ACTOR INDEX2008年05月04日 07時34分52秒

俳優名INDEXです。

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これって、私の好みの一覧表ってことだよねぇ・・・(笑)。


actor(英数※カテゴリなし): 

D・J・クォールズ ☆actor/ディザスタームービーのアンサンブルキャスト


actor(ア行):

アーロン・エクハート
アシュレー・ジャッド
アヌーク・エーメ
アラン・リックマン ☆actor/ハリウッド映画の悪役英国俳優たち
アレッサンドロ・ニヴォラ
アンドリュー・マッカーシー
アントン・イェルチン
イーサン・エンブリー
イーサン・ホーク
ヴィニー・ジョーンズ ☆actor/英国刑務所映画の主役たち
ウィリアム・H・メイシー ☆actor/「マグノリア」の個性派3人
ウィリアム・フィックナー ★actor/ディザスタームービーのアンサンブルキャスト
ウィル・パットン ★actor/ディザスタームービーのアンサンブルキャスト
ウッディ・ハレルソン
エイドリアン・ブロディ
エド・ハリス
エドワード・ノートン
エミリー・モーティマー
エリザベス・シュー
エリック・バナ
エリック・クリスチャン・オルセン
エルデン・ヘンソン
オリヴァー・プラット
オリヴィエ・マルティネス


actor(カ行):

カール・アーバン
ガエル・ガルシア・ベルナル
ガブリエル・バーン
ガブリエル・マクト
キーファー・サザーランド">
ギャスパー・ウリエル
キャンベル・スコット
クライヴ・オーウェン ☆actor/英国刑務所映画の主役たち
クリス・オドネル
クリス・クーパー
クリスチャン・スレイター
クリスチャン・ベール
クリストファー・ウォーケン
クリストファー・エクルストン
グレッグ・キニア
ゲイリー・オールドマン ☆actor/ハリウッド映画の悪役英国俳優たち
ケヴィン・クライン
ケヴィン・ベーコン
コール・ハウザー
コリン・ハンクス
コリン・ファース


actor(サ行):

サイモン・ベイカー
サンドリーヌ・ボネール
ジェイ・モー
ジェイク・ウェバー
ジェイソン・アイザックス
ジェイソン・ベイトマン
ジェイミー・ドレイヴン
ジェイミー・バンバー
ジェイミー・ベル
ジェームズ・ネズビット ☆actor/英国刑務所映画の主役たち
ジェームズ・バッジ・デール
ジェームズ・マカヴォイ
シェーン・ウェスト
ジェフ・ブリッジス
ジェレミー・アイアンズ ☆actor/ハリウッド映画の悪役英国俳優たち
ジャスティン・ロング
ジャック・ガンブラン
ジャック・ノーズワージー
ジャン・ユーグ・オングラード
ジュード・ロウ
ジュリア・スタイルズ
ジョエル・エドガートン
ショーン・パトリック・フラナリー
ショーン・ビーン
ショーン・ペン
ジョゼフ・ゴードン・レヴィット
ジョッシュ・ハッチャーソン
ジョッシュ・ルーカス
ジョディ・フォスター
ジョナサン・リース・マイヤーズ
ジョン・C・ライリー ☆actor/「マグノリア」の個性派3人
ジョン・キューザック
スコット・スピードマン
スチュアート・タウンゼント
スティーヴ・クーガン
スティーヴ・ザーン
スティーヴン・ディレーン
スティーヴン・ドーフ
ステラン・スカルスゲールド
セス・グリーン


actor(タ行):

ダイアン・レイン
ダニエル・オートゥイユ
ダニエル・クレイグ
ダミアン・ルイス ☆actor/「ドリームキャッチャー」のメインキャスト「バンド・オブ・ブラザーズ」の兵士たち
ディエゴ・ルナ
ティム・ロス ☆actor/ハリウッド映画の悪役英国俳優たち
ティム・ロビンス
ティモシー・オリファント ★actor/「ドリームキャッチャー」のメインキャスト
ティモシー・ハットン
ティル・シュヴァイガー
デヴィッド・ウェナム
デヴィッド・カルーソー
デヴィッド・クラムホルツ
デヴィッド・シューリス
デヴィッド・ストラザーン
デヴィッド・モース
デヴォン・サワ
デズモンド・ハリントン
デニス・クエイド
テレンス・ハワード
トーマス・クレッチマン
ドナル・ローグ
トニー・カラン
トビー・スティーヴンス
トム・ホランダー


actor(ナ行):

