パトリック・ウィルソン2007年08月01日 09時54分39秒

ハードキャンディ(2005)
PATRICK WILSON   1973/7/3  USA

パッと見、なかなかのハンサム。スクリーンにお目見えしたのは2004年から。なのにあまり顔も名前も話題にならないし知らない人が多いと思う。地味だとしても一応の美形であればそれなりに知られると思うのだけど、そうならない彼のことを不思議だと思っている私。

作品に恵まれていない?最初はそうかも。映画デビューが「アラモ」だからねえ(笑)。一応主役級で、共演者がビリー・ボブ・ソーントン、デニス・クェイド、ジェイソン・パトリックと渋め演技派が揃っていて、題材はかの有名なアラモの戦い。テキサスのメキシコからの独立を語るのに欠かせない「アラモを忘れるな! 」の伝説的な話である。このキャスト、題材であるにもかかわらず気の毒なくらいはずしてしまった作品・・・。
ここで若輩の中佐役を演じたウィルソン。ビリー・ボブやジェイソンの側で少しずつ成長を見せながらもアラモで仲間と一緒に散っていく。役どころとしてはいいとこだらけなのに作品が評価されなくてはなんとも。
はじめての印象は確かに若輩者(笑)。骨太な周囲の中で役なりに頼りなさげだったが演技としては悪くなかったと思う。

次は大ヒットを飛ばした「オペラ座の怪人」!
だけど気の毒なのは主演のジェラルド・バトラーに一気に注目が集中してしまったこと。本当にこれは気の毒としか言いようがない。ラウル役はどんなに魅力的に演じてもどうしたってファントムには適わないし、またバトラーが爆発的に人気が出てしまったからねえ。
ラウルの美しいルックスも舞台仕込みの美声も歌も決して悪くないんだけど仕方がない。

そう舞台出身のウィルソン。オフ・ブロードウェイからブロードウェイ。ヒュー・ジャックマンでもおなじみの「オクラホマ」とブロードウェイ版「フル・モンティ」でトニー賞ミュージカル部門最優秀主演男優賞に二年連続ノミネートされた実力派なのだ。地に足がしっかり着いていればそんな不運も乗り越えられるはず。
基礎がしっかり出来てる演技力はやはり重厚なドラマへの起用につながった。TVドラマのミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」である。
アル・パチーノ、エマ・トンプソン、ジェニファー・ジェイソン・リーなどの実力派と共演のショッキングで複雑な人間ドラマで彼はゲイに目覚める弁護士を熱演。ドラマは大評判になった。彼の演技も着実に認められたはずだ。

残念ながらドラマなので日本での知名度はそれほど上がらないが、次の作品もなかなか衝撃的。「ハードキャンディ」がそれ。赤ずきんちゃんに復讐されるロリ男?という役柄。なんだってこんな役ばかり選ぶのかね?(笑)
真面目で優しそうなハンサム男が恐怖に引きつり泣き叫ぶ大熱演。女の私でもこの危機感は臨場感たっぷりで怖かったんですけどー。
この悲劇の主人公のウィルソンはカルトムービー好きには顔を覚えてもらったことだろう。

彼の最新作は「リトル・チルドレン」。ジェニファー・コネリーという美しい妻がありながら、ケイト・ウィンスレットとの情事に走る主夫。「イン・ザ・ベッドルーム」のトッド・フィールド監督作でこれまたただものじゃない雰囲気の人間ドラマ。実は私は映画自体にはあまりピンと来なかったのだが、出演者の演技はその誰もが微細で実力の程が伺えるもので見応えがあった。ウィルソンもそのひとり。こういうタイプの作品にキャスティングされるだけの実力があることの証明だと思う。

これが日本で観られる彼の作品全部かな?まだまだこれからなんだと思うので是非とも記憶に留めて欲しい俳優なのだ。演技は勿論だが、ほんとにハンサムなんだしさ♪
ついでだが、ウィルソンはカラダもいい(笑)。いやいや、ほんとに逞しくて均整の取れた体なんだってば。考えてみるとこの人はよく脱いでるんだこれが。舞台では「フル・モンティ」だし(笑)。
役柄のせいもあるんだけど、舞台経験のせいかしっかりと作りこまれたような体は「リトル・チルドレン」でのウィンスレットとの絡みで惜しげもなくさらされているがとにかくキレイだという印象。前売券などの写真とか芸術品みたいでイヤらしさが感じられない。
アスリートみたいな体つきだと思っていたので、今回フットボールのシーンがあるのだがこれはいい。いつかそんな役で観られるといいかも。期待大!

