ。気がついたら馴染みのベテラン俳優になっていた。主演でも傍役でも安心して見ていられるいい俳優だ。

演じる役のタイプも様々で役に合わせて体型を変えるのも可能?言うまでもなく「ビッグ・リボウスキ」のことだが・・・。もう、あのでぶでぶぶりったら、目を疑った!こんなきったない彼を見るなら「800万の死にざま」なんかもある。
きたなくはないが事件や犯罪、果ては女に巻き込まれてへろへろのよれよれになる彼を応援したくなる「ブローン・アウェイ」「失踪」「カリブの熱い夜」「白と黒のナイフ」。
デビュー当時の若い頃はちんぴら同然のふらついた若造がかわいい「ラスト・ショー」。「サンダーボルト」はその若さゆえに泣かせる。兄貴分がクリント・イーストウッドだったがこのカップリングが良かった。

大学教授、刑事、医者と職業も様々。実兄のボー・ブリッジスと共演した「恋のゆくえ」のピアノマンはかっこよかった!またミシェル・ファイファーとのショットが絵になる。美男美女のカップルを見るならこの組み合わせはお薦めだな。
クラシックな装いがとても似合う実業家の紳士を演じる「タッカー」「シービスケット」も素敵だ。そして極めつけは「ザ・コンテンダー」の合衆国大統領。大統領役につきものの演説シーンも見応えあり。理想的な大統領を好演している。

正体不明の不思議な魅力の「スターマン」はピュアなブリッジスがかわいい。ファンタジーや不思議な世界を描く作品にもこの人は妙にはまっている。「フィアレス」「フィッシャー・キング」「K-PAX」などがそうだが、ブリッジス自身がどこかそんな不思議な雰囲気を持ち合わせているのかも。基本的にピュアというか透明感のある人柄を感じさせる。

「ラスト・ショー」から30年以上もたちいまやすっかりベテランのブリッジス。もうやってない役はないんじゃないか?アクションをやるにはそろそろ辛そうだが、ルックスはあまり老けたようには見えない。重厚なドラマが増えてきて、魅力も渋みも増してますます素敵だ。

初出:2005/5/20(金) 午前 1:06