ガブリエル・マクト2007年04月24日 21時05分47秒

リクルート(2003)
GABRIEL MACHT  1972/1/22  USA

聞きなれない名前だろうし顔も地味で印象には残りにくいと思うが、意外とメジャー作品でお目にかかっている傍役俳優である。

認識したのは「エネミー・ライン」。オーウェン・ウィルソンと一緒に敵地のど真ん中に墜落した兵士で、敵兵に尋問されるがウィルソンの存在を隠したために死んでいく。始まって30分そこそこでいなくなってしまうが、自分の命が係っていながらも仲間を守る決意を固め、敵兵に不敵な笑みを見せて撃ち殺される。なかなかの存在感。

その次が「9デイズ」。クリス・ロックをエージェントに育てるFBI、アンソニー・ホプキンズのチームスタッフ。何人かいるチームスタッフのひとりだと大体はメインキャストと数シーン一緒に出て台詞がある程度なのが普通だが、何と彼は敵と1対1の格闘シーンがある。しかも派手なバイクアクション付き。
彼が出ていることに気がついて喜んでいた私はいきなりの活躍場面に驚いた。ジョエル・シュマッカーの眼鏡に適ったのか、度迫力のアクションはかっこよかったぞ!

「リクルート」ではコリン・ファレルと共にCIAの訓練生を演じる。これも半分アクション。どうもアクションづいてきた感があるが今回は少し捻りがあってポイントになるキャラクター。結構マッチョな体つきだが、やや暗さのある表情はサスペンス向きなのかもしれない。

「アメリカン・アウトロー」では西部劇。これまた主演はコリン・ファレルでマクトは彼の兄。(似てないって)
ちょっと兄貴分の彼は大人っぽいのだが、とってつけたような髭に西部劇スタイルははっきり言って似合わない。兄弟愛を描いたシーンにヒューマンドラマらしい演技も見えたが・・・とにかく西部劇が似合ってなくて印象がよろしくない。ただし、これは私が西部劇と相性が良く無いということもあるのでー。

最近見たダニエル・クレイグの「アークエンジェル」はちょっと怪しいアメリカ人記者。ロシアの暗さのある映像に米国人ながら彼の冷たい表情が役に合っていた。
これは英国のTVMだが本国でのTVでも活躍しているようだ。ジェームズ・バッジ・デールが演じた「24」のチェイスはマクトにという話もあったらしいが、エリシャ・カスバートにはおやじ過ぎるかな?

他には「私の愛情の対象」を観ているはずだが記憶にない。TVMの「オードリー・ヘプバーン物語」なんかもあるが未見。一体誰の役なんでしょうか・・・?

映画最新作はジョン・トラボルタ、スカーレット・ヨハンソンの「ママの遺したラヴソング」で近々公開。これはドラマだろう。予告を見るとヨハンソンとのロマンスもありかと。ちょっとワイルドなルックスがパッと見、なかなかだったぞ。
ニューヨーク出身の彼は大学で演劇を学び、オフ・ブロードウェイの経験もあるようだからドラマもいけるのかも。もっとこれから新しい彼を発見したい。

ちなみに奥さんは「炎のメモリアル」「ポセイドン」のジャシンダ・バレット。なかなかの美男美女♪

キャンベル・スコット2007年04月23日 10時39分11秒

リトル・ランナー(2004)
CAMPBELL SCOTT  1961/7/19  USA

映画を観始めた頃から馴染みの彼のイメージを一言で言うなら"知的"。父は俳優のジョージ・C・スコット、母は女優のコリーン・デュハーストという筋金入りのサラブレッドにして、ローレンス大学で演劇を学んだ後、オフ・ブロードウェイ、ブロードウェイの舞台で活躍。俳優であり映画プロデューサーの顔も持つ才人。