「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」J.K.ローリング2007年08月07日 13時01分47秒

「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 J.K.ローリング
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 J.K.ローリング
HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN
by J. K. Rowling
(静山社)

夏休みにダーズリー家で禁止されている魔法を使ってしまったハリーだが罰を受けることもなく3年目のホグワーツへ向う急行に乗った。途中で吸魂鬼に襲われたり、今年のホグワーツは様子がおかしい。アズカバンの凶悪な囚人がハリーを狙っているらしいというのだった。

劇場ではこの夏5作目が公開。遅れること3年の原作読了。そういえば「指輪物語」もそうだった(笑)。
映画は公開当時に観ているが、現在公開中の「不死鳥の騎士団」は先にも述べたとおり非常に面白かった。本作の色合いとよく似ているのが3作目の「アズカバンの囚人」。現在まで公開の5本の中で一番好きなのが「アズカバンの囚人」なのだが、今回ようやく原作が追いついたところなのだ。

成長著しいハリーたち。ましてやダニエル・ラドクリフたちが子供の顔から脱出してきた最初の作品。内容的にもダークさが増し、ハリーの過去の謎が一歩大きく明かされる作品でもある。13歳にしてはちょっと厳しい試練の始まりだ。

以下、内容に触れていますのでご了承ください。

本作で大切な人物が登場するが、言うまでもなく‘アズカバンの囚人’であるシリウス・ブラックがその人。実際にハリーの両親を殺したとされていてその際に多くの一般の人間を巻き添えにして殺した罪で収監される。生き残ったハリーを殺すためにアズカバンを脱走してホグワーツにやってくるという噂だった。
しかし、実際にはブラックはハリーの父の親友でハリーの名付け親にして後見人。親しみの持てる家族のいなかったハリーにとって唯一の家族のような人物となるわけである。
それからもう一人。ハリーの味方になってくれる闇の魔術に対する防衛術のルーピン先生。彼もまたハリーの父の親友の一人。ハリーの父親の死の謎の解明とハリーの危険に身を呈して助けてくれる。
彼らの身には秘密があってそう簡単にハリーの側にはいられないのだが、ハリーの心の支えとなる人たちだ。このふたりをゲイリー・オールドマンとデヴィッド・シューリスにした製作側のセンスに大拍手!素晴らしい!

彼らの存在が中心となって物語が展開されるのだが、学校生活もクイディッチの試合や新しい占いの授業、新しい魔法生物、新しい街に新しい魔法の道具と楽しいディティールも盛りだくさん。
それのすべてがちゃーんとストーリーに重要な役割を果たしていて緻密な構成になっているのは見事。なかでもハーマイオニーのある秘密がハリーの成長に欠かせない一場面につながるくだりはよく出来ていて感心させられた。

映画は監督がクリス・コロンバスの手を離れた最初の作品でアルフォンソ・キュアロンの作となる。このディティールを余すことなく生かされた脚本が素晴らしいが原作と前2作の雰囲気を崩すことなく少し成長してかつダークな展開を遜色なく仕上げた監督の成果は素晴らしい。
作を重ねるごとに2時間強で収めるには内容が膨大になりつつある原作はこの「アズカバンの囚人」までが限界のよう。本作で省かれたのは最初に教科書類を買うダイアゴン横丁の部分と占いのトレローニ先生の授業の細部とクイディッチの試合の分量くらい。
他に違いを感じたのはスネイプ先生のキャラクター。原作ではとことんハリーに敵意むき出しだけど映画のアラン・リックマン演じるスネイプはちょっとだけハリーに好意的になっている。ロンに対する態度は、授業中おしゃべりしていてスネイプ先生に後頭部をひっぱたかれるシーンなど、映画では笑える部分としてお馴染みになりつつあるが、今回はネヴィルがその標的。

前作の「秘密の部屋」で本人たちは気がついてなさそうでも、お互いを意識しはじめていたロンとハーマイオニーは、今回は大喧嘩の連発。次の段階に行ったとみえる。次の「炎のゴブレット」に向けて順調な感じ♪