ニコライ・コスター・ワルドウ
ノア・エメリッヒ


actor(ハ行):

パトリック・ウィルソン
パトリック・スウェイジ
パトリック・デンプシー
バリー・ペッパー
ハンク・アザリア
ピーター・サースガード
ヒュー・ダンシー
ビル・ナイ
ビル・パクストン
ビル・プルマン
ヴィゴ・モーテンセン
フィリップ・シーモア・ホフマン ☆actor/「マグノリア」の個性派3人
ヴィンセント・カーシーザー
ブノワ・マジメル
フランク・ホウェリー
ブルース・グリーンウッド
ブルース・デイヴィソン
ブレッキン・メイヤー
フレディ・ロドリゲス
ベン・フォスター
ホアキン・フェニックス
ポール・ジアマッティ
ポール・ベタニー


actor(マ行):

マーク・ウォールバーグ
マーク・ダカスコス
マイケル・アンガラーノ
マイケル・シーン
マイケル・ビーン
マシュー・グード
マシュー・モディン
マット・クレイヴン
マリア・ベロ
ミランダ・オットー
モーガン・フリーマン
モーラ・ティアニー


actor(ヤ行※カテゴリなし): 

ユアン・マクレガー ☆actor(サ行)/ユアン・マクレガーとジュード・ロウ


actor(ラ行):

ライナス・ローチ
リーアム・ニーソン
リチャード・ジェンキンズ
リチャード・ロクスボロー
リッキー・シュローダー
ルパート・グレーヴス
ルパート・ペンリー=ジョーンズ.
レニー・ゼルウェガー
ローラ・リネイ
ロバート・カーライル
ロバート・ダウニー・Jr.
ロバート・レッドフォード.
ロマン・デュリス.
ロン・エルダード

ロマン・デュリス2008年05月04日 13時03分06秒

ロシアン・ドールズ(2005)
ROMAIN DURIS  1974/5/28 フランス

一見して濃い。決して私の好みのルックスではない。でもデュリスが出ていると、なぜか彼に目が釘付けになる。とても観る者を惹きつける何かを持っている、魅了するものがある人だ。

もともとそういう魅力のある人なんだと思うが、私が惹かれた理由はもうひとつある。セドリック・クラピッシュとの相性の良さが抜群で新作の“Paris”で6本を数えるが、クラピッシュ作品中のデュリスがどれをとってもキャラクターがいいのだ。基本的にクラピッシュ作品は大好きなんだけど、デュリスに注目したのはクラピッシュ作品がきっかけ。じゃなかったら、私の好みの違いからしてもそれほど気に留める俳優にならなかったかもしれない~。

デュリスのデビューはクラピッシュの「青春シンドローム」に始まる。これを観たのはつい最近。高校時代の同級生4人がある病院で再会する。そこにデュリスはいない。高校時代の場面に戻ってとっても可愛らしい彼等とデュリスの姿があった。学校という体制に反撥し、バカ騒ぎを繰り返しながらも、一方では丸め込まれるものあり、高校生ならではの悩みにぶち当たり、悩み、傷つき・・・。よくある話かもしれないけど、素直にどこか染み入ってしまう。デュリスのキャラクターがまた、しんみりさせる役どころ。クラピッシュが彼を気に入って起用する訳がなんとなくわかる気がする。

私が最初にデュリスを気に入ったのは同じクラピッシュ作品の「パリの確率」だった。これがまた変わった作品でSF?コメディ?なんとも形容しがたい変わった作品なんだが、かなり好きなんだよねぇ。デュリスと名優ジャン・ポール・ベルモントの関係が可笑しいったらない。なんつったってデュリスのほうが“パパ”ですもん。