観始めたのが「愛の果てに」(ジョン・シュレシンジャー)、「シェルタリング・スカイ」(ベルナルド・ベルトルッチ)という名匠や作家性の高い作品だったので知性派、インテリのイメージが強かった。
その後に続いた「愛の選択」での白血病患者、「シングルズ」の誠実な男、そして「ロングタイム・コンパニオン」のエイズに直面するゲイの青年は彼のピュアさが印象的。演技は勿論どの作品でも文句なしの巧さだが、この彼の持つ柔らかさが繊細な感じが欲しい作品では抜群に活きると思う。
また線の細さがどこか巻き込まれ型のタイプにはまるようで「シェルタリング・スカイ」や「スパニッシュ・プリズナー」での周囲に振り回されて困惑する彼には同情を覚える。

作家性が強かったり、社会問題を扱った作品だったり、彼の選ぶ作品の傾向はなんとなくどれも共通している感じがする。よく練られた脚本に惹かれるのだろうが、脚本家出身のデヴィッド・マメット監督の「スパニッシュ・プリズナー」などもいい例だ。非常に凝ったマメットの脚本で面白かった。

プロデューサーでもあるスコットがスタンレー・トゥッチと共同で監督・脚本を務めた「シェフとギャルソン、リストランテの夜」はとても面白かった。トゥッチとの相性は良かったらしく、彼の単独監督作「インポスターズ」にも出演しているがこちらも面白い。知的なエッセンスが感じられるコメディ。センスがいいのだな~。
スコットが製作や監督を手がける作品には未公開のものが多い。「Off the Map」(ジョアン・アレン、サム・エリオット)、「Roger Dodger」(イザベラ・ロッセリーニ、ジェニファー・ビールス)、「The Secret Lives of Dentists」(デニス・レアリー、ロビン・タニー、ホープ・デイヴィス)。いづれもスコット自身も出演しているのだが、このキャスト!とっても観たいんですけど。
日本語字幕なしで観た「The Dying Gaul」。スコットに共演がパトリシア・クラークソン、ピーター・サースガード。勿論全部はわからないけど、かなり怪しげで個性的なサスペンスであった・・・。う~、日本語字幕で観たいっ!

ここ最近は俳優として地道に活躍。ケヴィン・ベーコン監督作の「バイバイ、ママ」の"実の父親"、「エミリー・ローズ」の検事、「リトル・ランナー」の神父。どれも彼の知的さや穏やかさがとても似合ったキャラクター。
つい先日観た最新作「ラブソングができるまで」の作家はちょっとびっくり!初めて嫌な奴のスコットを見たかも~。それよりも驚いたのはその老け具合。あのグレーヘアは自前だろうか・・・?
「リトル・ランナー」の神父は若々しくてかっこいいんだけどなあ。

捻りのある脚本と渋いキャストが魅力的なものが多いスコットの製作・監督・出演作品。これからも着実に積み重ねていって欲しい。願わくばどれも日本語字幕で観せて欲しいよーっ!

グレッグ・キニア2007年03月28日 10時05分54秒

リトル・ミス・サンシャイン(2006)
GREG KINNEAR  1963/6/17  USA

「リトル・ミス・サンシャイン」で負け組になるまいと神経を尖らせてピリピリしているが、可愛い娘をはじめ家族と向き合うことで心を解いていくパパを演じたキニア。焦りの表情や途方にくれた表情に優しい笑顔。キニアらしさがよく出た1本でもあると思う。

最初に彼を見たのは「恋愛小説家」のゲイの隣人だったので、個性的で演技も魅力的だったし、面白い俳優だなと思った。ところが次に見たのが「サブリナ」。「麗しのサブリナ」でウィリアム・ホールデンがやったあのハンサムな弟が彼?やー、不細工だとは言わないがハンサムとも言えない彼がねぇ。あんまりしっくりこなかったのは事実。

そう、不細工でもなければハンサムでもない、なんだか微妙な人だよね(笑)。「ユー・ガット・メール」「ベティ・サイズモア」「恋する遺伝子」などヒロインの元恋人役でも決して振られてないし、一方的に惚れられる俳優だとか結構役得なのが多いのはなぜ?この手の役では同じタイプだと思ったビル・プルマンとは扱いが雲泥の差(笑)。

この二枚目半タイプはコメディもいい。「ミステリー・メン」にキャスティングされるセンスの持ち主だってとこが何ともいい(笑)。「ふたりにクギづけ」もブラックながら彼らしいコメディだった。マット・デーモンと性格が正反対の双子。快活で社交的で女にもてる。しかも人気俳優。なんでかねぇ?ホントに不思議。でもこれは確かに違和感はない。これが彼の魅力なんだろうか?

