ジョゼフ・ゴードン・レヴィット2009年06月09日 00時03分34秒

恋のからさわぎ(1999)
JOSEPH GORDON-LEVITT(左)  1981/2/17 USA
- DAVID KRUMHOLTZ(右) -

久しぶりの俳優ネタは子役時代から見ているキャリア十分の若手俳優。ジョゼフ・ゴードン・レヴィットです。若手っていってももう30歳直前なのか。成長しても童顔なのでそんな歳には見えないんだけど。イメージ的にはマイケル・アンガラーノと同じタイプ。マイケルよりちょっとだけクール・・・かな?・・・ほんのちょっとだけね。

子役時代の作品は「リバー・ランズ・スルー・イット」のクレイグ・シェファー(ブラッド・ピットの兄役)の少年時代。「エンジェルス」の主人公の野球少年。「陪審員」のデミ・ムーアの息子。「ホーリー・ウェディング」ではパトリシア・アークェットと結婚する(!・・・勿論、コメディです)。

「陪審員」で15歳。子役というよりティーン俳優になりつつあるが、童顔のせいか役柄より子供に見える。弱々しい苛められっ子タイプかも。最初のティーン映画はホラーの「ハロウィンH20」。ジョッシュ・ハートネットの同級生かな?実ははっきり憶えてないんだけど確かブギーマンから逃げ回る生徒たちの一人だったんじゃないかな~(笑)。

そして「恋のからさわぎ」。シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』をベースにしたラブコメディ。今となっては貴重なヒース・レッジャーが主演作品。彼はこの作品がお気に召さなかったようだけど、この手の作品の中ではキャスティングが面白く、映画自体も非常に出来が良いと思う。ヒロインはジュリア・スタイルズ。ガブリエル・ユニオンもいるしスクールカウンセラーがアリソン・ジャーニー。そして何よりこれのデヴィッド・クラムホルツが最高なんだ♪
ふたりまとめて苛められっこ。これがまたよくお似合いで。18歳のはずだけど中学生くらいにしか見えない。見た目もキャラクターもいかにも苛められそうなんだこれが。

ところが次に見たのが“Havoc”(邦題「アン・ハサウェイ/裸の天使」)というティーン映画というか無謀なティーンネイジャーの青春映画といったところ。ヒスパニック系ギャングの子達ともめる白人の少年役。前作から5年以上経ってると思うがあの童顔からしたら結構おとなっぽくなっていた。といっても役柄はティーンみたいだけど本人は24歳くらい?やっぱり童顔か(笑)。

日本で見られる作品がその後暫らくないのだけど、1996年から2001年までTVシリーズにかかっていたようだ。その間に成長していたのね(?)
「ルックアウト/見張り」が見ている中では一番最近の作品で2007年。突然大人の男になっていました。しかしながら役柄が結構深みがあってこれがまた嵌っていてよかったのだ。有望なホッケー選手だった青年は彼女を楽しませようと、ある理由で夜の道を消灯のまま車を走らせて大事故に遭う。頭部を激しく打って記憶が長続きしない後遺症が残る。友人を死なせた自責の念と記憶が途切れるためからくるイライラも募り普通の生活をするのが難しいが、親元を離れリハビリを続けながら夜間に銀行の掃除の仕事をしている。そんな彼が自分の勤める銀行への強盗計画に巻き込まれるというストーリー。自分の生き様にイラついていた彼が、ある日健常者らしい扱いに素直に喜びを見出したものの、それが強盗をもくろむ一団だったと知り、揺れながらも自分の心を見つめなおし、記憶の途切れを利用して彼なりの逆襲に打って出る。

こう言ってはなんだが、正直、今まで若手俳優として興味は持っても、その演技に注目するものはなかったのだが、今回初めて面白い役者になったのかも?と思えた。
これから30代だし、面白い役で見られることが今後どんどん増えてくるのかもしれない。要注目♪

余談だが、この「ルックアウト/見張り」。レヴィットに近づき強盗を企てる主犯がマシュー・グードなのだがなんとスキンヘッド!好青年でしか見たことがなかったのにいきなり犯罪者だしこの容貌だし、最初は気がつかなかった。だけどセクシーな低い声で彼とわかりびっくり。セクシーな全裸も披露して(後姿ですけど)違った魅力を発見。そんなこともありこの作品、期待してなかった割に面白く観られて得した気分になったのだった♪