作品が面白かったのでそれで憶えていたデュリスを、好きだなーと思ったのは「スパニッシュ・アパートメント」から。これもクラピッシュ作品だと知って彼とのコンビを改めて追いかけ始めることになった。
「スパニッシュ・アパートメント」は続編の「ロシアン・ドールズ」と合わせて私の永久保存版。バルセロナに集まったヨーロッパ各国の学生たちの青春ドラマだが、中心となるデュリスの魅力大爆発。このデュリスのキャラクターは決して褒められたキャラクターではないんだけど、“20代から30代の男(の子?)ってこんなもんだよ~”と、女の私はそう思う。生々しくはあるけれど、とっても素直。誘惑に駆られることもあり、そして裏切ってしまうこともある。それを後悔して焦り、本当に愛する人のもとに全力で戻ろうとする。それでいいじゃないの、可愛いじゃないの!内心、一時は泣いてしまっても、怒りまくっていたとしても、受け止めて許してやれる女になりたいと私は思うのだ。
そう、許せてしまう可愛さがデュリスにはある。そんな男のリアルさというか素直さというか、ストレートに伝わってきて、ある意味清々しいとさえ思えるのだよね。これって、デュリスだからかもしれない。世の男どもみんなに通用することではないでしょうな(笑)。

この2本で決定的に気に入ってしまったデュリスだが、彼の魅力は作家性のある監督にとっても感じるものがあるらしく、トニー・ガトリフにも気に入られて「ガッジョ・ディーロ」「愛より強い旅」。ジャック・オディアールの「真夜中のピアニスト」に起用される。
クラピッシュ作品に見られる素直な若者像とはまた違ったタイプの役だが、どれも見応えあり、俳優としてのデュリスの幅の広さを認識した。ガトリフ作品のデュリスは野生児そのもの。溢れんばかりの生を撒き散らしながら旅する青年が、眩しいくらいスクリーンいっぱいに飛び跳ねている印象を与える。
「真夜中のピアニスト」はフィルムノアールといったタッチの作品だが、タイプは違えども彼が演じる青年に、やはり人間としての生を常に感じるのだよね。何か発するオーラみたいなものがあるのかなぁ。

毛色は違うが、娯楽性いっぱいの「ドーベルマン」のキレまくったデュリスも捨てがたい。ヴァンサン・カッセルやモニカ・ベルッチといった中で弟分のデュリスがある意味可愛い(?)ぞ。
評判は、ちと微妙だが、「ルパン」ではタイトルロールのアルセーヌで、優雅にコスチュームアクションを披露。
ロマン・コッポラの「CQ」にも出てますが、これは目を凝らして探してみてくだされ。
ハリウッド俳優に混じって「ル・ディヴォース」なんかにも出ていてびっくりしたが、なるほど活躍の場はいくらでも広げられそう。

でも、デュリスの基本はフランス映画でしょう。これからのフランス映画界を背負って立ってもらいたいと思う人は大勢いるはずだ。
でも今は、新作のクラピッシュとの新作“Paris”が楽しみであるー♪

ジェームズ・マカヴォイ2008年05月11日 14時23分39秒

ペネロピ(2006)
JAMES MCAVOY  1979/4/21 UK/スコットランド

近年、めきめきと人気急上昇のマカヴォイ。私もまんまと引っかかってる一人だけどね(笑)。こんな魅力的な俳優が、なんで今まで埋もれていたんでしょう?英国俳優は奥が深いわぁ♪
彼を知ったのはご多分に漏れず「ナルニア国物語」のタムナスさん。半獣フォーンのキャラクターゆえ、その時は彼の魅力は未知のものだった。その後、何本もの作品を観るうちに、いやいやタムナスさんだって彼ならではの特徴が出ていたじゃないかと思える。自信なさげな上目遣いの眼差し。透きとおるような瞳はブルー?グレー?グリーン?
線の細い感じがどこか頼りない守ってあげたくなるキャラクターに似合う。

