マット・クレイヴン2008年10月04日 20時09分18秒

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(2002)
MATT CRAVEN  1956/11/10 カナダ

まさに傍役の人。政府の人間とか、捜査官とか、隣人とか、部下とか、上司とか、主人公の父親とか。出演作品は多く、メジャー作品にも頻繁に顔を出しているので、鼻の高いあの面長の顔は見たことある~って方もいると思う。

私がクレイヴンを最初に認識したのは「彼女を見ればわかること」。ロドリゴ・ガルシア監督による5話からなるオムニバス映画のアンサンブルキャストのひとりだった。5人の女性たちの人生の5つの物語の中で、登場人物が微妙に交差するがクレイヴンは2話に跨って出演。ホリー・ハンターの部下の銀行の副支店長で、盲目でありながら行動的なキャメロン・ディアスとつきあい始める。
とっても地味で、どこにでもいそうな普通の人。特にカッコよくもないけど、穏やかそうな表情は結婚するには良さそうな家庭人っぽい雰囲気。
だから恋人役とかより目立たない父親とか上司とか役人とかが多い。実はこの前に既に見ているはずなのだが気がつかず、珍しくハンターやキャメロンと絡んだことで初めて注目したくらいですから。

再見して気がついた過去作品は「トラブルボーダー」のヴィンセント・カーシーザーの父親。「噛む女」の悪徳弁護士。「フロム・ジ・アース/人類、月に立つ」のアンサンブルキャストの中にも技術者の一人で出演していた。「陪審員」や「ポーリー」にも出ていたな。
そして結構目立っていたのが「クリムゾン・タイド」。なかなか見応えのある潜水艦もののサスペンス。副艦長のデンゼル・ワシントンが艦長のジーン・ハックマンに謀反を起こすのだが、クレイヴンはあくまでハックマン側に就いてワシントンと敵対する。眼鏡をかけていてインテリっぽいというかいかにも体制派というか、的確キャスティングだなと思った。ちなみにこの作品、ワシントンに友好的な立場のミサイル責任者にヴィゴ・モーテンセン。水兵の中にライアン・フィリップやスティーヴ・ザーンがいたりしてアンサンブルキャストが豪華で再見するにはかなり楽しい。
これは地上波、CS問わず頻繁にオンエアされるので観る機会が多いと思うので、興味のある方はチェックしてみてくだされ。

2000年以降はさらに活躍の場が多く、「タイムライン」ではハイテク企業の科学者。「アサルト13」では篭城戦に巻き込まれていた。ケヴィン・スペイシーの「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」、ケヴィン・コスナーの「コーリング」、ロバート・レッドフォードの「二重誘拐」などメジャー俳優の主演作でそれぞれ共演している。「デジャヴ」でワシントンと再共演しているがFBI捜査官だったか科学者だったか・・・。
一纏めにしたのは実はもうあんまり役柄について憶えてないからである~(恥)。

新しいところでは「ディスタービア」のシャイア・ラブーフの父親。冒頭の5分そこそこでいなくなってしまうけれど、ラブーフの性格形成にかかせない存在としていなくなるわりに印象深かった。

組織の一員だったりする役だと印象が薄れがち。やっぱりアクションやサスペンスは役が大きく目立たないと記憶に残るのは難しいのかな。
いい家庭人、優しい夫、温かみのある父親的な雰囲気があるんだから、もっとドラマに出てくれるといいんだけど。「彼女を見ればわかること」みたいな男としてのタイプもいいと思う。
TVの仕事も多いようで、そちらではもっと深みのある役どころを見せているのかも。
お父さん俳優というかおじさん俳優の中で、私としては注目度がわりと高めのクレイヴン。これからもその姿を見つけるたびにちょっと嬉しいかもしれないひとりである。