ジェイソン・ベイトマン2008年08月31日 21時56分38秒

キングダム/見えざる敵(2007)
JASON BATEMAN   1969/1/24 USA

すっごく地味、あまりに普通の人。決してカッコよくもないし・・・。だからこそこのブログにようこそ!な俳優ではなかろうか。
普通の人だからこそ、脇役で重宝され、時に新作準備中の監督やキャスティングディレクターの目に留まり、出演作が続々増える。今がその時のベイトマン。顔を憶えている人も多いはず・・・だと思う。

地味な人って最初は見ていても憶えていないことが。1本目は再見で、あー、そうだったなぁ~と、確認。「クリスティーナの好きなコト」がそれ。キャメロン・ディアスが追いかけるトーマス・ジェーンの友人役だった。ありがちな主役の友人役。地味すぎて全然覚えてなかった。

次に見たのは少し経ってから。「スタスキー&ハッチ」「ドッジボール」で、ヴィンス・ヴォーンの仲間とかでチョロチョロと。 髭面だったり、なんか怪しい扮装なので、これもすぐには判らず。ただ、名前だけ憶えていて、ベン・スティラー作品の常連コメディ俳優の一人なのかと思っていた。
この2本から暫らく経って、またヴィンス・ヴォーンの作品で目にする。「ハニーVSダーリン」で、弁護士だったか不動産屋だったか・・・。同じような傍役の一人。この辺で、さすがに、見た顔かもしれない・・・と、思い始めた。

そして「スモーキン・エース」のアンサンブルキャストの一人で彼を見つけた。ベイトマンはジェレミー・ピヴェンの弁護士で彼を探すためにバウンティハンターを雇う。暗殺者じゃなかったのでそんなに出番はないけど、なぜかパンツ姿を披露。どっか抜けているのが彼らしい。暗殺者ってタイプじゃないしねぇ。

この辺りからだんだん露出度が高くなってくるベイトマン。しかも役が大きくなってくる。
「キングダム/見えざる敵」にキャスティングされたのは何故だろう?テロ事件を背景にした社会派アクションサスペンスで、絶対にベイトマンのカラーじゃないよなぁ、と。テロ事件が起きたサウジアラビアに調査に向かう4人のFBI捜査官の一人で、クリス・クーパー、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ガーナー。で、もう一人がベイトマンって、何故だ?と思うってもんだ。まあ、超控えめに笑いを取る役どころなのかな~なんて。一人テロリストにとっ捕まってるあたりは非常に彼らしくもあり、なるほどではあるのだが。はて、それでいいのか?と、思わなくもない。

さらに役柄はヒートアップ。「JUNO/ジュノ」はかなりの役どころ。またもやジェニファー・ガーナーと、今度は夫婦で登場。しかしながらこの夫婦と主人公ジュノとの関係はストーリー上かなり重要。ベイトマンとジュノ役のエレン・ペイジの場面が微笑ましい。父親になる自信のない、どこか子供のままでいたい願望を持った男。ちょっと柔らかい感じのベイトマンが自然にこの役に溶け込んでいた感じがする。そうか、こういうのもありなんだ~と、認識を新たにした1本だった。

そして最新作。ウィル・スミス主演のアクション。ビッグ・バジェットムービー「ハンコック」。出演者の少ないこの作品にあって、ベイトマンの役はさらに重要度が増している。嫌われ者のヒーローの唯一の理解者のベイトマン。まるで良心を絵に描いたような人物。あまりのお人好し故に、傷つきもするが、見せどころも用意されていて、全編通して露出度も高く、これはおいしい役だ♪

普通の人、お人よし、人当たりの柔らかさ、ちょっと間抜け面だけど、そこがいいのかも。褒めてるような、けなしてるような、微妙に聞こえるかもしれないが、私は好きよ。いや、マジですってば~。
傍役として必要な資質を備えている俳優。これからも、あちこちで顔を見せてくれるのを期待している。

ジョン・キューザック2008年05月18日 17時21分31秒

ハイ・フィデリティ(2000)
JOHN CUSACK   1966/6/28 USA

最新作で見たキューザックに、昔から彼に馴染みのある人ならば少なからずとも衝撃を受けたはずだ。私とそう歳が違わないんだけど、80年代からゆでたまごみたいにツルンとして、いつまでも歳をとらないようなイメージでいたのだが、その新作で見た彼は、メタボな中年っちゅうか・・・。ショックだなあ。

もういつ見たのが最初だかなんてわからない。たぶんに多くのジョン・ヒューズ作品でちょこちょこ見かけたのが最初だろう。「すてきな片想い 」「ブレックファスト・クラブ 」「 ときめきサイエンス 」「フェリスはある朝突然に 」「大災難P.T.A」「結婚の条件」と、そのほとんどに、しかも姉のジョーンとともに出演している。ジョン・ヒューズ組の一員として、彼とは親しいようでチョイ役でも嬉々として演じているように見える。この二人を探すのもジョン・ヒューズ作品を観る楽しみの一つ(笑)。

