ウッディ・ハレルソン2008年03月23日 16時23分25秒

幸福の条件(1993)
WOODY HARRELSON  1961/7/23  USA

私が取り上げるのはイケメン俳優ばかりではない。ケヴィン・ベーコンをはじめとする性格俳優も大好き。今日、紹介するのはこれまた80年代から独自路線を安定したペースで活躍している性格俳優、ウッディ・ハレルソンである。

見た目は強面。当然のことながら悪役は得意中の得意。オファーも多いことと思われる。なんといっても「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のシリアルキラー。あのスキンヘッドに丸眼鏡タイプのサングラスの男。にやりと笑みを浮かべながら、がんがん人を殺していく。薄ら寒さを感じるが、この人もどこか爬虫類系の冷たさがあるんだよねぇ。
最新作の「ノーカントリー」で彼が出てきたときには、まあ、普通の人じゃないだろうなと雰囲気でわかってしまう。コーエン兄弟作品で彼がどう扱われるのか非常に期待してしまった。そんなに登場シーンは多くないのに、立派に作品の中に馴染んでいる辺り、コーエン兄弟の彼の掴み方が的を得ていたと思うのよね。

でも最初に見て顔を憶えたのは実は、作品的には散々な評価の「幸福の条件」。デミ・ムーアとロバート・レッドフォードのやつですわよ(笑)。ハレルソンはお金のために妻を富豪に貸す夫の役。今思えば、なんでこの役にハレルソン?ちょっと情けないにもほどがあるあんまりな役で、翌年「ナチュラル・ボーン・キラーズ」を選んだ気持ちがわからないでもないかなと(笑)。

悪役というか、この薄気味悪さが製作者側のイメージに直結するのだろうか、奇人変人系も多い。「エドtv」のマシュー・マコナヘーのイカれた兄貴。「N.Y.式ハッピー・セラピー」「スキャナー・ダークリー」のイカれぶりも結構なものだ。
最たるものはオスカーにもノミネートされた「ラリー・フリント」でしょうな。知り合いにはいて欲しくないエキセントリックな人物。実在する人なんだけど、ほんとにこんななんだろうか~?
次々にこの手の彼を見てハレルソンのイメージを私も掴んではきたわけなのだが。

しかしながら悪役専門のように見えて、実は誠実な人間の役も同じくらいあるんだよね。しかもそれが結構印象深い。私が最初に、おっ?と思ったのは「心の指紋」を観たときである。
彼はエリート医師なのだが、死を目前にしたネイティブ・アメリカンの青年と旅をするうちに自分を見つめなおしていくというストーリーなんだけれど、とっても自然で彼と一緒に旅をしている気分になったことを覚えている。
近年の「スタンドアップ」も意外なタイプかも。女性労働者へのセクハラ訴訟という実際の事件を元にしたシャーリーズ・セロン主演の作品だが、だんだん頼もしい存在になっていく弁護士役がハレルソン。にっこりすると結構笑顔がやわらかいのよ(笑)。年齢を重ねてきたからかもしれないけど人間味が増して、その分より演じ分けが自在になってきた気がします。

もうひとつ彼に似合うタイプの作品があると思うのだけど。ハレルソンはコメディもいける!しかもバディムービーに向いていると思う。「マネートレイン」「ハード・プレイ」で二度コンビを組んだウェズリー・スナイプス。「ダイヤモンド・イン・パラダイス」のピアース・ブロスナン。「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のジョン・C・ライリー。どれをとっても緩急つけた掛け合いが見事で、そこは役者として巧いんだろうなと感心する。「今宵、フィッツジェラルド劇場で」の軽妙さは最高だ。
一見強面でボケたりするから結構面白いのだ。コメディで違和感なく見せている辺りも性格俳優の一面。この人は役の幅は相当広いはず。

一方でこうしたエンタメやコメディにも出ていながら、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」「シン・レッド・ライン」先にも述べた「スタンドアップ」など社会的な作品への出演が多いのもこの人の傾向。いってみれば「ナチュラル・ボーン・キラーズ」もそうかもしれない。
変り種の作品も多く、「スキャナー・ダークリー」「セレブの種」なんてものもある。オファーがくること自体、彼のキャラクターが伺えるってものだが、面白そうだと思えば、どんどん挑戦している姿勢が見えるフィルモグラフィーだ。だから偏りなく、80年代のデビュー時からコンスタントに姿を見ているのだと思う。この安定感、今後もそのスタンスは変わらないだろう。

俳優としてのデビューは舞台が先で、本国ではTVシリーズ「チアーズ」で有名になったのだそうだ。先に社会性の強い作品が良く見られると書いたが、地球環境のために質素で自然な生活を目指す運動を行っているのだそうだ。

コメント

_ ゆりえ ― 2008年03月24日 10時35分35秒

おはようござんす。

前にゴシップ・ニュースで、ハレルソンの父親が殺人犯で刑務所に収監中に病死、とかいうのを読んだ記憶があります。
プライベートも波乱万丈なのかもしれませんな。

「NY式ハッピーセラピー」の彼は笑ったな。

_ めかぶ ― 2008年03月27日 20時43分15秒

ハレルソンにコメントをくれたのが、ゆりえさんって。
なんか、ひとりでにんまりしてしまいました(笑)。

狂気的な役をやる人って、やっぱり、どこか薄暗い部分があったりしますよね。やっぱりどこけで影響を受けてるのかなと思ってしまいますけど~。

_ 哀生龍 ― 2008年08月10日 18時52分49秒

見ている作品はあまり多くは無いけれど、哀生龍にとっても出ていると必ず印象に残る俳優さんです。
『俺たちダンクシューター』の彼がやたらめったらカッコ良く見えてしまい、未見作を見なくちゃいけないなと思いました。

_ めかぶ ― 2008年08月17日 18時35分55秒

ウッディ・ハレルソンを、薦めたいけどどう薦めたらいいものか、
ちょっと悩んでしまうタイプの俳優ではありますが、
りんさんなら、まあいいか(笑)
思いついたところから、かたっぱしから観ておくれ~♪

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