ストーリーもキャラクターもハリーたちの成長の起点となる「アズカバンの囚人」はとても魅力的。キャスティングも見事で原作も映画も大満足である。

ケヴィン・クライン2007年08月20日 19時54分35秒

デーブ(1993)
KEVIN KLINE   1947/10/24  USA

今頃何故なオヤジ俳優シリーズ。(笑)
彼も映画を観始めた頃から本当にすっかり馴染みのベテラン。しかもオスカー受賞俳優である。

本当に馴染みの俳優だから何が最初だったか定かじゃないが、多分「遠い夜明け」かな。いや違った「フレンチ・キス」だな。メグ・ライアンの相手にしてはじじむさいなと思ったんだった。しかも国籍不明な怪しさ(笑)。映画としては単純に面白かったと記憶するもののこのちょび髭の男は何者か?と思ううちに「遠い夜明け」と「ワンダとダイヤと優しい奴ら」を観たのでケヴィン・クラインという俳優がますますわからなくなったー。
でも今思えば、そこそこロマンスもコメディもシリアスな社会派までこなせる芸達者な俳優のそれぞれの一面を立て続けに見たようなものだ。

クラインの出演作は作風も時代もかなりランダムに観たので本当にバラエティに富んだキャラクターで楽しいと思ったのは確か。
「ソフィーの選択」「アイス・ストーム」「卒業の朝」のような堅いドラマがあるかと思えば、「イン&アウト」「ソープディッシュ」「デーブ」「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」といったコメディがある。
最初は「ソフィーの選択」や「遠い夜明け」でリーアム・ニーソン同様に説教臭い俳優だと思ったし、巧い人だからドラマがじんとくるのは当然。だが、この人のいいところはその巧さがコメディで活きていること。コメディがなかなか評価されない アカデミー賞で彼がオスカーを受賞したのが「ワンダとダイヤと優しい奴ら」というのが象徴的かと。
大学で演劇を学んだ後にブロードウェイでデビュー。基本がしっかりしていてコメディが得意とくればその先は実力派の道を一直線みたいな優等生俳優だね。

好きな作品はいろいろあるけど「海辺の家」の彼がとてもいい。元妻役のクリスティン・スコット・トーマスとの間の切なさも、息子役のヘイデン・クリステンセンとの演技には胸を掴まれた。
「五線譜のラブレター」のコール・ポーター役も素晴らしい。人間ドラマもだが歌ってみせるのもロマンスもスマートで且つ情熱的でセクシーなのだ。しかも男女問わずにね♪

これをアップするきっかけになったのはずっと未見だった「わが街」。ローレンス・カスダン監督のドラマで、幸福と不幸は背中合せ、ひどい世の中でも人はこれを繰り返しながらもとにかく生きていく。カスダン監督のラストに光が見えるような人生を描くドラマにクラインはぴったりはまる。監督とは相性がいいのだろう。「再会の時」も非常に秀作のドラマだが、ここから始まって「シルバラード」「殺したいほど・・・」「フレンチ・キス」もジャンルはバラバラだがどれもカスダン監督作である。

すっかり父親役が板についたドラマが定着する年代になっても、セクシーさが見える役も笑わせてくれるコメディも健在なのが嬉しい。評判は様々だけど「ピンクパンサー」のベタさ加減なんて私は好きなんだけどなあ。
でもいくらコメディでも「ワイルド・ワイルド・ウェスト」みたいな悪趣味映画はもう絶対やめてね~♪

彼の奥さんは日本でも人気を博したフィービー・ケイツ。おしどり夫婦なのは勿論、二人の子供たちともども「アニバーサリーの夜に」では共演。息子のオーウェン・クラインは「イカとクジラ」でローラ・リニーの息子役を演じたがこれが素晴らしい!将来期待できる逸材と見た!

