ホアキン・フェニックス2006年01月08日 17時57分41秒

グラディエーター(2000)
JOAQUIN PHOENIX   1974/10/28 プエルトリコ

もう彼のことを説明するのに最初にリヴァー・フェニックスの弟と言う必要はないだろう。
リヴァー同様子役からキャリアを重ねてきて、今ではすっかり個性派俳優の仲間入り。

本当にリヴァーの弟なのかと思ってしまう濃い目のルックスは特に彼の個性となってくれたように思う。どこか暗さのある表情はインデペンデント系の小作品で冴え渡り、怪しい毒を放つような役がよく似合う。
「誘う女」のニコル・キッドマンにいいように操られるあの高校生の印象深さには恐れ入った。この系統は「ムーンライト・ドライブ」「8mm」などに続く。

そしてその最たるものが「グラディエイター」のコモドゥスだろう。野心も怒りも悲しみも、そして愛までもすべてひっくるめてコモドゥスという魅力的なキャラクターを自分のものにしている。今までのどの役と比べても、やはり異彩を放つコモドゥスが私は一番好きだ。俗に言う悪役でもこれほど魅力的なキャラクターはそういない。

「誘う女」「ムーンライト・ドライブ」もそうだったが彼はセクシャルな要素のある作品がいくつかあるのに気がつく。中でも「クィルズ」には結構びっくりした。なんたって神父様ですからね。聖職の身でありながら欲望に苛まれてもだえ苦しむフェニックスがなんともセクシーだ。これも彼の魅力のひとつだろう。

だからといって毒気のある役ばかりやっているのかと言うとそうではない。
比較的初期の作品「秘密の絆」のフェニックスも好きなのだが、とても心優しい純粋な青年でリヴ・タイラーに思いを寄せるその表情は初々しくて、こんなキャラクターのフェニックスもいいなと思ったのだった。
新作の「炎のメモリアル」もおそらくこれが一般的な消防士の姿なのだと思うが、素直な演技でとても好感が持てた。子役の頃を知ってるだけに、こんな役もできる俳優になったのだなぁと勝手ながら感慨もひとしおである。

次はどんな役で驚かせてくれるのかなかなか楽しみだ。悪役でもやな奴でもエロい役でもまったくの善人でもなんでもいいよー。どんどん役の幅を広げてくれたまえ。

初出:2005/5/31(火) 午後 10:48


既出コメント:

リヴァーの弟なんですね~。知らなかった。リヴァーも(実は)大好きだったので(←過去形なのがツライ・・(T_T))写真集まで持っているのに・・。(「スタンドバイミー」は我が心の名作第一位です)確かリヴァー兄弟って、自然のモノの名前が付けられてるはず(レインボウとかリーフとか)フアキンも何か意味があるのでしょうかね。。
2005/6/1(水) 午前 9:15 [ xxchishaxx ]

Chishaさん初めまして。兄弟の名前が自然のモノからつけられているとは、言われるまで気づきませんでした。リーフと言うのは、ホアキン自身の名前でしたよね? ホアキンはクイルズしか見ていないのですが、信仰の鎖に縛られた神父は素敵でしたねぇ~
2005/6/2(木) 午前 7:24 [ 哀生龍 ]

ホアキン君は、「ヴレッジ」で真剣に見た俳優さんですね。好青年という印象が強いです。いろいろなされてるんですねえ。今度捜して見て見ます。
2005/6/2(木) 午前 8:46 [ tabou ]

子役時代の名前“リーフ”はホアキンがリヴァーたちを真似て自然を感じさせる名前を名乗ったんだそう。一度活動を中止して復帰。あらためて“ホアキン”に戻した。リヴァーとはとても仲の良い兄弟だったそう。今共演を見られたらどんなにいいだろうにね。りんさん、ちしゃさんのブログへ即GO!ちしゃさんのウェナム激愛に感動しますよ!かわいいphotoもいっぱい!たあぼうさん、オーストラリア人俳優なんかもいかが?(笑)
2005/6/2(木) 午後 11:05 [ mekabucchi ]

哀生龍様、レスありがとうございます。。はじめまして。。リーフ=ホアキンということでしょか?なるほど~。。兄弟共演観たかったです~。。(叶わぬ夢)今後ホアキンくん大注目です。。
2005/6/3(金) 午前 10:37 [ xxchishaxx ]

ネバーランド2006年01月08日 18時21分54秒

ネバーランド(2004)
FINDING NEVERLAND
2004 米・英 監督:マーク・フォスター
ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット フレディ・ハイモア ラダ・ミッチェル ジュリー・クリスティ ダスティン・ホフマン イアン・ハート ケリー・マクドナルド