しかし、ホントに地味な傍役俳優なだけあって画像を探すのがひと苦労。できるだけポートレートじゃなくて作品中のを挙げたいので、傍役だと希少なのだ。

モーガン・フリーマン2008年05月31日 10時45分55秒

セブン(1995)
MORGAN FREEMAN   1937/6/1 USA

映画好きなら知らない人はいない。映画好きじゃなくても地上波放送のメジャー作品を見ていれば絶対に目にしたことがあるはず。傍役俳優の御大の登場です。
90年代映画から観始まった私。5本観れば1本には必ず彼がいました。それから15年くらい映画を観てきて、彼の出演作は30本を超えました。もちろん彼の出演作品数はそんなものではないでしょうがね。
その当時をときめく若手人気俳優の主演作品で必ずといっていいほど主役の側にいて、その存在感を示していた傍役俳優の真骨頂みたいな人。彼の場合、代表作を語るより、この人とこんな作品に出ていたよ~と、語る方が彼の良さを分かってもらえそうな気がします。

あ、彼のような人のことを語るのが本来このブログを立ち上げた目的だったような・・・(笑)。


私が最初に彼を記憶したのは、「ロビン・フッド」だと思う。ケヴィン・コスナー演じるロビンの側らにいた彼。従者であり指導者でもある。経験と博識あるキャラクターの味とその存在感。以後、彼の役回りが確立されたも同然。
続いて「セブン」でブラッド・ピット演じる血気盛んな若い刑事の相棒の退職直前の刑事役。猟奇的な犯人に自身までをも掻き乱されていくピットの側で長年の経験と勘で捜査にあたる。彼の存在がピットのキャラクターをより引き立たせていた。
そしてその存在感は「ショーシャンクの空に」を観て確実になった。主演はティム・ロビンスだがこれのフリーマンはストーリーテラーの役割を担っていて両主役といってもいいくらい。ロビンス演じるアンディ・デュフレーンの希望への支えとなり彼を見守る。映画は彼の視点からデュフレーンを観ていることになり、ストーリーにすっかり引き込まれていったのはフリーマン演じるレッドの存在が大きい。

観るのが前後したが、「ドライビング Miss デイジー」を観た時、主演のジェシカ・タンディとのコンビネーションを観て、初めて、この人は只者ではないと思った。ハリウッドメジャー作品で、人気の主演俳優の側に重要な役で配される彼をただの傍役で済ませてはいけないなと。ある意味、傍役俳優の重要さと、それに値する力量を兼ね備えた役者の存在に大きな魅力を感じるきっかけになった人かもしれない。彼の演技のこの安定感と滲み出る味わい深さ。映画って面白い。役者って面白い♪

過去作を見ても彼のキャラクターの重要性は極めて顕著。クリント・イーストウッドの「許されざる者」ではイーストウッド演じるガンマンを目覚めさせる相棒。
「グローリー」では南北戦争での北軍の黒人兵士のリーダーで若い指揮官のマシュー・ブロデリックの心の成長に多大な影響を及ぼす。
「ジョニー・ハンサム」ではミッキー・ローク演じるジョニーを追い続け、その数奇な運命を見届ける。
ロバート・レッドフォードが所長に就いた刑務所の騒動を描く「ブルベイカー」では囚人の一人で、彼はレッドフォードに所内の現実を見せてくれる。
過去作の中で私が一番目に焼きついているのは「パワー・オブ・ワン」。アパルトヘイト政策時代の南アフリカで育った少年のスティーヴン・ドーフにボクシングコーチをしたフリーマン。人種間を超えた心の交流が彼の持つ温かさと重厚さが印象深い。故に彼の最期が悲しくてたまらない。そんな彼の姿を見てきた少年のこれからがこの作品のテーマなんだと思った。