公私共に順風満帆のクライン。この人の俳優人生はどこにも穴がなさそうだー。
インタビューでは知的に軽妙なトークを見せる。いずれ重鎮といわれるようになっても、俳優としても素顔も楽しい人でいてね~♪

デヴィッド・カルーソー2007年08月23日 12時14分27秒

CSI:マイアミ(2002~)
DAVID CARUSO   1956/1/17  USA

オヤジ俳優シリーズは続く。
80年代からわりと目にする意外と面白い傍役俳優だと思っていた。最近はしばらくご無沙汰だがそれもそのはず。現在TVシリーズ「CSI:マイアミ」が好評で5シーズン続投中。映画では傍役でしか見たことがないがこの「CSI:マイアミ」はバリバリの主役。最初に注目され人気が出たのもTVシリーズだったようだ。うーむ、TVで光るタイプの俳優だったってことだろうか~。

この人の特徴はなんといっても燃えるような明るい赤毛。ブロンドと赤毛の丁度真ん中ぐらいの色。優しいんだか怪しいんだかよくわからない中途半端な顔は間違ってもカッコいいとは言えない。でもなんだか気になる。この度合いがTV向き?(笑)
いやいや、決して彼を馬鹿にしているわけではない。実際、最初に見たときから忘れられない印象のまま20年以上記憶に留まっている人なんだからー。

カルーソーのことは映画ファンじゃなくても顔を見ている可能性が非常に高い。地上波でもよくオンエアされる有名な作品に出ているからだ。それは「愛と青春の旅だち」!
リチャード・ギア主演で、あの感動的な(と言われる)ラストシーンの、主題歌とともに超有名なラブロマンス映画だが、そこに彼は出ているのだよ。
ギアと同期の士官学校の訓練生で、あまりの精神の弱さに訓練に耐えられずに一番最初に退学してしまうんだけど、泣きそうな顔でへろへろ訓練に耐えていた彼を覚えていませんかね?なんとこれが彼のデビュー作で'82年公開。

どこかなよっちい男だった「愛と青春の旅だち」。同年の「ランボー」はスタローンを追う保安官であっさり片付けられてしまった。
「死の接吻」では主役を張ったもののこれがまた巻き込まれ型の不運な男で、彼を悪に引っ張り込むニコラス・ケイジのキレ具合にすっかり見所を持ってかれてしまった感がある。
「ボディ・カウント/ヤバい奴ら」では強盗グループの運転手。喧嘩っ早くて仲間のジョン・レグイザモとは犬猿の仲で常に一触即発の雰囲気。ま、当然ロクなことにはならない。この2本は非常にらしいチンピラぶりを見せてくれる。カッコよくなりきれない二線級のチンピラがどうもよく似合う♪

異色なのが「ハドソン・ホーク」と「セッション9」。「ハドソン・ホーク」はコメディだがカルーソーの役はとにかく笑わせる。映画自体はポンコツだがこれのカルーソーは私は一見の価値ありだと思う。この奇天烈な彼を四の五の言わずに見てもらいたい。
「セッション9」はホラー要素の高い作品だが精神異常性が絡み人が次々と狂気に走るといった内容でこのカルーソーが結構キテいる。このシリアスに異常性を見せるのは彼の演技を見るとすればこれが一番かも。

傍役俳優に多い主人公の相棒役。カルーソーの場合は「恋に落ちたら・・・」ではロバート・デ・ニーロの相棒の刑事。「プルーフ・オブ・ライフ」ではデヴィッド・モースを救出するラッセル・クロウの相棒となかなか豪華。どちらも出番は多くないが活躍してくれる部分はかなり頼もしい。
映画でカルーソーがとりあえずカッコいいといえるのは私の知る限りこんなもんかと。しかも当然傍役。それがTVの製作者からするとまたとない逸材だったのかもしれない。

TVMの「ザ・ネゴシエーター交渉人」で主演級の検事役。サスペンスとしていささかもの足りないのはTVMゆえいたしかたないがカルーソーの魅力はそこそこ感じられる。
そして「CSI:マイアミ」のチーフ、ホレイショ・ケイン役へ。
人気TVシリーズ「CSI」シリーズのマイアミ篇で主役のこのホレイショなる男のキャラクターが可笑しい。いや非常にシリアスな内容で決してコメディではないのだが~。日本語吹替版のせいもあるんだろうけど、犯人に対して強烈な憎悪を吐き出すその台詞が毎回笑わせる。カッコいいといえばカッコいいが、なんじゃそりゃ?の感もあり。カッコいいようでいて、なんだか女子供に甘くて妙に人間臭い。何、カッコつけてんの?みたいなわざとらしいカッコよさがいかにもTVらしいキャラでそれがTVファンには大うけなんじゃないかと思われる。(いやほんとに馬鹿になんかしてませんってばっ!)