「ピーター・パン」の原作者ジェームズ・バリがこの作品を書き上げるにはもうひとつのドラマがあった。ピーターにはモデルになった少年がいた。バリが知り合ったその少年は父の死による悲しみから抜け出すために早く大人になろうとしていた。頑なな少年の心をバリは彼なりの接し方によって解きほぐしていくのだが、少年に運命はあまりにも残酷だ。

予告からやばいと思っていたが序盤のジョニデが熊とダンスする場面からもうぼろ泣き。最後は洪水のようになってしまった。人が大人になること、子供の心を失わないことがどんなに大変で大切なことか考えさせられる。そんなことが観ている最中から込み上げてきてどうしようもなかった。自分がうまく生きてきてないような情けなさを憶えてならなかった。受け止め方は人それぞれなので、わたしのようなことになることなくハートウォーミングなドラマとしても十分味わえると思う。
是非自分の目で観て確かめてください。「ピーター・パン」のテーマは永遠のものですね。

ジョニデの少年っぽさ、純真さがそのまま映し出されたよう。彼とハイモア君の少年性がうまく噛み合っているのがなんともいえない。二人が対等な立場の友情を育んでいるように見える。
ウィンスレットもとても好感が持てるしピーター役のハイモア君は勿論、子供たちが素晴らしい。1月の劇場公開時に観たのだがこれを超える作品にはまだ出会っていない。なんかもう今年のベストになりそうなんですけど。

初出:2005/6/2(木) 午後 10:57


既出コメント:

こちらもまだ未観です・・(^_^;)。劇場で「オーシャン12」と競り合って、「オーシャン」選択してしまいました・・。基本的に泣けない人間でなのですが、(サイテー)これは何だか期待できそうですね。。(実際「海の上のピアニスト」でも「戦場のピアニスト」でも泣けなかった・・。←感動より残忍さの方が際立っていた気がして胸が苦しくなりました。)「ピーター~」DVD出たら早速観て見ます(はたして、泣けるか?(^o^j))
2005/6/3(金) 午前 10:58 [ xxchishaxx ]

ちしゃさん、泣けなくても気にしないで~。私が特別に泣き虫なのですよ。ちょっとしたことですぐ涙腺がこわれるんです。泣いたからってすべてがいい映画なわけじゃないですしね。でも・・・「ネバーランド」はいちおしですよ。おすすめです。
2005/6/5(日) 午後 11:32 [ mekabucchi ]

バタフライ・エフェクト2006年01月15日 23時14分13秒

バタフライ・エフェクト(2004)
THE BUTTERFLY EFFECT
2003 監督:エリック・ブレス J・マッキー・グラバー
アシュトン・カッチャー エイミー・スマート メローラ・ウォルターズ エルデン・ヘンソン ウィリアム・リー・スコット エリック・ストルツ

子供の頃記憶がブラックアウトする症状に悩まされていたエヴァン。多感な少年時代、恋と悩みと幼友達の間にあった数々の事件を抱えていた彼は町を離れて数年後、大学生になったエヴァンは再開した幼友達の悲惨な状況に数日前に知りえた過去に遡れる方法を使ってやりなおそうと試みるが・・・。

アシュトンとエイミーはともに“おばか”がつくほどのコメディで自分を捨てて奮闘していたので、話題になるほどの作品に主演級だというのにどうしてもピンとこなかった。だからDVD待ちでもいいかなって思っていた。結果はなかなかのものだったので良しとしますか。
DVD待ちだったはずだったが「バタ・エフェ」が掲示板で大盛り上がり。疑問の壁を崩すべく質疑応答が飛び交い非常に楽しかった。そのトピの参加者はほぼ全員観てしまったことに。恐ろしい掲示板効果。松竹に謝礼貰いましょうか。

なかなか頭を使って楽しめる作品ではあったが疑問が解けて自分の中でストーリー解釈に一応の決着をみたら満足してしまった。感想的には残ったものはあまりないかもしれないがこれは別の意味で楽しめた映画だからそれはそれでいいんじゃないだろうか。私として難点なのはやっぱり主演のアシュトンとエイミーにあまり魅力を感じないってこと。エヴァン役がシェーン・ウェストやデヴォン・サワあたりだったらもっとはまったんだけどな~。

余談だが、私が「バタ・エフェ」の予告編を最初に見たのはなんとまだ2月。「LOTR」の SEE版の公開の時だった。3ヶ月も後になってこんなに盛り上がる作品になろうとは夢にも思っていなかった。予告編の映像はあのラストシーン。こういう展開であのシーンにつながるとはねぇ。今思うと感慨深い予告編だった。


以下、思いっきりねたばれです。


エヴァンは父から受け継いだ特殊な能力によって過去に戻ることができる。まずい現実をやりなおすことが出来るわけだ。エヴァンは今その時をより良いものにしようとするけれど何度も失敗を繰り返す。どうしても誰かが死んだり苦しんだり・・・。最後にエヴァンが選んだ解決方法はまだ誰も不幸の微塵もない時期に戻って幼友達の関係になること自体を失くしてしまおうというものだった。それが恋するケイリーを諦めることになっても。てな感じでしょうか。

