ウィリアム・フィックナー2006年07月02日 18時44分15秒

アルビノ・アリゲーター(1996)
WILLIAM FICHTNER  1956/11/27 USA

"ディザスタームービーのアンサンブルキャスト"で2度ほど名前を挙げたウィリアム・フィックナーを今回は個人名に昇格。
初見は「アルビノ・アリゲーター」か「アルマゲドン」のどっちか。どの作品も彼の印象はかなり強い。そんなに出演シーンがなくても彼だと絶対わかる。
以前に彼の名前を挙げたのは「アルマゲドン」のNASAのパイロットと「パーフェクト・ストーム」の漁船のクルー。当然どちらもとても印象的だったので名前を挙げたわけだが、まったくこの人はバイプレイヤーの代名詞とでも言うかのように大作話題作からインディ系まで引っ張りだこ状態。映画好きな人なら彼の顔は絶対に一度は見ていると思われるくらいにかなりのワーカホリックに見える。

ちょっと病的な面長で冷たい目のルックスと細い身体はまるで爬虫類系。「アルマゲドン」や「コンタクト」の体制ガチガチの管理者タイプ、「ブラックホーク・ダウン」「パール・ハーバー」の軍人なんてお手の物だろう。

病的な面を強調すると「アルビノ・アリゲーター」「蒼い記憶」「go」「MONA彼女が殺された理由」などで見せるキレやすい犯罪者、狂信的な人物などに表れるが、彼のこういうところが使われるのはインディ系に多い。彼の個性がよく知られている証拠だと思う。

悪役敵役に望まれるルックスなのは確か。なのにそればかりが目立つわけでもないのが彼の面白いところ。病的に見えるということは繊細さがあるということか。
「クラッシュ」で見せた管理者側の顔バリバリだがこれがちょっと微妙。正義や理想はわかっちゃいるが政治的な思惑や利害関係から正道とは言えない道を選ぶこともやむをえないというこの世界に死ぬほどいるだろう人間像をリアルに演じていたのには説得力があった。
「リベリオン」や「ウルトラヴァイオレット」の反政府側の人間なども彼がやると妙にリアルだ。正しい正しくないは別としてこういう人って実際にいそうだもん。

繊細なタイプというとラブストーリーに使われやすいものだがフィックナーのようなルックスにはこの手の役はなかなか回ってこない。彼のロマンチックロールをはじめて観たのは彼を認識して11本目だった。かなり興味があってきっとかっこいいジェントルマンなんだろうと思っていた。確かにかっこよかったのだが、なんと相手がデミ・ムーアだった。「薔薇の眠り」がそれだ。彼女の相手役となると探すのは大変なんだろうな。そこにきてフィックナーとステラン・スカルスゲールドが選ばれたと言うのはなるほど納得のような気もする。

近作の「ウルトラヴァイオレット」でもみせた反体制側の彼は戦士であるミラ・ジョヴォヴィッチのよき理解者だが、彼の目はどう見てもミラを愛しているとしか思えない。
更に「美しい人」のフィックナーは必見。もう愛する女にめろめろなのだ。この役は一言で済ませるキャラクターとは言えないのだが彼ならではないかと思う。冷たい目をしているのに愛する女を見つめるその眼差しは非常に切ない。
ワイルドでもありソフトでもある、クールでもあり温かみもある彼が非常に魅力的だ。

今回UPするきっかけとなった新作の2本。「ウルトラヴァイオレット」と「美しい人」。両方とも2005年作。タイプの違う役をそつなくこなしてしまう彼は紛れもなくカメレオン俳優。貴重なバイプレーヤーであり名優の一人だと思う。

コメント

_ 哀生龍 ― 2006年07月02日 22時37分27秒

クールなキャラも、面倒見のいいアニキのようなキャラも、キレた悪人も、何でも似合ってしまうのですが、哀生龍は特に「ビッグ・マネー」「MONA」「go」等のコミカルなキャラが好きです!
彼って、面白過ぎます(爆)

_ めかぶ ― 2006年07月03日 21時46分38秒

>哀生龍は特に「ビッグ・マネー」「MONA」「go」等のコミカルなキャラが好きです!彼って、面白過ぎます(爆)

まっ、りんさんったらコアなフィクちゃんファンだわ。(笑)
そんなりんさんは「美しい人」のフィクちゃんをどう見るのかちょっと興味あり。あんまりりんさん好みじゃない作品かもしれないんだけどねー。いずれ機会があったら感想をお聞かせください。

_ しねまま ― 2006年07月03日 23時18分00秒

久々におじゃまします。
フィクちゃんの素敵な画像、ありがとうございます。
って、彼の出演作って、ほとんど見てないんです(汗)。
なにしろアメリカ映画(の一部)に目覚めたのって、ごく
最近で。しかもだんだんとオムニバス映画に食指が
動かなくなってきたので、『美しい人』も悩んでます。

でも、めかぶさんも沢木耕太郎氏(今日の朝日新聞
夕刊「銀の森へ)もお薦めみたいだし・・・。(悩っ)

_ めかぶ ― 2006年07月04日 21時57分36秒

「美しい人」の評判は上々のようですね。私も数々のミニシアターがなかったら渋谷には行かないんですがね~。(笑)
レンタル待ちになったとしても一度はご覧になってみてくださいね。
フィクちゃんの画像は「アルビノ・アリゲーター」から。最近の精悍な顔でも良かったのだけど、インディ系の微妙なところを拾ってみました。'96年だからもう10年も前のお姿になりますね。ちょっとワイルド系。気に入っていただけて幸いです。

_ 哀生龍 ― 2006年07月04日 23時41分27秒

>そんなりんさんは「美しい人」のフィクちゃんをどう見るのかちょっと興味あり
実はですね、公開前に、彼のシーンの一部を見せてもらっているのです!
女性ばかりの映画なので、申し訳ないですが映画館に行く事はないと思うので、ラッキーな出来事でした。
で印象はと言うと、「繊細で、ある意味“駄目男”で、でも女性が情にほだされてしまう様な母性本能をくすぐる男」のように見受けられましたが・・・
なんていうか、“綺麗な表情”が良かったです!!
映画全体の中では、彼の存在ってどんな感じなのか、ちょっと気になるところですね(笑)

_ めかぶ ― 2006年07月05日 19時51分37秒

>「繊細で、ある意味“駄目男”で、でも女性が情にほだされてしまう様な母性本能をくすぐる男」のように見受けられましたが・・・
まさにそのとおりなのですが、うーん、りんさんの観た一部がどこからどこまでなんでしょうね~。
私は彼には痛々しいほどの哀しさを感じてしまったんですけど。
「美しい人」の観点から観ると、このエピソードの主人公エイミー・ブレナマンは彼の存在をとおしてどういう位置に考えたらいいものか、このエピソードはどういう意味をもたらすのかなと非常に考えてしまう1本ではありました。

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