プルートで朝食を ― 2007年01月07日 17時53分03秒
プルートで朝食を BREAKFAST ON PLUTO
2005 英 監督:ニール・ジョーダン
キリアン・マーフィー リーアム・ニーソン スティーヴン・レア ブレンダン・グリーソン イアン・ハート
教会の前に捨てられて司祭のもとで育ったキトゥン(マーフィー)。成長したキトゥンは母親を求めてロンドンへやってくるが彼を見舞うのは不幸の数々…。それでもキトゥンは前を向いて歩いて行く!
少年の頃からゲイの傾向に目覚めた彼だが、その純粋な心はまるで天使。どんな困難にあおうとも負けない何かが彼にはあるのだろうか?キトゥンにかかれば誰もが何かやさしくなれる気がするのだろうか?彼を見てると守ってあげたくなってくる。きっと彼の未来は明るいはずだ。見た目にすればゲイ役だけど、というよりは精神的にピュアな人間というのだろうか?しぐさが女の子らしいのでそう見えるのは勿論だが子供のままの純粋さを持ち続けているような。だからこそ思うが侭に実行することは唐突で、人を疑うことを知らないままに騙されて痛い目に会うにもかかわらず次にくる今を精一杯生きようとする姿には胸が熱くなる。
こんなキトゥンを演じたマーフィーがとっても良い!彼以外のキトゥンはちょっと考えられないなあ。キトゥン=マーフィーは、「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアンドールズ」のグザヴィエ=デュリスに続くハマリ役だと思う。彼のまた違う一面を見た。素朴なアイルランド人、クールな悪役、ピュアな青年と次々繰り出される彼の演技の奥深さを感じる。次に何がきても心配要らない気がする。
今回脇に廻ったリーアム・ニーソンやスティーヴン・レアがまたいい。司祭であるニーソンはキトゥンの不思議な魅力を理解し見守り続け受け容れる。彼の優しい笑顔がたくさん見られる。とはいえ彼もタダではすまないわけで。動揺し苦悩する司祭。この辺りがニーソンがキャスティングされたツボかなと思ったりする。
キトゥンをある意味食い物にするマジシャンのレアだが、彼もまたキトゥンの魅力に惹きつけられた一人。方法は間違っているが彼なりにキトゥンを愛していたのだと思う。善人だか悪人だか微妙なラインのキャラがまたこの人には似合う。
この映画の公開と前後して太陽系で太陽から最も遠い惑星だった冥王星(プルート)が太陽系から外されたというニュースが。あらら・・・。それほど小さい星なんだね。
「星々を訪ねて火星に向う。そして冥王星で朝食を」と言うキトゥンの冒険の旅は・・・、
「母さんを探しに行き、父さんを見つけた」で終わる。
いつまでも耳に残る「Sugar Baby Love」が心地よい。
2005 英 監督:ニール・ジョーダン
キリアン・マーフィー リーアム・ニーソン スティーヴン・レア ブレンダン・グリーソン イアン・ハート
教会の前に捨てられて司祭のもとで育ったキトゥン(マーフィー)。成長したキトゥンは母親を求めてロンドンへやってくるが彼を見舞うのは不幸の数々…。それでもキトゥンは前を向いて歩いて行く!