その後はハリウッド作品で怒涛のごとく快進撃が続いていく。トム・ハンクス主演の「虚栄のかがり火」の判事。
「チェーン・リアクション」ではキアヌ・リーヴスのボス。
ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」では重要な決断を迫られる軍人。
「コレクター」では被害者のアシュレー・ジャッドと一緒に猟奇的な誘拐犯と闘うベテラン刑事。その続編「スパイダー」ではフリーマンの刑事が主演になった。
ジャッドとは相性がいいのか「ハイ・クライムズ」でも弁護士役で彼女の助けになる頼もしい存在。
頼もしさも重鎮さが増してくると、ベン・アフレック主演の「トータル・フィアーズ」ではCIA長官。そりゃないだろってなストーリーだったけど、ここでは、まあ善しとしよう。「ディープ・インパクト」ではとうとう初の黒人俳優による米国大統領役となった。地球の滅亡目前の人類に向けた演説は彼ならではの存在感でこの映画の見所のひとつとなった。彼の落ち着いた声も語り口も素晴らしい。
「ブルース・オールマイティ」ではとうとう神様役!って、これはご愛嬌。でも彼くらいの存在感がなきゃ、なかなかできる配役ではないかとも思える。

一貫して温厚な人物かドラマ性の高い作品ばかりかと思いきや、意外にそうとも限らない。
「フラッド」で正義の代表みたいに孤軍奮闘するクリスチャン・スレイターが戦った相手がフリーマン演じた強盗のボス。
「ドリームキャッチャー」の常軌を逸した大佐は意表をついて思わず笑えた(笑)。
過去作にも、荒廃した学校の立て直しを描いた「りんご白書」では体制側の弁護士役。同様のストーリーの「ワイルド・チェンジ」では今度は闘う側の教師だがこのキャラクターがなんとも個性的で・・・普段見慣れたフリーマンとは大違いでびっくりする。
すっかりキャラクターが定着しているフリーマンだが、当り前だけど長い俳優経歴において様々なキャラクターを演じているわけで、それゆえに名優たる存在感が生まれているのよね。

「ベティ・サイズモア」は殺し屋でありながら、現場を目撃した主人公のレニー・ゼルウィガーに惹かれてしまうというコメディ。
ハワイが舞台の「ビッグ・バウンス」ではホテルも経営する、アロハを着たらしからぬ判事。キャストが楽しいクライムコメディでこんな作品の彼も楽しい。
「ラッキーナンバー7」なんてひねりの効いた軽めのサスペンスではアンサンブルキャストのひとりだった。
近作ではこんな軽めの作品も増えてきてキャラクターもバラエティに富んできつつも、クリスチャン・ベールの「バットマン ビギンズ」ではベールに戦闘ツールを用意し彼の陰の力となり、「ダニーザ・ドッグ」ではジェット・リーに人間の心を取り戻させる。彼ならではの配役は見ていて安心の一言。

彼の存在感は配役の上で確たる求められるものがあるのだと思う。フリーマンじゃなきゃ!みたいな。それは共演者とのバランスにも言えること。
本格サスペンス「アンダー・サスピション」は主人公のジーン・ハックマンがレイプ事件の容疑者となるが彼を追い詰める警察署長役がフリーマン。
新作の「最高の人生の見つけ方」は、死期が近いふたりの老人が一緒に旅に出る話だがこの二人を演じたのがジャック・ニコルソンとフリーマン。なるほどなキャスティングだよねえ。

安心できる役柄も、面白い役柄も、バランスよくコンスタントに出演し続ける活躍は現在も続く。ずっと見てきた傍役俳優。いつかこの人の功績も報われるべきだと思っていたら、「ドライビング Miss デイジー」「ショーシャンクの空に」で助演賞にノミネートされていたアカデミー賞を、2005年に「ミリオンダラー・ベイビー」でついに受賞。クリント・イーストウッドによるこの作品。出演シーンは多くはないもののその演技と存在感は確か。今までの功績も合わせての受賞ってことだと思う。でも本当は、傍役として全編に渡って姿を見せている作品のほうがフリーマンらしいと思うんだけどね。

様々な俳優、女優と共演してきて彼自身も楽しいだろうし、多くの共演者たちも彼に敬意を感じてきてるんじゃないかと勝手に思うんだけど。少なくとも彼を嫌いな俳優なんていないと思う。現在の映画界に欠かせない人であることは間違いないし、いなくなったら絶対にさびしい。すっかり老人役以外にあり得なくなってしまったけど、まだまだその姿を見ていたい。
彼ならば、引退などしないで生涯現役でいて欲しいとわがままを言ってもいいでしょ?