「ラストキング・オブ・スコットランド」で、フォレスト・ウィテカーの隣にいるひょろっとした青年がタムナスさんだと知って驚いた。人間というもっと身近に感じられる役で、彼の役者的魅力に初めて触れた。なんだか優柔不断で、誘惑にも弱い。長いものには巻かれろってな軟弱な青年役がリアル。
映像的に痛いシーンがあって直視できない場面もあったが、恐怖に怯える青年医師のマカヴォイにはなんとか生き延びて欲しいと思わずにいられなかった。そう思わせるのも彼ならではじゃないかな。

「ナルニア」が最初だと思っていたのだけど、実は「ウィンブルドン」で見ていたはずだったが、全然記憶になし。ポール・ベタニーのちゃりんこ乗りの弟だったとはね。その頃はベタニーとニコライ・コスター・ワルドウしか目に入ってなかったわ(笑)。再見して認識した。軽薄な男だなぁ。
もう1本、観ていたはずだけど全然気がつかなかったのが「バンド・オブ・ブラザーズ」。ジェームズ・ミラー一等兵って誰よ・・・。また再見して確かめないと~。

私が注目するに至ったのは「ペネロピ」のせい。もう、なんってキュートなのかしらん♪
呪いをかけられたクリスティナ・リッチに惹かれるワケあり青年のマカヴォイ。惹かれているのに、プロポーズされても断ってしまったのは彼の良心のため。階段の下から彼女を見上げる瞳の切なげなこと。だからこそラストの、がばちょ!なキスシーンが堪らんのだね(笑)。
これで一挙に評価が上がったわけで、次の「つぐない」への期待は否が応でも高まったわけである。

しかしながら「つぐない」はマカヴォイとキーラ・ナイトレーの切ないラブストーリーだけに非ず。主人公はナイトレーの妹で、彼女の心の成長と罪のお話。引き裂かれてしまった恋人たちのマカヴォイは、彼女の元に帰るべく戦場をひたすら歩く。傷を負い、ひょろっとして今にも崩折れそうな彼が痛ましい。ナイトレーと一緒の時よりも離れている時の方が彼らしい魅力に溢れていた。

少し前の作品になるTVMの「ダンシング・インサイド」は、小児麻痺の青年に自由に生きる勇気を与えてくれる筋ジストロフィーの青年役。主人公の小児麻痺の青年役のスティーヴン・ロバートソンとの友情も心に沁みる良い作品だった。
首から下が動かない、言葉と表情だけで自由を謳歌しようと主張するマカヴォイが生き生きして見えるんだから不思議!

いつになく自信たっぷりの横柄なキャラクターは新鮮。タイプキャストばかりが続く若手俳優じゃなさそうだぞと、認識を新たにした。確かな演技力を強烈に感じた1本でもある。障害者の役だからというのではなく、自由が利かないからこそ、力強く生きる人間の力、心の表現力に心底傾いた。マカヴォイに注目の方で未見であれば、是非ともご覧になっていただきたい。
もともと実力のある俳優なんだと思われる。今後のますますの活躍を期待したい。

のだけどー、新作がアンジェリーナ・ジョリーと共演ってのが何か気に食わない(笑)。
カップリングが気に入らないと作品そのものの評価も微妙になる私。「ラストキング・オブ・スコットランド」はケリー・ワシントン。「つぐない」はキーラ・ナイトレー。どっちも世評ほどぐっとこなかったのはこの相手役のキャスティングのせいだと思って間違いないー。
クリスティナ・リッチとの「ペネロピ」は完璧。今のところ今年のベスト作品の座にいるのだっ♪

「フリッカー、あるいは映画の魔」 セオドア・ローザック2008年05月17日 10時53分08秒

「フリッカー、あるいは映画の魔」 セオドア・ローザック
「フリッカー、あるいは映画の魔」 セオドア・ローザック
FLICKER
by Theodore Roszak
(文藝春秋)