エヴァンは意を決してケイリーとの関係を絶ちもう遡ることとも決別するべく日記とフィルムを焼いたので、あの再会から・・・とはやっぱり行かないと思う。それがあの表情なんじゃないかな。ここはアシュトンの演技が光っていたと思った。

ねたばれを読むまでは私もいろんなところでひっかかっていた。医者に日記なんかないといわれるところ。ケイリー兄妹と関係がなければ変態父の餌食にならないのか?とか。母はがんになることはないのか?とか。でもちゃんと意味を持たせる台詞が必ず一言あるんだな、これが。なかなかよくできている脚本と編集。
ただしちゃんと注意深く観ていて、遡りの順序もどれがその結果なのかも理路整然と出来ていないと必ず疑問になってしまうので大変かも・・・。

初出:2005/6/5(日) 午後 11:28

スティーヴ・ザーン2006年01月16日 07時33分06秒

サハラ(2005)
STEVE ZAHN   1968/11/13 USA

「サハラ」でマシュー・マコナヘー演じるダーク・ピットの相棒アルを演じているザーン。これが好評を得れば日本でも少しは知られた顔になるだろうか?クライブ・カッスラー原作のダーク・ピットシリーズの映画化作品で、原作ファンのイメージとは違うようだが、とりあえず映画のこのコンビは最高だ。

最初は「すべてをあなたに」だったと思うが、女の子のお尻ばかり追いかけてるギタリスト。私にはこの最初から軽妙なイメージの人だった。「ユー・ガット・メール」のメグ・ライアンの書店の店員。「恋は嵐のように」のベン・アフレックの友人。「リアリティ・バイツ」「私の愛情の対象」も主人公の脇で軽妙な奴で親しみやすい顔がなおいっそう笑いを誘う。この手の役がザーンの十八番ではないだろうか。
天性のコメディセンスを持っていて本人もそれが判っていると見える。彼の繰り出す“間”は劇中に抜群の笑いのポイントを提供する。
この手の俳優には往々にしてあることだが、ザーンも地元の劇団出身者で、NYに移り演技の勉強をした後オフ・ブロードウェイの経験もある。基礎がしっかり出来ているわけだ。

笑わせるだけでなく「ロード・キラー」のダメ兄、「サンキュー、ボーイズ」のダメ夫で情けないトラブルメイカー役。ほんとに情けなげであの泣きそうな顔がなんともいえん。しかしながらダメな奴なのに彼にとんでもない目にあわされても主人公たちは彼を放っておけない。憎めない奴なのだ。これもザーンの得意なキャラクターだろう。

傍役俳優ならではで「アウト・オブ・サイト」「クリムゾン・タイド」「チェルシー・ホテル」「ハムレット」(イーサン・ホーク版)などいろんな作品で顔を見せているがどれもザーンならではの個性が光っていてすぐにわかる。彼の姿を見つけるとなんだか楽しい。その実力と個性は声にも表れるのか「スチュアート・リトル2」「ドクター・ドリトル2」でも健在。これまたすぐにわかるのでお試しを。(笑)

「ナショナル・セキュリティ」でマーティン・ローレンスとともに主演。コメディ俳優同士のバディムービーだったが、ちょっとこれは違うのではないかと思った。ザーンは鼻に髭を蓄えていつも苦虫を噛み潰したような顔をして、ローレンスに散々理不尽な目にあわされる役どころ。そういうタイプのコメディだがザーンはローレンスの演じた役のタイプなので何かがしっくりこない。ザーンの飄々とした笑顔だからコメディが活きるのであってこの手の被害者タイプではないのだ。コメディ映画として期待していたので残念だった。

実力はご覧のとおり。コメディにドラマにサスペンス。ジャンルを問わず順調にキャスティングに名前を連ねているのでこのまま彼なりの傍役俳優の道を歩んでくれることと思う。そんな中にダーク・ピットシリーズのような代表作が並んだらいいよねー。
「インディ・ジョーンズ」のような痛快冒険映画シリーズ作品が今あっても良いと思う。元ネタの原作もあることだしせめてあと2作ほどは作って欲しい。彼らのコンビがまだまだ観たいのだ!