マーク・ウォールバーグ2007年06月18日 14時51分04秒

ディパーテッド(2006)
MARK WAHLBERG   1971/6/5  USA

マークも映画を観始めた頃からかなり見慣れてきた俳優だ。最初の頃からかなりのやんちゃ坊主のイメージが強く、演技力・存在感ともに成長の見られる最近でもその片鱗は隠せない。

彼のことは最初に観たのが「ブギーナイツ」なので忘れようにも忘れられんのだが・・・。ポール・トーマス・アンダーソン監督作で、彼の役は70年代ポルノ業界のAV男優。話題性満載のうえに評判も良いこの作品で主演を果たした彼の快進撃がここから始まったのはある意味納得。

今更だが人気グループ、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックに兄のドニーについで参加。自身もラップバンドをやったり、カルヴァン・クラインの下着モデルをやったり経歴は華やか。
映画デビューは道徳ドラマのような「勇気あるもの」。ダニー・デヴィートが教師を務めるおちこぼれクラスの兵士の一人。
その次がレオナルド・ディカプリオの青春映画「バスケットボール・ダイアリーズ」だから作品にはかなり恵まれている。

彼の発展のきっかけになったもうひとつにはジョージ・クルーニーとの出会いもあるかも。「スリー・キングス」で意気投合。次の「パーフェクト・ストーム」でも共演。実は「オーシャンズ11」のマット・デーモンも最初はマークだったと言う話。
その「オーシャンズ11」に参加しないで何を選んだかというと「PLANET OF THE APES/猿の惑星」。これがいいのか悪いのかなんともいえない。人間の役なのに、猿顔のメークなしでいけるんじゃないかとか笑い話のネタにされながらも、しかしながら話題のティム・バートン作品である。悪い話じゃないだろう。

猿顔とか言っちゃってるが、まあ、マークはハンサムとは言い難い。先にやんちゃ坊主系だと書いたが、その実、下層階級の貧しい9人家族で育ち、ボストンでの少年時代はストリートの不良少年だったとか、服役経験もあるそうで。
笑うと結構可愛いんだけど、どこか斜に構えていて、眉間に皺寄せて人を威嚇したような眼差しが様になっているのはそのせい?ややもマッチョ気味に鍛えられた身体だしぶちキレたら怖いのかもねえ。
そういう育ちや経験が生み出した彼の面構えはルックスを超えた魅力。そこが彼の俳優としての強みであり売りなのだ。
だもんで悪役がなかなかいけると思うんだが意外にも初期の「悪魔の恋人」でしか見たことがない。でもなんかどこか怪しかったり、過去に後ろ暗さを感じる役が確かによく似合う。ドラマでもアクションでもサスペンスでも警察官、犯罪者、といった役が多いのも彼の特徴。「フェイクディール」「NYPD15分署」「裏切り者」「フォー・ブラザーズ」など。やはりそんな暗いイメージがあるんだろうかねえ。
しかし一貫してるのはどれも最後には正義や仁義、人情に従って生きる男であること。彼にはそんな雰囲気を漂わせるものがあるのかもしれない。

「ディパーテッド」なんかはその最たるもの。実際に観ていてレオよりマットより、私はマークの演技に一番惹かれた。オスカーノミネートはびっくりしたが、彼もこんなところに呼ばれる俳優になったのか~と、ちょっと嬉しかった。