ジョン・ヒューズ作品に限らず、キューザックは80年代の青春映画の常連。「セイ・エニシング」「シュア・シング」「恋のスクランブル」「ワン・クレイジー・サマー」、そして「スタンド・バイ・ミー」。80年代はキラキラした明るく甘酸っぱくそして切ない青春映画がたくさんあったが、その時代に欠かせない若手俳優だった。ロブ・ロウやマット・ディロンのように主役級の二枚目とは言い切れずこれといって特徴もない、クラスメイトにいそうなタイプというか。主役でもそのスタンスは変わらず、普通の男の子ならではのキャラクター。それがいいんだなあ。

思うに彼の代表作って何だろう?これといった決定打は思い浮かばない。だけど、青春映画時代を過ぎて90年代には社会派ドラマからコメディ、サスペンスとジャンルを問わず幅広い作品で活躍。どんな作品でも彼らしさはそのままに、その作品の中にいつもしっくり溶け込んでいる。たとえ主演であっても、俺が俺が!ってタイプじゃなく、存在感がうるさくない。薄いんじゃないよ。うるさくないのだ。
主演のような助演のような役が多いのかな?「訣別の街」はアル・パチーノ、「真夜中のサバナ」はケヴィン・スペイシー、「トゥルー・カラーズ」はジェームズ・スペイダー、「マルコヴィッチの穴」はジョン・マルコヴィッチとキャメロン・ディアス、「狂っちゃいないぜ」はビリー・ボブ・ソーントン・・・。挙げていくとキリがない(笑)。
でも決して彼らに負けているわけじゃないんだな。キューザックはキューザックなんだもの。

そんなわけで作品のタイプは様々だが、私は80年代の雰囲気やキャラクターがそのまま大人になったようなキャラクターの彼に惹かれるのかなー。
「ポイント・ブランク」のなんだか冴えない殺し屋。鬱々とした気分を抱えている「ハイ・フィデリティ」、おたおたばたばたしてる「ブロードウェイと銃弾」。これがまた、うろたえる場面が浮かびやすいってなんなんだろうね(笑)。
その傾向はロマンチックロールでも同じ。やっぱりじたばたしてる「アメリカン・スウィートハート」、なんだか優柔不断な「セレンディピティ」、カッコよくいかない「理想の恋人.com」。
でも、そこがいいのかな♪
基本的にあたりの柔らかい優しそうなルックス。普通の人はいつもそんなにカッコよくきめてるわけじゃない。悩んで迷ってじたばたおたおたするのが常なのだ。だからそんな彼に親しみが持てるのかもしれないね。

しかしいつもそれでは俳優として代わり映えしない。優しそうだから、平凡そうだから、サスペンスで表情を変えず、冷たい態度をとってたりすると、真相が読めにくいかもしれない。何か怪しいけどどうなんだろう?って。「“アイデンティティー”」はアンサンブルキャストだったけど、彼をはじめキャラクターが多彩で展開も読みにくくてサスペンスとして面白かったな。あまりそういうタイプの作品では見られないキューザックの一面が見られたのも嬉しかった。
サスペンスは彼の場合、「アイス・ハーヴェスト」みたいに途中からコメディっぽくなったりして、ほんとにストーリー展開が読めないってこともあるのはご愛嬌(笑)。

こういってるとコメディ俳優みたいに思われると困るので、真面目な作品もあることを挙げておこう。「シン・レッド・ライン」「クレイドル・ウィル・ロック」「エイトメン・アウト」「心の地図」「アドルフの画集」「シャドー・メーカーズ」などなど。実在の人物、史実に基づいた題材を扱ったものなども多く、本人も基本的にインテリなんじゃないかと思う。筋金入りのリベラルなんだそうだ。
古い作品になるが、あまり知られていない「シャドー・メーカーズ」のキューザックはかなり衝撃的だった。これは本人確固たる意思がなければ出来ない役だと思いましたわ。未見であれば是非。

そして、新作の「さよなら。いつかわかること」。非常に微妙なテーマの作品なんだけどもね。
青春映画の爽やかさは面影を潜め、二人の娘を持ち、ホームセンターで働くややメタボな中年男のキューザック。これは作品のタイプを考えて意図したものなのだろうか。そのルックスはとにかく驚いた。
感想はそれぞれだと思うのだけど、彼の作品に対する姿勢も含めて、長く彼を見てきた方にはぜひとも観て頂きたい作品ではある。