初出:2005/6/19(日) 午後 1:24


既出コメント:

うおぉ~っと喰いついちゃいました(笑) 基礎がしっかりしていて、自分の役どころをちゃんと心得ている、実はスマートな人!!そこに併せ持ったコメディセンスが光まくってますよね♪ 「サハラ」で知名度が上がると良いなぁ~
2005/6/19(日) 午後 3:03 [ 哀生龍 ]

ティル祭りに続いてザーン祭り真っ盛りだったりんさんにはタイムリーでしたね。疲れ気味だった私のやる気を起こさせたのが「サハラ」で見たザーンだったんです。彼の摩訶不思議な笑顔は人を元気にさせる力があると思うわ。実感。
2005/6/21(火) 午前 0:33 [ mekabucchi ]

ショーン・ペン2006年01月16日 08時45分52秒

ザ・インタープリター(2005)
SEAN PENN  1960/8/17 USA

以前はとても苦手なタイプの人だった。いつもとがっていてエキセントリックな役が多く観る者に強迫観念を植え付けるような挑発的な演技に、私はものの見事に呑み込まれて敬遠してました。

「タップス」「ロンリー・ブラッド」「カジュアリティーズ」の若い頃から「ステート・オブ・グレース」「Uターン」「カリートの道」「ギター弾きの恋」。どれもギザギザにとがった刃を他人に向けながら生きているような人物ばかり。その隙間に入ってこられたごく一部の人とだけ判り合えればいいというような生き方をする(しかできない)男を彼自身がそうであるかのように演じるペンは異彩を放っていた。
そんな彼に強烈に惹かれるか、私のように苦手だと敬遠するか結構はっきり別れるタイプの俳優ではなかっただろうか?
それまでの作品に私が好きなものは少ない。むしろ嫌いで理解できないものもある。中でも「シーズ・ソー・ラブリー」が私には理解できない。ペンとロビンの愛がとにかく激しい。どうにもならないほど愛し合っているのはわかった。が、
愛が強ければすべてを投げ捨てて、奪ってしまってもいいのか?なんでもありなのか?許す許さないの問題はさておいてもこれを心打たれるラブストーリーとは私にはどうしても思えないのだ。
周囲を寄せ付けないほどとげとげしいまでのふたりの愛をうらやましいと思うか、理解に苦しむかは人それぞれなんだけど・・・。ラブストーリーに点が甘い私がどうにも受けつけられなかったラブストーリーだった。

そんなペンが軟化した。年齢のせいか?いや円熟味を増したのか?2003年の「ミスティック・リバー」は激しいまでの気質を残しながらも家庭を持ち愛する人のために自分なりの決着をつける男はちょっと今までのとげとげしさが違う見せ方をしていると思った。ギザギザの刃は今でも確かにあるが常に人に向けているわけではなく内側に隠し持っているような感じがした。
そしてその後の「21グラム」「ザ・インタープリター」などへつながっていく。「ザ・インタープリター」の静かな彼にはかなりびっくりした。ニコル・キッドマンを容疑者として監視しながらもどこか守護天使のように優しい目で彼女のことを見ている。深い愛を感じることはあっても、ペンに優しさを感じたのはこれが初めてだった。ラストにはかっこよすぎてくらくらしそうだったぞ!(笑)

2005年の新作「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」では彼の今を観た気がする。
平凡ながらも強い信念を持ち、それを譲れないがために怒りが蓄積していき、狂気にかられてついには強行におよぶ。一人の小心者の男が愛情に飢え、人に理解してもらえず、社会に報われることなく、怒り哀しみを爆発させてしまう。
ペンの昔から持つ激しさと内に秘めた弱さや哀しさのバランスが絶妙で今までで最高の彼を見た。
彼の演じる主人公が悲しすぎてかなり胸の奥まで染み込むような重さが後々まで残ったが嫌な作品ではない。ペンの演技も作品全体としてもかなり心に残るものになった。

あんなに苦手だったペンが今では重厚な演技がいやらしくなく見られる俳優の一人だと思える。好き嫌いははあるけれどやっぱり力のある役者だったのだなと認めざるを得ない。
でも・・・やっぱりキレないペンのほうが私は好きだけどね!

初出:2005/6/21(火) 午前 0:28


既出コメント:

マドンナの暴力夫のイメージがずっと強かったんですが、今では大好きでっす。 実力派の俳優としても素晴らしいと思うし、作家性も好きなんですー。ショーン・ペンの監督した3作にも惚れました。 アウトローなところも好き。妻もステキだしー。キレた演技もいいけど、『ギター弾きの恋』などもかわいくてよいかな。 私もリチャ・ニクを観に行かねばー。
2005/6/24(金) 午後 0:55 [ caeru_noix ]

かえるさん、こんにちわー。確かに過激な素行の話題もにぎやかな人だったのでその点もキレた演技とあいまって苦手感が拭えなかったというのがありますね。ちょっとまるくなってきたかと思われるのはロビン夫人の影響もありでしょうかねぇ。そういうロビンもキレた役が結構ありますけどね。何か通じるものがあるんでしょうな、このふたり。
2005/6/25(土) 午後 7:39 [ mekabucchi ]