暗い役ばかり挙げ連ねたが楽しいものも結構ある。不運な殺し屋役の「ビッグ・ヒット」。ロック青年のほろ苦いサクセスストーリーの「ロック・スター」。リメイクのわくわくクライム映画「ミニミニ大作戦」。
殺し屋のクセに元はといえばたかが女一人のためにあたふたしまくってる「ビッグ・ヒット」なんて大好きなんだけどなー。力が抜けてる時のマークの表情は優しい。結構“ふにゅ”っとした系だと思う。
コメディやスタイリッシュな作品では、この顔と大真面目に怖いくらいの顔とを使い分けるから効果絶大。このメリハリの良さがぴりっとしていて良いのだ。

順調にキャリアを積んで評判を得てきたからか作品には本当に恵まれていると思う。俳優仲間や監督などとの関係も良好なのだろう。ここ最近の「ハッカビーズ」から「ディパーテッド」「フォー・ブラザーズ」「ザ・シューター極大射程」というラインナップを見てもわかるとおり、有名監督作から評判の新人監督の話題作、コメディからアクションまで主演・傍役も選り取り見取り。
男臭くてどこか危険な匂いのするマークに集まる脚本は後を絶たないだろう。演技力にも磨きがかかってきた30代も半ばの今、じっくり吟味していいキャリアを積んでいってもらいたい。

(ちなみに彼の出演作で名作のリメイクが1本あるのだが、役柄も悪くないんだけど作品的に大駄作で絶対にお薦めできないのでここではあえて挙げません。汚点以外の何者でもないと思う。気になる方は探してください。責任は持てませんー。)

マイケル・シーン2007年06月01日 18時00分42秒

クィーン(2006)
MICHAEL SHEEN  1969/2/5  UK

「クィーン」でブレア首相を演じたシーン。似てるーっと思った人は多いだろう。当の本人がどんな人かは知らないが庶民的な若い首相を演じた彼はとても魅力的だった。

彼を最初に見たのは「アンダーワールド」のヴァンパイア。ただでさえ異形の者(笑)なのに邪悪さ満点。特徴のギョロっとした目をギラギラさせて確かに人間離れした形相は全編に渡って暗い画面の中でも目立ちその存在感は抜群。

「アンダーワールド」では目立ちこそすれ好み的に魅力的には思えなかったが、次に観た「サハラに舞う羽根」の彼はヴァンパイアに比べればかなりソフトになっていた(当たり前)。作品としてはややいただけないのだけど主演のヒース・レッジャーを囲む友人たちがシーン、ルパート・ペンリー・ジョーンズ、クリス・マーシャルと英国の若手俳優を揃えていて非常に楽しめた。シーン演じるトレンチは祖国のために命をかける英軍兵士だが、中盤以降に捕虜となりぼろぼろのなりで登場しレッジャーと決死の脱出劇を演じるため出番は多い。

「タイムライン」「キングダム・オブ・ヘブン」と続くいわゆるコスチュームもの。シーンの古風な容姿、舞台俳優でもありその力強い演技のせいか非常に迫力があり似合う。「タイムライン」は敵側の英国軍を指揮し、言うまでもなく嫌らしいくらいの憎まれ役をかっている。ジェラルド・バトラーとの戦いぶりは見応えあり。
「キングダム・オブ・ヘブン」は序盤の僅かなシーンでの出演に留まるが、鍛冶屋のオーランド・ブルームの脇のギラギラした目の彼は間違いなくシーンで嫌でもわかった。(笑)

スーツ姿の現代人の彼を見るのは「ブラッド・ダイヤモンド」が最初になる。今年「クィーン」で姿を見られるのは知っていたがこちらはまったく知らなかったのでびっくり。衣装が変わってもイメージは付いてまわるのか、お世辞にも善良なキャラクターとは言い難い。利益優先を考える企業の人間だもの。しかも巨大な金額が動くダイヤモンド市場。現代人のやな奴もリアルだ。

