クリストファー・ウォーケン2007年08月27日 12時37分03秒

デッドゾーン(1983)
CHRISTOPHER WALKEN   1943/3/31  USA

今頃何故なオヤジ俳優シリーズに戻る~。誰でも知ってる超個性派俳優。
私の備忘録でも50本近い出演作品。新旧取り混ぜて1年に4本くらいは見ているだろう。71年のデビューから30年以上のキャリアがあるからこれからもこのペースで顔を見ることになるんではないかと思われる膨大な作品数。

映画を観始めた頃、私の中ではウォーケンは真っ先に悪役俳優に分類された。だって「トゥルー・ロマンス」「パルプ・フィクション」「デンバーに死す時」「ニック・オブ・タイム」「ラストマン・スタンディング」「バットマン・リターンズ」・・・全部なんだもん。007でも「美しき獲物たち」で悪役を演じてるし♪
人間の赤い血が流れてないんじゃないかと思うような青白い顔、冷たい目、深みのある声、その仕草。どれをとっても完璧な悪人。見ていて鬼気迫る感じがして実際に怖かった。絶対に近くにはいて欲しくない、違う世界の人でいてくださいって思った。(笑)
でもー、同時にカッコいいなとも思っていた。美しいと感じることもある。佇まいがスマートで雰囲気のある人だから。
コワイ人にも種類がある。身も凍るようなクールでスマートなタイプと真逆の見た目も中身もイカレちゃってるコワイ人。最近のウォーケンはこれが続いているような。
「デンバーに死す時」で既にその兆候はあったけど、「スリーピー・ホロウ」「ランダウン」「カンガルー・ジャック」「ステップフォード・ワイフ」など見るからにヤバいわるわる男ぶり全開。上品さが消えてクールなカッコよさをかなぐり捨ててる。「アメリカン・スウィートハート」「隣のリッチマン」「もしも昨日が選べたら」なんかひたすらイカレちゃってる役でどうしちゃったのかと思った。
すっかりエキセントリックな役を得意とする名バイプレイヤーの位置を確立。

基本的には上品な顔立ち。一見して高価とわかる衣装が似合ってしまう育ちの良さが漂う上流階級の人間らしく見える。
しかしながら熱心なステージママのもとで演技やダンスを学び幼い頃からTV番組で子役として活躍していたそうだ。その後、ブロードウェイデビューを果たし、アクターズスタジオ出身でもある。素質の上に長年積んできた経験の賜物で個性派としての演技が巧いのは当り前かも。

エキセントリックな役がずば抜けて凄い印象になったのは間違いなく助演賞でオスカーを受賞した「ディア・ハンター」のせいだろう。健康な普通の若者がベトナムの体験で心に大きな傷を負い、行き着いた先の狂気を孕む姿は衝撃的。もともと繊細そうな雰囲気を湛えているのでそのギャップの激しさはよりショックが大きかった。

そうなのだ、とても繊細そうな雰囲気がウォーケンにはある。76年「グリニッジ・ビレッジの青春」でも線の細そうな学生だったし、近年の「マイ・ボディガード」でデンゼル・ワシントンを支える友人。「ラスト・マップ真実を探して」の父親など優しさを感じさせる人物もとても印象深い。彼の演じる傷ついた過去を持つ複雑な心情を抱えた人物はとても胸を打つ。
特にお薦めしたいのが「デッドゾーン」。SFでありながら社会派サスペンス、ラブストーリー、ヒューマンドラマでもある感動的な作品。スティーヴン・キング原作の希少な傑作映画の1本だ。事故で意識不明の状態から5年後に目覚めた彼に備わっていた不思議な力。この5年の間に婚約者も失い、備わった超能力に悩み、一変した人生を受け止めて使命を感じて戦う主人公を演じるウォーケンが切なく、見ていて苦しくなるほどだった。

そしてウォーケンの珍しいロマンチックロール「潮風のサラ」シリーズ。児童文学が原作のTVMで主演はグレン・クローズ。
カンザスで農場を営むウォーケンは数年前に妻に先立たれる。子供を抱えて家事もままならない彼は新聞に再婚相手募集の広告を出してサラ(クローズ)がやってくる。「潮風のサラ」では海辺育ちで当時にしては自立している女性の彼女が保守的な土地とウォーケンたち家族に受け入れられるまで。「続・潮風のサラ」で結婚して暮らし始めた彼らを大旱魃が襲い、家族がバラバラになる。
児童文学ゆえ丁寧な作りの優しい感じがするヒューマンドラマだがクローズとウォーケンの関係がとても良い。妻を亡くした痛みからなかなか立ち直れない彼は彼女の人柄に触れるうちに癒され愛するようになっていく。特に、続編で離れ離れになっている時、そして再会した時のウォーケンの愛情溢れた表情はびっくりだ。情熱的な面は見たことがあるがラブストーリーで見たのはこれがはじめて。セクシーだわん。
ちなみにこのふたり、「ステップフォード・ワイフ」でのおっかしな夫婦役で再共演。ちょっと笑える。

「潮風のサラ」は90年代の作品。現在渋みを増してすっかり重鎮的なウォーケンだけどもっとこの手のロマンチックロールなんて見られないもんだろうか。ジェレミー・アイアンズみたいな~、なんて。
サスペンスからヒューマンドラマ。おっかしなオヤジだろうがなんだろうが役を選ばずに精力的に仕事をこなしているウォーケン。なんでもこいというか楽しんで演じている余裕なんじゃないだろうか。これからもまだまだ期待していいよね♪

コメント

_ とらねこ ― 2007年08月28日 23時39分40秒

こんばんは。
私には、なんだかんだ言って忘れられないのが、『マウス・ハント』の彼だったり、Fatboy SlimのPVで踊りまくる彼だったりしました☆
TBしますね~

_ めかぶ ― 2007年08月29日 22時26分30秒

とらねこさん、楽しいTBをありがとう!
これは知らなかったです!
踊りまくるウォーケンは「ラスト・マップ真実を探して」も見られます。
確かにカッコいいんだ、あの自己流ダンス♪
ギャップがなんともいえずいいんだよねえ。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mekabu.asablo.jp/blog/2007/08/27/1754552/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

_ レザボアCATs - 2007年08月28日 23時40分50秒



これ、知ってます?クリストファー・ウォーケンが踊りまくるビデオ。かなり自己流なダンスなんだけど、カッコいいです。イッちゃってます。しかも、「飛びます飛びます」(by 筋肉少女帯)空中を飛んで壁にとびつく姿は、ほとんどDIO!(byジョジョの奇妙な冒険←あ、これ...