でもこの人の多彩な微妙な表情はヒューマンコメディ向き。「子作り宣言 微笑みの媚薬」や「ゴッド・エージェント」そして「リトル・ミス・サンシャイン」のような悩みやトラブルを抱えた極普通の男が笑える出来事の中で自分を見出していくようなストーリーで最大限の魅力を発揮するタイプだと思う。困り果てたり、諦めきった時のあの表情が、二枚目半ならではの(?)快活な笑い顔、柔らかい笑顔に変わるまでのドラマは、彼ならではの魅力で引っ張るだけの力があるのは確かだと思う。

「ギフト」は数少ないサスペンスの1本。二枚目半ならではの微妙な役だが、もっと開発の余地ありのジャンルかも。
意外だったのは戦争ドラマの「ワンス&フォーエバー」。勇敢なヘリコプターのパイロット。こんな男気のある役もできたのね。こういうのはもっと見たいかも。

90年以降、コンスタントに活躍を続ける彼は小品から中堅どころを中心にハリウッド作品で幅広く見られる俳優の一人。1年に1本は新作で見られる顔。作品の質も良いものが多いので彼が出ていたらそこそこ面白いと言っていいかも。
出演作品が多いので未見の埋もれた作品もまだある。未だに見つけられない「ボブ・クレイン」や、わりと新作の「unknown アンノウン」なんて非常に観たいところ。

キーファー・サザーランド2007年03月12日 00時14分04秒

24(2001~)
KIEFER SUTHERLAND  1966/12/18 UK

彼もクリスチャン・スレイターと並び80~90年代初期のフラット・パック世代の一人でつい贔屓したくなる。90年代半ばからめっきりB級アクション映画専門になってしまったかと思いきや2001年からTVシリーズ「24」で返り咲き。ジャック・バウアーと聞けば彼の顔は思い浮かぶだろう。現在はシーズン6まで続投中。映画版も製作進行中だとか?(どういう作りにするのか知らんが・・・)

あまりに馴染みすぎて一体何が初見だったのか憶えていないが、たぶんエミリオ・エステヴェスやチャーリー・シーンと共演の「ヤングガン」かまたもやチャーリー・シーンにクリス・オドネル共演の「三銃士」あたりかと。
この頃は若手俳優がまとめて共演っていう作品が多かったんだよね。人気者だった証拠なんだけどそこから一人立ちして生き残るにはなかなか根性が要った人だ。

少し遡ると「スタンド・バイ・ミー」や「ロンリー・ブラッド」など良質の作品にも起用されているんだからしっかり脚本を選んで一歩一歩やってこればよかったと思うのだが俳優一家のハリウッド育ちが災いしたか、人気に現を抜かしたか薄っぺらなアクション映画の主演作品ばかりに走った傾向がある。案の定日本ではビデオスルーが多い。残念だ。
プライベート面でもあまり芳しくない話題が先行したのも一因か、あまり印象のいい俳優ではなかったかもしれない。その頃からだんだん役も薄汚れてやさぐれた男が多くなってきたし~。

そんな彼を起用した「24」の製作には感謝すべきだろう。TVだと見くびらないで引き受けたキーファーも褒めてやるか?(笑)
30代後半にして、ドナルド親父に似て渋みが出てきて良かったかもしれない。親父に感謝だね。
この大ヒットと同時に注目されて映画でも注目作品が増えてくる。その風貌とハスキーな声のせいか悪役が何本かあるがなかなかの存在感。「フォーン・ブース」でコリン・ファレルを追い詰めるあの声はセクシーだ。ルックスが完璧悪役顔ではない甘さがあるので「テイキング・ライブス」の犯人かそうでないのか判らないという役どころもいいのかも。
ようやく「ビハインド・ザ・レッド・ドア」「バロウズの妻」などのヒューマンドラマもぼちぼち出てきたのでほっとした。