少年の頃からゲイの傾向に目覚めた彼だが、その純粋な心はまるで天使。どんな困難にあおうとも負けない何かが彼にはあるのだろうか?キトゥンにかかれば誰もが何かやさしくなれる気がするのだろうか?彼を見てると守ってあげたくなってくる。きっと彼の未来は明るいはずだ。見た目にすればゲイ役だけど、というよりは精神的にピュアな人間というのだろうか?しぐさが女の子らしいのでそう見えるのは勿論だが子供のままの純粋さを持ち続けているような。だからこそ思うが侭に実行することは唐突で、人を疑うことを知らないままに騙されて痛い目に会うにもかかわらず次にくる今を精一杯生きようとする姿には胸が熱くなる。
こんなキトゥンを演じたマーフィーがとっても良い!彼以外のキトゥンはちょっと考えられないなあ。キトゥン=マーフィーは、「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアンドールズ」のグザヴィエ=デュリスに続くハマリ役だと思う。彼のまた違う一面を見た。素朴なアイルランド人、クールな悪役、ピュアな青年と次々繰り出される彼の演技の奥深さを感じる。次に何がきても心配要らない気がする。
今回脇に廻ったリーアム・ニーソンやスティーヴン・レアがまたいい。司祭であるニーソンはキトゥンの不思議な魅力を理解し見守り続け受け容れる。彼の優しい笑顔がたくさん見られる。とはいえ彼もタダではすまないわけで。動揺し苦悩する司祭。この辺りがニーソンがキャスティングされたツボかなと思ったりする。
キトゥンをある意味食い物にするマジシャンのレアだが、彼もまたキトゥンの魅力に惹きつけられた一人。方法は間違っているが彼なりにキトゥンを愛していたのだと思う。善人だか悪人だか微妙なラインのキャラがまたこの人には似合う。
この映画の公開と前後して太陽系で太陽から最も遠い惑星だった冥王星(プルート)が太陽系から外されたというニュースが。あらら・・・。それほど小さい星なんだね。
「星々を訪ねて火星に向う。そして冥王星で朝食を」と言うキトゥンの冒険の旅は・・・、
「母さんを探しに行き、父さんを見つけた」で終わる。
いつまでも耳に残る「Sugar Baby Love」が心地よい。
キングス&クイーン ― 2007年01月07日 19時00分12秒
キングス&クイーン ROIS ET REINE
2004 仏 監督:アルノー・デプレシャン
エマニュエル・ドゥヴォス マチュー・アマルリック カトリーヌ・ドヌーヴ
美術商のドゥヴォスが実家に戻るとそこには病気に倒れる父がいた。離れ離れになってしまった姉、別れた前夫、愛する息子との間で人生を考え、愛を考え、悩み、苦しみ、泣く。
エキセントリックなドゥヴォスとアマルリックを中心にデプレシャン監督特有の哲学の授業のような3時間。心して観る覚悟が必要だ。
デプレシャン監督×アマルリックの前作「そして僕は恋をする」は繊細と言うか病的に神経質なアマルリックの恋愛を中心にしたストーリーだったのでやはり哲学的とはいえまだ入りやすかったが、今回はドゥヴォス演じる子を持つ母でありまた娘である女の生き様が中心になっている。幾分入りにくいかもしれないが、ところが・・・一度入ったら抜け出せないような染み入り方をするに違いない。私もひとりの女としてちょっと痛いなと思いながらドゥヴォスを睨みつけるように観てしまった感がある。
正直、観た直後はぴんとこなかったのだが後になってだんだんと思い返すことが増えてきた。今また再見したい1本だ。
父親の残した彼女に対する激白にはもの凄く驚いた。ショックだ。こんなこと言われてどうやって立ち直ろう?彼女の将来が不安だ。救いは彼女の息子とアマルリックのシーンだろうか。この子だけは自分を持って迷わずに歩いていって欲しいと思わずにはいられない。
2004 仏 監督:アルノー・デプレシャン
エマニュエル・ドゥヴォス マチュー・アマルリック カトリーヌ・ドヌーヴ
美術商のドゥヴォスが実家に戻るとそこには病気に倒れる父がいた。離れ離れになってしまった姉、別れた前夫、愛する息子との間で人生を考え、愛を考え、悩み、苦しみ、泣く。
エキセントリックなドゥヴォスとアマルリックを中心にデプレシャン監督特有の哲学の授業のような3時間。心して観る覚悟が必要だ。
