2007年のベスト2008年01月07日 20時27分34秒

カンバセーションズ(2005)
CONVERSATIONS WITH OTHER WOMEN


今年は劇場鑑賞、家観混在にしました。家観には※を付けておきます。

1.カンバセーションズ
2.トリノ、24時からの恋人たち※
3.デス・プルーフ in グラインドハウス
4.愛より強く※
5.華麗なる恋の舞台で
6.インヴィンシブル/栄光のタッチダウン※
7.ガッジョ・ディーロ※
8.太陽に恋して※
9.善き人のためのソナタ
10.特攻大作戦※

次点:あるいは裏切りという名の犬、サンシャイン2057、サン・ジャックへの道、Once ダブリンの街角で、モンパルナスの灯※

番外:それでもボクはやってない

主演男優賞:マーク・ウォールバーグ
       (ディパーテッド、インヴィンシブル/栄光のタッチダウン、ザ・シューター極大射程)
主演女優賞:アヌーク・エーメ
       (モンパルナスの灯、奥様ご用心、男と女)
助演男優賞:ブルース・グリーンウッド
       (南極物語、カポーティ、華麗なる恋の舞台で、史上最速のインディアン)
助演女優賞:該当なし

次点:パトリック・ウィルソン(ハードキャンディ、リトル・チルドレン)
   ジャスティン・ロング(ダイ・ハード4.0、ハニーVSダーリン)
   ビロル・ユーネル(愛より強く、トランシルヴァニア、太陽に恋して)
   キム・ロッシ・スチュアート(家の鍵、ピノッキオ、愛のめぐりあい)


まだ冬のうちに観た「カンバセーションズ」を超えて染み入ってしまう作品はとうとう現れなかったのであった。劇場公開時に2回、名画座で1回、DVDも買って2回は観ました。
精神状態の良くない1年でしたが良質の作品に恵まれた年ではなかったかと。心に沁みる映像や台詞がたくさんありました。ここに上げなかった作品でもどれだけ泣いたか~。
反面、スカッ!とする作品もどれだけ有難かったことか。「デス・プルーフ」や「ダイ・ハード4.0」には感謝なのです。
今年は涙することなく元気に映画を楽しみたいです。
ステキな俳優、女優に出会えることも楽しみです♪

「極大射程」(上・下) スティーヴン・ハンター2008年01月26日 20時45分11秒

「極大射程」(上) スティーヴン・ハンター
「極大射程」(上・下) スティーヴン・ハンター
POINT OF IMPACT
by Stephen Hunter
(新潮文庫)

ベトナムで名スナイパーと呼ばれたものの今は世間の目を逃れて暮らす退役軍人のボブの元にある依頼が。引受けたボブは謎の組織によって汚名を着せられる。

マーク・ウォールバーグ主演の「ザ・シューター」の原作で2000年版このミスの1位になった人気ミステリー。誰に聞いても面白いと好評で楽しみにしていた。なるほど評判が頷ける面白さ。読み方の遅い私が上下巻のボリュームがあってもすらすら読めた。

原作のボブ・リー・スワガーはマークよりもかなり年配だがイメージは悪くない。マークの得意とする仏頂面はボブの世捨て人っぽい雰囲気を持ってして、超人的な戦闘能力も違和感なし。ストーリー的にも細かい違いこそあれ、イメージを損なうに至らない。瞬きひとつせずに標的を狙い仕留める冷静さ、漲る力をあまり感じさせることなく颯爽とこなすクールさはまさにマークならではのキャラクターではないかと。ボーンシリーズのマット・デーモンと似ている様でまったく異なるキャラクター。マークはボーンよりもやはりボブだろう。繊細さよりも無骨さが似合うというか。謎解きよりも目の前の現実に体張って立ち向かう方が彼らしい(笑)。

ボブに巻き込まれる形で味方することになるニック。映画ではマイケル・ペーニャだったが、原作でブロンドの白人だったのには驚いた。射撃の腕が立つものの以前に失敗してトラウマを抱えているという役柄。映画よりもキャラクター設定に深みがあり見せ場もたくさん。彼の活躍はこの作品には欠かせない。ボブと通じ合える関係も納得のわかりやすさで、原作の方がより親密度が増す。けれどもキャラクターの本質はマイケルもきちんと捉えていてそんなに違和感は感じない。むしろラテン系の陽気さというか親しみやすさが人を寄せ付けないマークの雰囲気と対照的で、お互いに引き立っていた気がする。

もう一人味方となったヒロインのジュリーだが原作のボブの年齢にもよるためこちらもやや年齢高め。落ち着いた女性の感じだがボブを魅了するだけのものはあるようで・・・(笑)。ちょっと想像はしにくいんだけど、でも間違っても映画のケイト・マーラは有り得ない!(断言)
いくらなんでも彼女ほど地味ではないと思う。もっと魅力的な女優を配して欲しかった。やはりブロンド美人だろうか~。レイチェル・マクアダムズとかグレチェン・モルくらいの派手さが欲しかったわ。TV女優の起用が多かった本作だが、とすればサラ・クラークやキャスリン・モリスのような存在感のある女優がいるでしょうに~。作品が面白かっただけにこの点の不満がどうにも炸裂気味になってしまう~(笑)。
原作では彼女とボブの間はより親密だ。厭世的なボブでも一線を超えるようなそれだけの魅力ある女性だったということで。ま、映画でそこがなかったのは不幸中の幸い。超地味で色気のない彼女との絡みなんか見たくもないわい。

映画を観て暫らく経ってから読み始めたんだけど陰謀の詳細はちょっと記憶が薄れ気味(すみません~!)。微妙に違う気もするんだけど、忘れちゃうくらいだから、え~っ!っていうほどの不満もない程度のものなのかな?原作では法廷にまでおよんだ一発逆転の場面はネタはそのとおり、鮮やかだった。ふてぶてしいマークの態度が気持ちいいくらい。

ボブの無骨だけどもその本質は熱い人格と超有能な戦闘能力と頭の切れがとにかく魅力的で作品を引っ張る。原作でのボブがとにかくいいのは間違いないのだが、映画でのマークの出来も抜群だ。彼だけ観ていても飽きないと言っても過言ではない。原作の中のボブ・リー・スワガーの魅力をよくここまで掴んで出したなと感心してしまう。それはニックにも言えることでそれは脚色の巧さが光るということかとも言える。

この作品、銃に対する讃歌とも取れるような表現が満載。日本で公開された去年は大変な銃撃事件があり、ネット上でこの作品が面白いと公言するのが憚れるような雰囲気があった。銃社会の米国であっても勿論、声高々に銃を賛美することはそうそうないだろうと思うけど、銃をひとつの小道具としたミステリー作品としては非常に面白く使われているのは間違いなく、エンタテインメントとして映画化するにも格好だったろうと思う。原作の持ち味を損なうことなく、コンパクトにアクション映画としてまとめた成功例ではないかと思うのだけど。