主人公の男の映画に纏わる人生は、高校生の時分にエロティックなところを求めて入った映画館で観たルイ・マルの「恋人たち」に始まり、数年後にある地下劇場でマックス・キャッスルなる監督によるB級ホラー映画に出会ってから急転する。

いやはや、難解というか、けったいというか、みょうちくりんというか、おっかしな本を読んだ。
例によって、1999年版「このミス」海外編第1位の傑作ミステリーっていうのと、タイトルに映画って入ってるし、映画製作の業界内で起こるサスペンスなのかと思ったら、・・・やー、確かにそうなんだけど、でも違うー。
そんな理由で図書館に予約。届いたよってんで行ってみれば、出てきたのはA5版で厚さ22㎝。570ページのシロモノだった。しかも開けてみれば、2段組で文字がびっしり。これは2週間の貸し出し期間では絶対に読めん!と、即行思った。事実、1ヶ月以上かかった。こんな本に次の予約が入っているわけはなく、余裕で延長は出来ましたけどね。それにしても、それはボリュームだけの問題ではなく・・・。

作品自体はクズ映画の域を出ないとしても、その映画から感じる恐怖感、嫌悪感に強烈に惹かれて、彼の作品をもっと観たいと思った主人公だが、マックス・キャッスルは何本かのホラー作品を残して映画界からふっと消えてしまった。彼の消息と映画に隠されたここまで惹かれる魅力の謎を辿る、主人公の追跡が始まるわけだがー。

こういうミステリーなの?いつ事件が始まるのかと思って読んでいて、途中ではたと、自分の思い違いに気がついた。だってミステリーって言ったじゃん~。冒頭からずーーーーーっと、主人公の映画にはまっていく青春小説みたいな展開なのだ。それはそれで面白かったりするんだけどね。
ところが、それが中盤から怪しく変わっていくのだ。青春期の熱くエロティックな恋人との関係から、彼女が映画に精通していたために、ずぶずぶとその奥義に踏み込んでいくところから、マックス・キャッスルなる監督作品の不気味な仕掛けの究明に躍起になっていくあたり、だんだん、どろっとしたどす黒いものが全体に漂ってくる。

マックス・キャッスル作品はホラー、スプラッター系にエログロが混じった猟奇的で不快感100%な映像満載。さらに、映像にあらゆるトリックを隠すことで、観る者に嫌悪感、恐怖感を与えることに成功していたらしく、今でいうサブリミナル効果や、それ以外の不可視な部分に細工を施していたことを主人公は突き止める。キャッスルの消息を辿り、関係者に会い話を聞くうちに、現れてきたのは・・・宗教であった。

こうなると私は困る。途中からもしかしたらと思っていはいたが、まんまと宗教に関する記述になると途端に読む速度が・・・。

かいつまんで言うと、この教団は異端で正道のキリスト教から根絶の扱いを受けてきたようで、その教義たるや・・・よくわからんが変なのだ。普通じゃない。その最たるや主な活動が、孤児を集め教育を施して世に放つことで・・・何を企んでいるかは・・・である。
その一端がマックス・キャッスルの映画技術であるというわけだ。万人の見る映画に細工が施されてそこに怪しい宗教の意図が絡んでいるとしたら?てなわけだね。
ハリウッドの内幕事情や政治も微妙に絡み、挙句の果てに怪しい宗教団体の世界に足を踏み入れてしまった主人公の運命やいかに!みたいな話である。

途中まで読んでいて、宗教の絡むミステリーっていうと(まだその時は、これがミステリーなのか?と思ってたけど)、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出した。宗教描写やその歴史、教義にまつわる記述は、内容は全然違えどもまさにそんな感じ。眠くなるし、進まないし、わっかんね~と思って読んでいた(笑)。