デプレシャン監督×アマルリックの前作「そして僕は恋をする」は繊細と言うか病的に神経質なアマルリックの恋愛を中心にしたストーリーだったのでやはり哲学的とはいえまだ入りやすかったが、今回はドゥヴォス演じる子を持つ母でありまた娘である女の生き様が中心になっている。幾分入りにくいかもしれないが、ところが・・・一度入ったら抜け出せないような染み入り方をするに違いない。私もひとりの女としてちょっと痛いなと思いながらドゥヴォスを睨みつけるように観てしまった感がある。
正直、観た直後はぴんとこなかったのだが後になってだんだんと思い返すことが増えてきた。今また再見したい1本だ。
父親の残した彼女に対する激白にはもの凄く驚いた。ショックだ。こんなこと言われてどうやって立ち直ろう?彼女の将来が不安だ。救いは彼女の息子とアマルリックのシーンだろうか。この子だけは自分を持って迷わずに歩いていって欲しいと思わずにはいられない。
2006年のベスト ― 2007年01月09日 08時31分14秒
劇場観賞編のベスト5
1.ルイーズに訪れた恋は・・・
2.サンキュー、スモーキング
3.ロシアン・ドールズ
4.親密すぎるうちあけ話
5.レイヤー・ケーキ
おうち観賞編ベスト5
1.ベルヴィル・ランデブー
2.フレンチなしあわせのみつけ方
3.ロック、ストック&フォー・ストールン・フーヴス
4.アメリカ、家族のいる風景
5.トンネル
次点:「アサルト13 要塞警察」「クラッシュ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ナイロビの蜂」「トランス・アメリカ」「プルートで朝食を」「裸足の女」「キンキーブーツ」「007/カジノ・ロワイヤル」
主演女優賞
ローラ・リネイ(「ルイーズに訪れた恋は・・・」「イカとクジラ」)
次点:サンドリーヌ・ボネール(「親密すぎるうちあけ話」)
主演男優賞
アーロン・エクハート(「サンキュー、スモーキング」「ブラック・ダリア」)
次点:ダニエル・クレイグ(「レイヤー・ケーキ」「007/カジノ・ロワイヤル」)
2006 年は圧倒的に劇場で観たものに当たりが多かった年でした。6月は「ロシアン・ドールズ」「親密すぎるうちあけ話」「プルートで朝食を」と立て続けに3本もいい作品続きで幸せでした。前年は苦しくってどすんと胸に響く作品がかなりのウェイトを占めていたのですが今回は楽しい作品が多くてわくわくしました。なのであえて「マグダレンの祈り」「ロゼッタ」「ソン・フレール」「ユナイテッド93」は今回の傾向ではないとして外しました。が、「トンネル」だけは「白バラの祈り」を観たのもあって合わせて1本。ドイツ映画を1本入れたかったのもあります。
アクションやコメディが入っているのは毎度の私の傾向。劇場の当たり作品が多かったので目新しいタイトルは今回はあまりないかな?(笑)
追記:掲示板に載せた後で気がついた。「キングス&クイーン」と「マッチポイント」のことを忘れてた・・・。次点に入れてもいい作品。備忘録を見返してたらちゃんと感想が書いてありましたわよ~。
1.ルイーズに訪れた恋は・・・
2.サンキュー、スモーキング
3.ロシアン・ドールズ
4.親密すぎるうちあけ話
5.レイヤー・ケーキ
おうち観賞編ベスト5
1.ベルヴィル・ランデブー
2.フレンチなしあわせのみつけ方
3.ロック、ストック&フォー・ストールン・フーヴス
4.アメリカ、家族のいる風景
5.トンネル
次点:「アサルト13 要塞警察」「クラッシュ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ナイロビの蜂」「トランス・アメリカ」「プルートで朝食を」「裸足の女」「キンキーブーツ」「007/カジノ・ロワイヤル」
主演女優賞
ローラ・リネイ(「ルイーズに訪れた恋は・・・」「イカとクジラ」)
次点:サンドリーヌ・ボネール(「親密すぎるうちあけ話」)
主演男優賞
アーロン・エクハート(「サンキュー、スモーキング」「ブラック・ダリア」)
次点:ダニエル・クレイグ(「レイヤー・ケーキ」「007/カジノ・ロワイヤル」)
2006 年は圧倒的に劇場で観たものに当たりが多かった年でした。6月は「ロシアン・ドールズ」「親密すぎるうちあけ話」「プルートで朝食を」と立て続けに3本もいい作品続きで幸せでした。前年は苦しくってどすんと胸に響く作品がかなりのウェイトを占めていたのですが今回は楽しい作品が多くてわくわくしました。なのであえて「マグダレンの祈り」「ロゼッタ」「ソン・フレール」「ユナイテッド93」は今回の傾向ではないとして外しました。が、「トンネル」だけは「白バラの祈り」を観たのもあって合わせて1本。ドイツ映画を1本入れたかったのもあります。