80年代からブランクもなく長くコンスタントにキャリアを重ねてきたキューザック。自ら脚本を手がけたり、劇団を主催し演出することもあるそうだ。
1年に1本は新作で顔を見られる感覚だし、どの作品も「あー、キューザックだな~」と安心して見ていられた。だけど特に注目して追いかけることはなかったのだけども・・・、「さよなら。いつかわかること」を観て、40代に突入した彼の今後の作品に興味を覚えた。
いつものおたおたするキャラクターも好きなんだけど、ちょっと俳優として別の見方が出来る作品が増えてくるのかなと思った次第である。

ジェームズ・マカヴォイ2008年05月11日 14時23分39秒

ペネロピ(2006)
JAMES MCAVOY  1979/4/21 UK/スコットランド

近年、めきめきと人気急上昇のマカヴォイ。私もまんまと引っかかってる一人だけどね(笑)。こんな魅力的な俳優が、なんで今まで埋もれていたんでしょう?英国俳優は奥が深いわぁ♪
彼を知ったのはご多分に漏れず「ナルニア国物語」のタムナスさん。半獣フォーンのキャラクターゆえ、その時は彼の魅力は未知のものだった。その後、何本もの作品を観るうちに、いやいやタムナスさんだって彼ならではの特徴が出ていたじゃないかと思える。自信なさげな上目遣いの眼差し。透きとおるような瞳はブルー?グレー?グリーン?
線の細い感じがどこか頼りない守ってあげたくなるキャラクターに似合う。

「ラストキング・オブ・スコットランド」で、フォレスト・ウィテカーの隣にいるひょろっとした青年がタムナスさんだと知って驚いた。人間というもっと身近に感じられる役で、彼の役者的魅力に初めて触れた。なんだか優柔不断で、誘惑にも弱い。長いものには巻かれろってな軟弱な青年役がリアル。
映像的に痛いシーンがあって直視できない場面もあったが、恐怖に怯える青年医師のマカヴォイにはなんとか生き延びて欲しいと思わずにいられなかった。そう思わせるのも彼ならではじゃないかな。

「ナルニア」が最初だと思っていたのだけど、実は「ウィンブルドン」で見ていたはずだったが、全然記憶になし。ポール・ベタニーのちゃりんこ乗りの弟だったとはね。その頃はベタニーとニコライ・コスター・ワルドウしか目に入ってなかったわ(笑)。再見して認識した。軽薄な男だなぁ。
もう1本、観ていたはずだけど全然気がつかなかったのが「バンド・オブ・ブラザーズ」。ジェームズ・ミラー一等兵って誰よ・・・。また再見して確かめないと~。

私が注目するに至ったのは「ペネロピ」のせい。もう、なんってキュートなのかしらん♪
呪いをかけられたクリスティナ・リッチに惹かれるワケあり青年のマカヴォイ。惹かれているのに、プロポーズされても断ってしまったのは彼の良心のため。階段の下から彼女を見上げる瞳の切なげなこと。だからこそラストの、がばちょ!なキスシーンが堪らんのだね(笑)。
これで一挙に評価が上がったわけで、次の「つぐない」への期待は否が応でも高まったわけである。

しかしながら「つぐない」はマカヴォイとキーラ・ナイトレーの切ないラブストーリーだけに非ず。主人公はナイトレーの妹で、彼女の心の成長と罪のお話。引き裂かれてしまった恋人たちのマカヴォイは、彼女の元に帰るべく戦場をひたすら歩く。傷を負い、ひょろっとして今にも崩折れそうな彼が痛ましい。ナイトレーと一緒の時よりも離れている時の方が彼らしい魅力に溢れていた。

少し前の作品になるTVMの「ダンシング・インサイド」は、小児麻痺の青年に自由に生きる勇気を与えてくれる筋ジストロフィーの青年役。主人公の小児麻痺の青年役のスティーヴン・ロバートソンとの友情も心に沁みる良い作品だった。
首から下が動かない、言葉と表情だけで自由を謳歌しようと主張するマカヴォイが生き生きして見えるんだから不思議!