最近はTVで活躍しているみたいだけどできれば映画で活躍している姿を見たいと思う人はたくさんいるが、カルーソーの場合は、ここまでくると、ホレイショ役を大事にして頑張ってくれ♪と言いたくなる。この役柄のままスクリーンじゃ絶対無理だし、これ以上に彼に似合う役が思いつかないもんね。
シリーズが終了して映画に戻ってきてくれるのならば、そうだなあ「セッション9」みたいな凝った役で始めてもらったほうがいいのかも。面白いクセ者オヤジ俳優であるのは確かなのだ。

ノア・エメリッヒ2007年08月24日 03時04分54秒

オーロラの彼方へ(2000)
NOAH EMMERICH   1965/2/27  USA

中途半端な顔の俳優シリーズに続く。(笑)
ちょっと若くなって90年代になってから目にするようになった俳優。って、ほぼ同世代じゃん。見た目に十分にオヤジだねえ。でもこの人は最初からあまり顔は変わってないかと。元から地味なオヤジ顔だったってことか。

この地味な顔のエメリッヒを思い出してもらうには何がいいか?迷わず「トゥルーマン・ショー」を挙げたいと思うがどうだろうか。嘘の世界でトゥルーマンの一番の親友として側にいた彼だ。妻役だったローラ・リニーとは違い、親友として彼にはトゥルーマンに対して役としてではない何かがなかったのかな~、と思っていた私だった。作品として「トゥルーマン・ショー」は好きなので特にエメリッヒのことも覚えやすかったのかもしれないけど、彼の役の特徴としてこの‘主人公の親友’というのが非常に多いのだ。

先に観ていて、これを機に思い出したのが「ビューティフル・ガールズ」だった。ティモシー・ハットンが帰郷して集まった友人たちの一人に彼がいた。問題を抱えた奴が多い中、家庭を持ち幸せに暮らしている人の良さそうな男だった。
その路線で決定的に顔を覚えたのは「オーロラの彼方へ」。この作品も大好きなのだがジム・カヴィーゼルの親友の彼はカヴィーゼルのお陰で株で大儲けする♪
このタイムパラドックスのおまけのような小技シークエンスが楽しく、親友の彼の存在は作品を温かくしてくれる。

「すべては愛のために」(別題「すべてはアンジーのために」・・・大嘘です!)ではクライヴ・オーウェンの救済活動仲間だがいかにも哀れな最期を遂げるので元からだけどこの映画は大嫌い。(笑)
スポーツ映画「ミラクル」はカート・ラッセルが監督するナショナルチームのコーチ役。独創的な指導をするラッセルとチームの間で戸惑いながらもラッセルのやり方を支持するようになる。チームとしてまとまっていくまでの自分の立場に揺れる表情がいい。

地味な俳優によくあるアンサンブルキャスト映画だと、「ビューティフル・ガールズ」の他には「ウィンドトーカーズ」。ニコラス・ケイジ率いる小隊の一兵士。ピーター・ストーメアやコール・ハウザーなんかもいるからちょっと印象が薄いけど。(笑)
「コップランド」にも出ていたらしいがこちらはまったく記憶にない。当り前だけど警官の一人だろうねー。

デビューは93年の「ラスト・アクション・ヒーロー」らしいが未確認。(あの中から探すのもなんだし・・・)
それから10年以上経ってここ最近、役柄にも変化が。
「セルラー」では彼の意外な一面を見た。年齢とともにちょっと恰幅がよくなってきただろうか。一般警官から堂々とした刑事に成長していた。その他大勢の一人でもないしね♪
そして性格俳優が演じそうな役柄を演じてみせた「リトル・チルドレン」。作品自体が独特の雰囲気を持つ人間ドラマだったのだが、近所に住む小児性愛癖のある元犯罪者を神経質に警告してまわる男。エメリッヒの人懐こそうな笑顔がこんなに見られない作品も初めてかな。登場人物のそれぞれが人生の転機を迎えるストーリーで、エメリッヒの役にもそれは訪れる。揺れ、戸惑う彼の微妙な表情にこれからの役の広がりを感じた。

エメリッヒはイェール大学とニューヨーク大学で学んだ才人。自ら脚本を書き短編の監督経験もあるそうだが、実の兄が「オーロラの彼方へ」の脚本を書いている。
地味だけど人の良さそうな顔が印象に残っていたエメリッヒ。主演でブレイクするようなタイプではないけれど、今後はもっと印象的かつ重要な役で上質の映画に出演している姿が見られるようになるかもしれない。