アクションやコメディが入っているのは毎度の私の傾向。劇場の当たり作品が多かったので目新しいタイトルは今回はあまりないかな?(笑)
追記:掲示板に載せた後で気がついた。「キングス&クイーン」と「マッチポイント」のことを忘れてた・・・。次点に入れてもいい作品。備忘録を見返してたらちゃんと感想が書いてありましたわよ~。
裸足の女 ― 2007年01月09日 09時03分22秒
裸足の女 BARFUSS
2005 独 監督:ティル・シュヴァイガー
ティル・シュヴァイガー
清掃員の仕事にありついたシュヴァイガーは仕事先の病院で自殺しようとしていた患者の女性を助ける。それ以来彼女になつかれてしまい、シュヴァイガーは彼女にまとわりつかれたまま郊外の自分の実家まで一緒に旅する羽目になる。
“裸足の女”とはその彼女のこと。ずっと病院にいた彼女はそのせいなのか自分の性分なのか靴が嫌い。いつもぺたぺたぺたとシュヴァイガーの後をついてくる。子供の頃から病院での生活しか知らない彼女はある意味超天然。そんな彼女の天然ぶりから引き起こされるトラブル続きの旅が楽しい。
名家の息子でありながらうまく自分の人生を築けずにもがいているシュヴァイガーが純粋な彼女と一緒に旅することで少しずつ心がほどけていく。
ハリウッドではよくあるロードムービーだけど風景がまずアメリカと違うのがわかる。歴史を感じる街並みは勿論だが何もない郊外道路や草原などヨーロッパの大地の色が違うんだなあ。アメリカの方が乾いた感じがするように思う。
見慣れた強面のシュヴァイガーが驚くほど優しい笑顔を見せてくれる。なんとこの作品は彼の監督作だがこれが初監督ではないそうだ。ドイツ国内では第一線級の彼だがその才能は計り知れない。
ハリウッドでは見られない個性に驚かされるが、実はコメディやヒューマンドラマが似合う人なんだね。
実はこの作品は昨年の7月に行われた「ドイツ映画祭2006」で上映されたもので、運良くドイツ映画通の友人に誘われて行ったもの。現在日本での公開の話は聞いていない。
自分はこういう情報に疎い方なのでそうでなければ全然知らずにいたであろう。年間ベスト選出で挙げるほどの作品をこんな形で観られてなんて幸運なんだと思う。本当に感謝であります!
でも日本でも公開して十分いけるんじゃないかと思うんですがね。ミニシアター系映画ファンの方には観てもらいたいな~。
2005 独 監督:ティル・シュヴァイガー
ティル・シュヴァイガー
清掃員の仕事にありついたシュヴァイガーは仕事先の病院で自殺しようとしていた患者の女性を助ける。それ以来彼女になつかれてしまい、シュヴァイガーは彼女にまとわりつかれたまま郊外の自分の実家まで一緒に旅する羽目になる。
“裸足の女”とはその彼女のこと。ずっと病院にいた彼女はそのせいなのか自分の性分なのか靴が嫌い。いつもぺたぺたぺたとシュヴァイガーの後をついてくる。子供の頃から病院での生活しか知らない彼女はある意味超天然。そんな彼女の天然ぶりから引き起こされるトラブル続きの旅が楽しい。
名家の息子でありながらうまく自分の人生を築けずにもがいているシュヴァイガーが純粋な彼女と一緒に旅することで少しずつ心がほどけていく。
ハリウッドではよくあるロードムービーだけど風景がまずアメリカと違うのがわかる。歴史を感じる街並みは勿論だが何もない郊外道路や草原などヨーロッパの大地の色が違うんだなあ。アメリカの方が乾いた感じがするように思う。
見慣れた強面のシュヴァイガーが驚くほど優しい笑顔を見せてくれる。なんとこの作品は彼の監督作だがこれが初監督ではないそうだ。ドイツ国内では第一線級の彼だがその才能は計り知れない。
ハリウッドでは見られない個性に驚かされるが、実はコメディやヒューマンドラマが似合う人なんだね。
実はこの作品は昨年の7月に行われた「ドイツ映画祭2006」で上映されたもので、運良くドイツ映画通の友人に誘われて行ったもの。現在日本での公開の話は聞いていない。
自分はこういう情報に疎い方なのでそうでなければ全然知らずにいたであろう。年間ベスト選出で挙げるほどの作品をこんな形で観られてなんて幸運なんだと思う。本当に感謝であります!
