クリスチャン・ベール2006年01月16日 10時54分13秒

リベリオン(2002)
CHRISTIAN BALE   1974/1/30 UK

「太陽の帝国」で利発そうな少年を演じていた子役出身の彼もアメコミのヒーロー、バットマンを演じるまでに成長。しかしヒーローといえども特別に超能力があるわけでもなく、自らの少年時代に受けた悲劇による大きな心の傷のもとに生まれた闇のヒーローたるところがいかにもベールらしい。

「ヘンリー五世」「若草物語」「ある貴婦人の肖像」など端正な顔立ちの英国人であるベールはいくつもの文芸作品に出演。順当に正統派英国人俳優の道をたどるのだろうと思っていた。
が、「ベルベット・ゴールドマイン」での異質な環境に魅了されてパンク青年へ変貌していく記者や「アメリカン・サイコ」での猟奇的なヤッピーの彼はいささか様子が違ってきた。彼の端正な顔立ちは笑わないと暗さが浮かぶ。ベールは自らが魅力的に演じられることを知ってか知らずか、後ろ暗いキャラクターに惹かれているのではないかと思われる節がある。「シャフト」の金持ちの御曹司も小気味良かった。冷たい表情がぴったりはまっている。

一本筋の通った本質を見失うことのない真摯なキャラクターが多く正義を貫こうとする真面目な姿勢がストレートに伝わってくる。それは文芸作品で見せた優しいまなざしと過去や苦悩と戦う暗さを併せ持つ彼の個性によってよりキャラクターがリアルに見えてくるからたいしたものだ。
「サラマンダー」の戦士や「リベリオン」のヒーローなどでその片鱗が見え、その集大成が今回の「バットマン ビギンズ」へとつながってきたのだろう。

役によっての体形の変化の激しさも話題になったが「バットマン・・・」と前作の「マシニスト」の差は心配になるほどだ。ベールはおそろしく信念と努力の人だということがここでも伺える。ここにもひとりなりきり型の俳優が。

ハリウッドのビッグバジェットムービーにも参加する傍ら「コーンウォールの森へ」のような英国小作品や「しあわせの法則」「マシニスト」といったインデペンデント系作品にも出演。どれも彼らしいチョイスだなと思う。
見た目もハンサムな正統派英国人俳優からピュアでダークな独特の個性を持つ信念の人。クリスチャン・ベールは手強い俳優だ。「バットマン」をやると聞いた時は驚いたがものの見事に自分のものにしてしまった。
「バットマンビギンズ」についてベールは“前作までのシリーズは別物と思って忘れて欲しい”と断言。自ら演じたバットマンにいかに自信を持っているかがわかるというもの。なるほどベールのバットマンはキャラクターとしても作品全体としてもなかなかのもの。彼の自信作をぜひ劇場で。

初出:2005/6/25(土) 午後 7:32

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