デニス・クエイド2007年04月04日 09時02分33秒

イン・グッド・カンパニー(2004)
DENNIS QUAID  1953/4/9  USA

テキサス・ヒューストン出身の彼は、アメリカ南部の男の象徴のような 、豪快さ、快活さを備えた風格で、アメリカ史劇、西部劇、クラシックから現代劇でも青春ドラマ、ヒューマンドラマ、サスペンス、アクション、果てはSFからコメディまで、75年のデビューから30年以上に渡り、善きアメリカ人を演じてきた。ハリウッドに欠かせない俳優の一人だと思う。

私が最初に彼を認識したのが「グレート・ボールズ・オフ・ファイヤー」だったので、パワフルで活きのいい強烈な印象だった(笑)。その後も「ジョーズ3」や「熱き愛に時は流れて」「インナースペース」「D.O.A」「フレッシュ・アンド・ボーン」「アンダーカバーブルース」と続いたのでとにかく熱い男だと思った。
「ライトスタッフ」「ワイアット・アープ」「エニイ・ギブン・サンデー」など、この時、既にアメリカ人が理想とする男の姿を体現していたようだ。「ライトスタッフ」なんてその最たるものかと。

年齢を経てきてその傾向は益々強くなる。[アラモ」「オールド・ルーキー」など実在したのヒーロー的人物などその円熟味を増す役が増えてくる。
善き父親像を求められるようにもなってきた。「オールド・ルーキー」「オーロラの彼方へ」「ファミリー・ゲーム」「デイ・アフター・トゥモロー」「ヘレンとフランクと18人の子供たち」など、理想的な父親が並ぶ。今では十八番といってもいいのでは?父親こそ最高のヒーロー。だとすればクエイドは最も身近な現代のヒーローを体現しているのかもしれない。

2000年あたりから理想の父親役も増えてきたが、現代の病めるアメリカの中年男役が見られるようになってきたのも時代の流れか。「セイヴィア」「エニイ・ギブン・サンデー」「トラフィック」「コールド・クリーク」などは、彼のあの口を横に広げた笑顔がほとんど見られない作品。「ディナー・ウィズ・フレンズ」「エデンより彼方に」などはとても理想的とはいえない、しかし、非常に身近でリアルな男性だ。この年齢になった彼だからこそできる役かも。一見理想的に見えても、抱えているものは普通の人と同じだからだ。

映画ファンなら誰もがご存知と思うが、彼自身もいくつもの問題を抱えては乗り越えてきた。皮肉なことに10年連れ添ったメグ・ライアンとの別離後から、彼のキャリアが華やかになる。
何かふっ切れたものでもあるのか、コメディもやるようになり、彼の演じる中年男の戸惑った表情が結構おかしい。この年齢になってから役の幅が広がるとは恐れ入る。
「アメリカン・ドリームズ」でとうとう合衆国大統領役かと思えばなんとうつ病の大統領。「イン・グッド・カンパニー」では会社の合併で自分の子供ほどの男の部下になってしまう、ミッドライフ・クライシス全開の男など。

平行して「飛べ!フェニックス」のリメイク「フライト・オブ・フェニックス」でジェームズ・スチュアートが演じた機長役などヒーローぶりも健在。スポーツ選手、消防士、学者に大統領、そして理想の父親と、役が多彩で飽きない人だ。
これからも重厚な役から親しみやすい人物まで幅広く、アメリカ人の男を演じていくのだろう。重鎮と言われるようになるまで主演に傍役にその姿を見せて欲しい。

コメント

_ 哀生龍 ― 2007年04月04日 12時46分29秒

名前はもちろん、顔も良く存じ上げているのに、なぜか3作しか見たことがないと今数えて気づきました。
何故??
一度、凄く若い頃の作品を見てみたいです。

_ めかぶ ― 2007年04月04日 19時23分48秒

>なぜか3作しか見たことがない・・・
ほんとですか~?私の備忘録には25本ありました。きっと、もっと観てると思うけどな。
若い頃のものなら「グレート・ボールズ・オフ・ファイヤー」「インナースペース」あたりは是非。「熱き愛に時は流れて」にはびっくりしちゃうかもしれないけど♪
もっと若い70年代の作品は私も未見です。

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