でも日本でも公開して十分いけるんじゃないかと思うんですがね。ミニシアター系映画ファンの方には観てもらいたいな~。
トンネル ― 2007年01月10日 17時35分44秒
トンネル DER TUNNEL
2001 独 監督:ローランド・ズゾ・リヒター
ヘイノ・ファーチ ニコレッテ・クレヴィッツ セバスチャン・コッホ アレクサンドラ・マリア・ララ
東ベルリンで有名な水泳選手のファーチは共産主義社会に批判的。ついに西側へ亡命するが東側に残された妹や多くの仲間のために壁の下にトンネルを掘ることを考える。
東西ドイツの象徴、今はなきベルリンの壁をはさんだ物語。今までに観たこの手の映画の中で一番胸に迫る。ラストはサスペンス風でもあり手に汗握る。
とても地味な俳優だけどファーチがすごく良い。「ヒトラー」でも建築家のシュペアーを演じていたが実直な雰囲気が社会派作品の中で独特の存在感を感じる。
彼はhリウッドの小さな作品なんかで時折見られるのだが、ほんとに地味なので先に出演がわかってないとだいたい見逃してしまう。
映画のテーマがテーマなだけに楽しんで見られる作品ではないが社会派ドラマでありながら程よいサスペンス加減とヒューマニズムとわずかばかりのロマンスが絶妙。
日本では知られている俳優がほとんどいないためみんながみんなリアルにベルリンの一般市民を思わせられるのがいい気がする。一人ではとても結構できないであろうことを同じ痛みを持つ者たちが協力し合って成し遂げていく。
達成した時の大きな喜びがいやというほど伝わってきた。
勿論その影には志し半ばで散っていった命もあることを忘れてはならないが。
2001 独 監督:ローランド・ズゾ・リヒター
ヘイノ・ファーチ ニコレッテ・クレヴィッツ セバスチャン・コッホ アレクサンドラ・マリア・ララ
東ベルリンで有名な水泳選手のファーチは共産主義社会に批判的。ついに西側へ亡命するが東側に残された妹や多くの仲間のために壁の下にトンネルを掘ることを考える。
東西ドイツの象徴、今はなきベルリンの壁をはさんだ物語。今までに観たこの手の映画の中で一番胸に迫る。ラストはサスペンス風でもあり手に汗握る。
とても地味な俳優だけどファーチがすごく良い。「ヒトラー」でも建築家のシュペアーを演じていたが実直な雰囲気が社会派作品の中で独特の存在感を感じる。
彼はhリウッドの小さな作品なんかで時折見られるのだが、ほんとに地味なので先に出演がわかってないとだいたい見逃してしまう。
映画のテーマがテーマなだけに楽しんで見られる作品ではないが社会派ドラマでありながら程よいサスペンス加減とヒューマニズムとわずかばかりのロマンスが絶妙。
日本では知られている俳優がほとんどいないためみんながみんなリアルにベルリンの一般市民を思わせられるのがいい気がする。一人ではとても結構できないであろうことを同じ痛みを持つ者たちが協力し合って成し遂げていく。
達成した時の大きな喜びがいやというほど伝わってきた。
勿論その影には志し半ばで散っていった命もあることを忘れてはならないが。
最近のコメント