レールズ&タイズ2009年01月12日 13時53分47秒

レールズ&タイズ(2007)
画像元ページ:www.cinema-france.com/.../news4649_rails-ties-en-photos.html

レールズ&タイズ RAILS & TIES
2007 米 監督:アリソン・イーストウッド
ケヴィン・ベーコン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、マイルス・ヘイザー、マリン・ヒンクル、ローラ・セロン、マーゴ・マーティンデイル

ガンで余命幾許もない妻のある鉄道運転士。彼の運転時、線路に無理心中を図ろうとした車が立ち往生。カーブの先にあった踏み切りに車両を見つけた彼は脱線の可能性を判断し、緊急停止措置を行わずできる限り減速して車に突っ込む。母親は死亡、同乗していた息子は辛くも逃げのびた。数日後、里子に出された少年は里親の家を出て子のいない運転士と妻の家にやってきて怒りをぶちまける。

最初に断っておきますが、私はケヴィン・ベーコンが大好きです。数々好きな俳優がいますが彼が最高に好きです。なのでケヴィン贔屓のレビューになってしまうと思われますので、参考にできないと判断される方はここまで。

命が消えるとともにふたりの関係も微妙になりかけていた夫婦の元に飛び込んできた、事故被害者の息子の少年。妻の願いで、捜索願の出ている少年を匿うことになり始まった束の間の擬似親子生活は彼らの心に変化をもたらしていく。

監督がアリソン・イーストウッド、共演がマーシャ・ゲイ・ハーデン・・・必然、思い出されるのがクリント・イーストウッド監督作の「ミスティック・リバー」。製作は当然クリント主宰の製作会社。七光りと手前味噌な感じは否めないがそこは好みの問題。
ケヴィンの長編監督デビュー作も子供が中心の「バイバイ、ママ」。彼の出演作品に数あるひとつのタイプ。「ウィズ・ユー」「woodsman」「マイ・ドッグ・スキップ」「コール」「バルト」・・・。基本、彼の参加したい作品の一種の傾向が見える昨今。ちょっと鼻白むと言われれば否定できないのだけど、映画人として彼の作りたい映画に対する真面目な姿勢が伺える。
作品として、子役を使った泣きの映画とひと括りにしてしまうはちょっと惜しい。家族を失いつつある男の立場、自分の残された人生を生きようとする妻の立場、家族を失ってしまった少年の立場。どれをとっても求めているものを着実に描いた、一人一人の人間の内面に迫るヒューマンドラマだったと思う。
ファミリー映画には違わないが、子供を一人の人間として捉えた家族の関係、家族の中の各自身の位置づけ等のポイントとした脚本を読み込んで制作に参加しているようだ。正直言えば、彼の実力からすればこの範囲に留まって欲しくはない。一番やりたいことではないとしても自分の嗜好に固執せずに映画ファンの求めるケヴィン・ベーコンの魅力たるやを見せ続けて欲しいと思う。
だけれどもはっきりとした目的をもった映画人としての信念があるから、今の彼があるのかもしれないなとも。