でもって「クィーン」である。彼がブレアを演じるのはTVドラマで若き日の彼を演じて以来2度目。今度は就任間もなく一大問題に直面する首相で、はじめて女王に謁見する時の固まった笑顔に始まり、事故後の国民の間に広まろうとする王室への不信感を察知して女王に声明を発表する事を提言する必死の表情。女王と何度か会話を交わすうちに彼女の心の内に触れて理解を示す。ブレアの心の変化の表現は見事だと思う。
若く庶民的で英国にしては異質な感さえするこの首相を時に滑稽に時にチャーミングに応援したくなるような人物にしたのはシーンだ。ミレン演じる女王の静かな威厳と人間らしさを、彼の演じたブレアの存在がバックアップして輝かせていたとも思う。

ミレンだけでなく彼も英国アカデミー賞で助演男優賞にノミネート。ロサンゼルス映画批評家協会賞では受賞している。
ウェールズ出身で王立演劇学校で演技を学び、舞台での評価も高い。今後、映画では役の幅を益々広げていってくれることと思う。敵役で光る俳優はとても期待できるしね。

余談だがケイト・ベッキンセールとの間に一児がいるが、彼女は「アンダーワールド」で出会ったレン・ワイズマン監督とじきに結婚。シーンも共演してたのにねえ。失礼なっ!

マイケル・アンガラーノ2007年03月16日 20時02分57秒

ロード・オブ・ドッグタウン(2005)
MICHAEL ANGARANO  1987/12/3 USA

傍役俳優好きと公言する私だが、傍役には子役も含まれる。注目する子役の子は何人かいるのだけど、ここに名前がなかなかあげることが出来ないのは子役ゆえ出演作品が少ないからだ。だいたいティーン世代になって残ったデヴォン・サワ、ヴィンセント・カーシーザーくらいだったろうか。
今回のアンガラーノは彼らに次ぐ子役出身のティーン俳優になると思うが彼が一番若いだろうか。87年生まれって・・・。

彼をちゃんと認識したのは「DEAR WENDY」なのだが、どうにも顔に見覚えがあった。で、調べてみたら、「ミュージック・オブハート」メリル・ストリープの息子でおにいちゃんのほうの子供の頃。「あの頃ペニー・レインと」パトリック・フュジットの子供の頃。「シービスケット」トビー・マグワイアの少年期など。再見したら絶対わかるだろう。

「DEAR WENDY」では、ジェイミー・ベルたち"ダンディーズ"のメンバーで一番の年少。義足のお兄ちゃんがいるせいもあっていじめられっこだ。この"いじめられっこ"っぽいところが彼の得意とするキャラのようだ。このぷにゅっとした女の子みたいなルックス。子役のうちならかわいいタイプといえるだろう。
ティーンにもなると、お兄ちゃんや年長者に守られる仲間の中では弟分が定石。

近年の主演作、SFコメディの「スカイ・ハイ」での彼は、両親が特殊能力を持つスーパーヒーローでありながら、現在の彼には何の能力も備わっていないために周囲からは負け犬呼ばわりされている。そこから何とか立ち上がっていくわけだが観ていて応援したくなるのは母性本能をくすぐるタイプなんだろうな。

「ロード・オブ・ドッグタウン」でもそう。エミール・ハーシュやジョン・ロビンソンたちの"Z-BOYS"に入りたくて一生懸命練習するけど、耳が悪くてバランス感覚がいまいちのためになかなか受け入れてもらえない。実はそれには理由があるのだが。。。ネタバレになるのでここでは伏せるが、結局は彼の存在がZ-BOYSの仲間たちの絆を深めることになる。
可愛い弟分ながら寂しい表情も見せ、演技的に結構深いものがあった。

アンガラーノは「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のアナキン役に最終選考まで残ったのだそうだ。うーん、どうだろう?ちょっと顔が優しすぎるかもしれないけど、ジェイク・ロイドの代わりに観てみたかったと思わなくもない。

デビューが「サタデー・ナイト・ライブ」で8歳の時、デヴィッド・ドゥコヴニーの息子役だったそうだがその経歴も面白いかも。それ観てみたいなー。

この子はもしかしたら将来化けるんではないかと思うのは贔屓目過ぎるだろうか?