もうひとつ目立った特徴が、それも大きな特徴が、中心となるマックス・キャッスルとその一派による映画作品がおっそろしくエログロなところだ。彼の後継者の若い監督が出てくるのだが、彼の作品がキャッスルを凌ぐ強烈なグロ!この描写は嫌な人はホントに嫌だと思う。
一方、主人公の実生活のエロ描写がまたおっかしい。いや変な意味じゃなくて・・・かわいいもんなのだな。主人公の恋愛に関する部分はちょっとした恋愛小説の趣もあるから、この作中においてはちょっと驚き。しかしながらこの対照的なところも実は話の核に微妙に関係しているような気がするんだけど。

“フリッカー”とは映像に現れるちらつきのこと。人間がこれを長時間見ていると疲労、眩暈、吐き気をもよおすのだそうだ。言ってみれば、キャッスルは作品の中にこの技術をはじめとするトリックを用いたわけだ。このいろんなトリックが文中に現れる。
また、30~50年にかけての映画業界をも舞台としているため実名の作品、作家、ましてや監督までも登場し、業界の裏事情、トリビアもふんだんにある・・・はず。まあ、どこまでがホントでどこから嘘か私にはそんなことは知らぬ存ぜぬで、まったくピンと来ないので、前述のトリック類やその時代の作品に深い映画通の人が読めばもっと面白いのではなかろうかと思う。

苦労はしたものの読み終わってみれば、ストーリーとしてましてや最初は懐疑的だったミステリーとしてもまあ、面白かったといえるみたいだ。傑作!と私には言えないが、なるほどこの緻密さ、深さを思うとそう言われて然りかと。エンタメ性には欠けるが、そういう意味ではやっぱり「ダ・ヴィンチ・コード」を思わせるかもね。

そう、かなり読みにくかったのとエンタメ性に欠けるためだと思う。いつもの私の読み方である妄想キャスティングはまったく思い浮かばなかった。楽しく映像が浮かんでこないのが大きい。浮かんでも、自分の好きな役者の顔にならない。全然知らない西洋人の顔?(笑)。映像化で観たい気にならなかったってことだろうねぇ。

しかし疲れたよ。次は軽い恋愛ものでも読もう。

ジョン・キューザック2008年05月18日 17時21分31秒

ハイ・フィデリティ(2000)
JOHN CUSACK   1966/6/28 USA

最新作で見たキューザックに、昔から彼に馴染みのある人ならば少なからずとも衝撃を受けたはずだ。私とそう歳が違わないんだけど、80年代からゆでたまごみたいにツルンとして、いつまでも歳をとらないようなイメージでいたのだが、その新作で見た彼は、メタボな中年っちゅうか・・・。ショックだなあ。

もういつ見たのが最初だかなんてわからない。たぶんに多くのジョン・ヒューズ作品でちょこちょこ見かけたのが最初だろう。「すてきな片想い 」「ブレックファスト・クラブ 」「 ときめきサイエンス 」「フェリスはある朝突然に 」「大災難P.T.A」「結婚の条件」と、そのほとんどに、しかも姉のジョーンとともに出演している。ジョン・ヒューズ組の一員として、彼とは親しいようでチョイ役でも嬉々として演じているように見える。この二人を探すのもジョン・ヒューズ作品を観る楽しみの一つ(笑)。

ジョン・ヒューズ作品に限らず、キューザックは80年代の青春映画の常連。「セイ・エニシング」「シュア・シング」「恋のスクランブル」「ワン・クレイジー・サマー」、そして「スタンド・バイ・ミー」。80年代はキラキラした明るく甘酸っぱくそして切ない青春映画がたくさんあったが、その時代に欠かせない若手俳優だった。ロブ・ロウやマット・ディロンのように主役級の二枚目とは言い切れずこれといって特徴もない、クラスメイトにいそうなタイプというか。主役でもそのスタンスは変わらず、普通の男の子ならではのキャラクター。それがいいんだなあ。