最新作「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」でマイケル・ダグラスと共演。シークレットサービスの役でしかも大統領が絡む陰謀となるとどう見てもジャック・バウアーにしか見えないんだけど・・・まあ、いいか(笑)。

1年1シーズンのペースで「24」に取られてしまうからなかなかいい映画作品に当ることは難しいかもしれないが、焦らずに息の長い俳優でいて欲しい。
親父を見れば一目瞭然。じいちゃんになっても雰囲気と存在感のある役で十分やっていけるんだからさ。いい手本が近くにあることを忘れないでくれ!
昔からの根強いファンはたっくさんいるはず。いつまでも応援してるからね~、頼むよキーファー♪

カール・アーバン2006年05月25日 00時20分55秒

DOOM(2005)
KARL URBAN  1972/6/7 ニュージーランド

「LOTR 二つの塔」と「王の帰還」のエオメル役で世界的に名を馳せたニュージーランド俳優。その後、オーストラリアからなかなか出てこないデヴィッド・ウェナムとは正反対にがんがんハリウッド作品に進出しているので目にする機会は格段に多い。ただし、今のところ全部アクションなんだけど・・・。

私は「LOTR」のファラミアがカットされまくってキャラが変わったことでぶりぶり文句を言ったが、エオメルこそ最もそのカットの嵐で人間味のあるキャラを見事に消されてしまった一番可哀想な人かもしれない。妹思いの心情が表れるいい場面はSEE版でしか観られない。劇場公開版のエオメルはかなり猛々しいイメージになってしまっているので必然ハリウッドからのオファーはアクション一辺倒になってしまったよう。いかにエオメル役が強烈な印象だったということだろうが、また強面だからハマるんだよね、これが。
ニュージーランド時代の「デモンズ2001」や「ゴーストシップ」といったオカルトホラーに始まりアクション作品がとにかく多いカール・アーバン。

「リディック」はどうかと思うが「ボーン・スプレマシー」の殺し屋は最高にカッコよかった。「ボーン・アイデンティティー」のクライヴ・オーウェンよりも存在感があったとおもう。堅い無表情に近いその冷たい目は殺し屋の雰囲気にサマになること。

「DOOM」はこれまたSFアクションで共演がザ・ロック。「リディック」の時のようで激しく嫌な予感がしたのだが、ところが!これが意外に今までの中では比較的キャラに深みがあったかもしれない。過去のトラウマのためにちょっと性格的に翳りがある正義感の塊のような男。確執のある姉との関係など、シューティングゲームの映画化作品にしては気の利いたキャラクター設定だった。でも思うんだけど、姉役がロザムンド・パイクで、むさくるしい男ばっかりの戦闘シーンだらけの中で凛とした美しさを見せる彼女との一緒のシーンが結構ある。なんで姉なのだ?恋人という設定じゃいかんのかい?普通はこういう紅一点の状況だと恋人なんだけどね。可哀想にアーバンにおいしいところはなかったわけで・・・。彼はラブシーンも多い方ではないだろう。

ここにきてようやく戦わない、武器を持たないカール・アーバンを初めて観た。ニュージーランド時代の「ミルクのお値段」というファンタジーっぽいラブストーリー。うってかわって酪農家の青年というから正反対のキャラ。これがまた素朴で優しい顔してるんだわ。
余談だが「ミルクのお値段」のハリー・シンクレア監督はピーター・ジャクソンの友人で「LOTR」にはなんと監督自身もイシルドゥア(!)役で出演している。アーバンの起用に一役買っているのは一目瞭然。

新作もまたアクション作品らしいのだが、次々とオファーは続いているようだから役の広がりは今後に期待しよう。
優しさと無機質さの両極端な顔を持つアーバンはなかなか面白い俳優だと思う。正直言えばルックス的には好みじゃないのだけど「LOTR」で発掘されたニュージーランド俳優が活躍していくのを応援したいと思っているわけである。