エリック・クリスチャン・オルセン2009年09月23日 20時43分26秒

ラストキス(2006)
ERIC CHRISTIAN OLSEN(左から2番目)  1977/5/31 USA

コメディ、B級作品がお好きな方なら、この顔はわりと見てるんじゃないかと思うんですが。若手の傍役俳優のひとり。
私の記憶もそのほとんどがコメディ。しかも“おばか”。
なので、ビデオスルー作品がほとんど。日本のふつーの公開作品を中心に観ている方にはとんと馴染みがあるまい。CSやWOWOWなどで未公開作品を観る機会があれば覚えがあるかも・・・みたいな俳優です(笑)。

でもでも、最初に記憶しているのは「ローカルボーイズ」という青春映画だった。サーファーの青年で伝説のサーファーとの出会いで成長していくみたいなストーリー。ほぼ主演でそれなりにシビアな演技もしているけど当然劇場未公開。これからよく見る顔になるかな?と思いつつ、インパクトに欠けると思ったのも事実。
その次に見たのは劇場公開作品の「セルラー」。主演のクリス・エヴァンスの友人のひとり。これで「あ、あいつだ!」と確実に認識したんだと思う。でも、出演時間はたぶん10分そこそこ・・・。まあエヴァンスが孤軍奮闘するストーリーだからねぇ。

そしてそこからイメージを覆される“おばか”作品でお目にかかることになる。ロブ・シュナイダーの「ホット・チック」、「ビール・フェスタ」。未見なのだけどジム・キャリーの「Mr.ダマー」の新シリーズでキャリー張りのおばか振りを発揮しているらしい。その道に結構前向きなのか?

主人公の友人役で非常に印象深いのがザック・ブラフの「ラストキス」。マリッジブルーに陥る花婿の悪友仲間の一人。仲間の中にはケイシー・アフレックもいて、ブラフらしいヒューマン味のある佳作で、友人たちの描き方がいい。監督は温かい作品の多いトニー・ゴールドウィン。

「ライセンス・トゥ・ウェディング」もロマンティック・コメディ・・・主演陣にロビン・ウィリアムズが鎮座するかなりドタバタ系(笑)。ただ監督が「旅するジーンズ~」のケン・クワピス。ロビン・ウィリアムズのこてこてキャラは好きじゃないんだけど押えるとこは押えてる。ロマンスもコメディも青春映画も爽やかな作品に仕上げるクワピスらしい。ここでのオルセンは結婚を控えるヒロインの幼なじみ。彼女の婚約者にとっては面白くない存在。得てしてお決まりのキャラだが、彼の言葉がポイントになったりしてちょっと役得かも。

新作は「サンシャイン・クリーニング」。エミリー・ブラントのチンピラのボーイフレンド。出演時間は・・・。日本公開作品だとこんなもんだ(笑)

一見ハンサムなので、いずれ主演作品も?と最初は思ったのだけどさっぱり! このルックスでコメディだと、大概、主人公の男の悪友の一人か恋敵。いつまでも友人の範囲で目立たないか、最後にヒロインに振られるとか、痛い目に遭うとか、そんなんばっか。
それなりのルックスなんだからいずれは映画で主役も張れる!とブレイクを待っている・・・と本人が思っているかどうか定かではないが、もう30歳過ぎてるし難しそうだなー。
なんてヒドイことばっかり書いてるが、本国ではTVシリーズからキャリアをスタートさせて、現在も映画にTV(「ER」「24」「ヤング・スーパーマン」「トゥルー・コーリング」など人気作品多数)に出演作品が多いし、このルックスだもの米国では固定ファンが結構いる人気者だと思う。

コメディにどっぷり浸かって、時々見せる弾けっぷりはなかなかのもの。やってる本人は楽しいに違いない。コメディに二枚目ルックスキャラは一人は必要不可欠。この位置をキープしていくのも悪くないのかもしれない。
コメディ以外も役の大きさにはこだわらず映画には出演を続けていってくれるといいなと思う。

「フォネット詩集 G線上のマリア」 平本照麿2009年09月24日 01時11分50秒

「フォネット詩集 G線上のマリア」 平本照麿
「フォネット詩集 G線上のマリア」 平本照麿
(朝日出版社)

「フォネット=四行プラスタイトルの五行で纏める言葉の塊を、ぼくは勝手にこう呼ぶことにした。俳句や短歌のように字数や季語にとらわれることもない、自由詩のように冗漫になることもない。ただ、四行という怠慢な縛りがあるだけだ。」
エピローグより

友人に貸していた本が戻ってきた。こんな本を買っていたことすら忘れていた。
単行本は高いし、図書館を利用するのが関の山。しかも詩集だなんて・・・物語好きの私には、まず選択肢にないものなんだけど・・・。
新聞の書籍広告で見つけて衝動的に欲しくなった。2004年の初版第1刷だから発売されてすぐ買いにいったんだろうな。

何がそんなに私の目に留まったのだろうか。

忘れていた本のページをめくる。

「ああ、マリア

 ぼくの体の中を風が吹き抜ける
 なんと爽やかな朝の淫靡な残香
 冷徹な肌に激しく燃えつきた欲情よ
 マリア、きみはぼくを狂わせた!」

これか・・・?

本の中の1篇が紙面にそのまま載っていたのだが、果たしてこれだったか・・・。いずれにしてもこの“マリア”を詠った詩だったはずで、結構刺激的だったのは記憶にある。
どきっとした。
どきっ・・・と、するよねぇ。

激しい恋の詩だ。恋だけじゃなく、家族への愛と死、自然や季節、旅した街の風景、時間・・・。
あらゆる事象に向き合い吐き出される言葉はストレート過ぎる。

「詩は書くものではない、つかむものだとぼくは思っている。心が渇望しているとき、飛んできた真理を一瞬にしてつかむ。つかみ損なったら永久におしまいだ。その瞬間だけ、本当の詩が生まれるとぼくは信じている。(中略)
ただ残念ながら、満ち足りた日常から詩は生まれない。心が飢えている時だけ、詩は向こうからやってくる」

作者が詩についてエピローグで述べている。
なるほどである。
才能にもよるだろうが書こうと思って書けるもんじゃないとは思う。
もともと好きじゃないのよね。
抽象的な言葉の羅列から読み手が読み取らなきゃならないんだったら、最初から長文でわかりやすく書けよ。ずっとそう思っている。論文じゃないんだからじっくり読み込んで要旨を読み取れだなんてやってられない。まして詩なんて自分の中から溢れてくるエッセンスなのだからわざわざ抽象的に書く意味も判らない。だから詩って好きじゃなかったのだ。
でもこのフォネット=四行詩はかなり激情的に直球を投げるような言葉の繋がりばかりで比較的わかりやすい。長ったらしくもない。

私は、本は一度読んだらなかなか読み返すことってないのだけど、これはそうでもないかもしれない。忘れた頃にまた取り出してそのときに、どきっとするものを探してみようか。

で、今回は・・・

「小さな喜び

 小さなことに傷つく心は
 小さな喜びにもうちふるえる
 人の痛みに気づかぬ心は
 自分の傷にも気がつかない」

幾つかあったけど、こんなところにしておこう。
あまりにストレート、これが今だと言うにはさらけ出しすぎるから(笑)