思うに彼の代表作って何だろう?これといった決定打は思い浮かばない。だけど、青春映画時代を過ぎて90年代には社会派ドラマからコメディ、サスペンスとジャンルを問わず幅広い作品で活躍。どんな作品でも彼らしさはそのままに、その作品の中にいつもしっくり溶け込んでいる。たとえ主演であっても、俺が俺が!ってタイプじゃなく、存在感がうるさくない。薄いんじゃないよ。うるさくないのだ。
主演のような助演のような役が多いのかな?「訣別の街」はアル・パチーノ、「真夜中のサバナ」はケヴィン・スペイシー、「トゥルー・カラーズ」はジェームズ・スペイダー、「マルコヴィッチの穴」はジョン・マルコヴィッチとキャメロン・ディアス、「狂っちゃいないぜ」はビリー・ボブ・ソーントン・・・。挙げていくとキリがない(笑)。
でも決して彼らに負けているわけじゃないんだな。キューザックはキューザックなんだもの。

そんなわけで作品のタイプは様々だが、私は80年代の雰囲気やキャラクターがそのまま大人になったようなキャラクターの彼に惹かれるのかなー。
「ポイント・ブランク」のなんだか冴えない殺し屋。鬱々とした気分を抱えている「ハイ・フィデリティ」、おたおたばたばたしてる「ブロードウェイと銃弾」。これがまた、うろたえる場面が浮かびやすいってなんなんだろうね(笑)。
その傾向はロマンチックロールでも同じ。やっぱりじたばたしてる「アメリカン・スウィートハート」、なんだか優柔不断な「セレンディピティ」、カッコよくいかない「理想の恋人.com」。
でも、そこがいいのかな♪
基本的にあたりの柔らかい優しそうなルックス。普通の人はいつもそんなにカッコよくきめてるわけじゃない。悩んで迷ってじたばたおたおたするのが常なのだ。だからそんな彼に親しみが持てるのかもしれないね。

しかしいつもそれでは俳優として代わり映えしない。優しそうだから、平凡そうだから、サスペンスで表情を変えず、冷たい態度をとってたりすると、真相が読めにくいかもしれない。何か怪しいけどどうなんだろう?って。「“アイデンティティー”」はアンサンブルキャストだったけど、彼をはじめキャラクターが多彩で展開も読みにくくてサスペンスとして面白かったな。あまりそういうタイプの作品では見られないキューザックの一面が見られたのも嬉しかった。
サスペンスは彼の場合、「アイス・ハーヴェスト」みたいに途中からコメディっぽくなったりして、ほんとにストーリー展開が読めないってこともあるのはご愛嬌(笑)。

こういってるとコメディ俳優みたいに思われると困るので、真面目な作品もあることを挙げておこう。「シン・レッド・ライン」「クレイドル・ウィル・ロック」「エイトメン・アウト」「心の地図」「アドルフの画集」「シャドー・メーカーズ」などなど。実在の人物、史実に基づいた題材を扱ったものなども多く、本人も基本的にインテリなんじゃないかと思う。筋金入りのリベラルなんだそうだ。
古い作品になるが、あまり知られていない「シャドー・メーカーズ」のキューザックはかなり衝撃的だった。これは本人確固たる意思がなければ出来ない役だと思いましたわ。未見であれば是非。

そして、新作の「さよなら。いつかわかること」。非常に微妙なテーマの作品なんだけどもね。
青春映画の爽やかさは面影を潜め、二人の娘を持ち、ホームセンターで働くややメタボな中年男のキューザック。これは作品のタイプを考えて意図したものなのだろうか。そのルックスはとにかく驚いた。
感想はそれぞれだと思うのだけど、彼の作品に対する姿勢も含めて、長く彼を見てきた方にはぜひとも観て頂きたい作品ではある。

80年代からブランクもなく長くコンスタントにキャリアを重ねてきたキューザック。自ら脚本を手がけたり、劇団を主催し演出することもあるそうだ。
1年に1本は新作で顔を見られる感覚だし、どの作品も「あー、キューザックだな~」と安心して見ていられた。だけど特に注目して追いかけることはなかったのだけども・・・、「さよなら。いつかわかること」を観て、40代に突入した彼の今後の作品に興味を覚えた。
いつものおたおたするキャラクターも好きなんだけど、ちょっと俳優として別の見方が出来る作品が増えてくるのかなと思った次第である。