いつになく自信たっぷりの横柄なキャラクターは新鮮。タイプキャストばかりが続く若手俳優じゃなさそうだぞと、認識を新たにした。確かな演技力を強烈に感じた1本でもある。障害者の役だからというのではなく、自由が利かないからこそ、力強く生きる人間の力、心の表現力に心底傾いた。マカヴォイに注目の方で未見であれば、是非ともご覧になっていただきたい。
もともと実力のある俳優なんだと思われる。今後のますますの活躍を期待したい。

のだけどー、新作がアンジェリーナ・ジョリーと共演ってのが何か気に食わない(笑)。
カップリングが気に入らないと作品そのものの評価も微妙になる私。「ラストキング・オブ・スコットランド」はケリー・ワシントン。「つぐない」はキーラ・ナイトレー。どっちも世評ほどぐっとこなかったのはこの相手役のキャスティングのせいだと思って間違いないー。
クリスティナ・リッチとの「ペネロピ」は完璧。今のところ今年のベスト作品の座にいるのだっ♪

ジョッシュ・ハッチャーソン2008年04月13日 18時48分09秒

テラビシアにかける橋(2007)
JOSH HUTCHERSON   1992/10/12  USA

近年の子役の中で一番の注目株がこの子。どちらかというと仏頂面、不機嫌顔の印象が強く、ありがちないい子や元気な男の子より、ひねてたり暗かったりするリアルな現代っ子が多い。だから、ストーリーが進む中でやっと笑ってくれた時の笑顔の可愛らしさにほっとするのだ。

子役で取り上げたい子がいても、出演作が多くないのでなかなかネタが集まらないのだけど、彼は違う。デビューは10歳の時。キャリアはまだ5年そこそこでありながらTVMを含めて既に20本ほど。「ポーラー・エクスプレス」や「ハウルの動く城」の英語吹替え版などもあり活躍の幅は広く、すごいスピードで出演作が増えている人気子役俳優だ。
映画デビューは「アメリカン・スプレンダー」だったらしいが記憶にない。再見の機会があったら探したい。10歳のハッチャーソンは可愛かったろうなぁ(笑)。
最初に見たのは「ザスーラ」のお兄ちゃん。無邪気な弟のジョナ・ボボがとにかく可愛いので、逆にいつも不機嫌なハッチャーソンのその時の印象はもうひとつ薄かったんだけど、今思えばなかなかのキャラクターで、ダックス・シェパードとのシーンは印象深い。

子役らしくファミリーコメディが主流なんだけど、いろんな父親と母親に恵まれてさぞかし楽しいだろうなと思うのだけど。「RV」ではロビン・ウィリアムズ、ウィル・フェレル主演のドタバタコメディ「ペナルティ・パパ」ではロバート・デュヴァル(!)だよ。子供も大変だ(笑)。
特に「RV」では、家庭を顧みない父親のウィリアムズに対してものすごく冷めた息子。相変わらずの仏頂面が笑わせる。
ファミリーコメディの子役は可愛いだけで、時が経つと記憶のかなたに薄れがちだけど、ハッチャーソンがそれだけに留まらなかったのはこの仏頂面とそれゆえに深みのあるキャラクターの役が多かったからかも。

そして私がさらに注目するようになったのは「小さな恋の物語」を観たから。離婚寸前の両親の姿を見ては不安そうな表情を浮かべる少年。泣きたいのを堪えるようにして彼らから目を反らす。なんともリアルな現代っ子の現状を見るようで切ないのだが、ところがだ、この少年はそんな状況の中で初恋を体験するのだ。いつも近くにいた同級生の女の子にあるときからときめいてしまうのだけど、その表情の変化は目を見張る。思わずおばさんは応援してあげたくなってしまったよ(笑)!
夏休み中で会えない時は彼女の家の前まで行ってみたり、だけど声を掛けられなくて家の前を行ったり来たり。彼女が他の男の子と話してるのを見た時の素直な反応。なんて表情をするんだか~。
両親役はブラッドリー・ウィットフォードとシンシア・ニクソン。ニクソンの胸の中で大声をあげて泣きじゃくるハッチャーソン。そんなふたりを見つめているウィットフォード。恋して笑って泣いて・・・そんな息子を見ているうちに両親の心にも変化が生じてくる。なんか気持ちがほっこりする物語だった。ハッチャーソンの演技力と魅力が一番良く出ている1本だと思う。今はこれが一番好きかな。

今年公開された「テラビシアにかける橋」では来日もして少し成長した彼がお目見え。今回も家庭や家族の状態が微妙で暗めな苛められっこ。楽しくない日々から抜け出せたのは絵を描いて空想の世界に入っていく時だけ。そんな微妙な役をまた彼らしく好演していた。この時で15歳かな。

もう1本の新作はDVDで「ファイアー・ドッグ」動物もののファミリームービー。今度の父親はブルース・グリーンウッド。父親と同じ消防士の叔父を火災現場で亡くしてから二人とも心に傷を負っている。やっぱりこういう少年役には彼にオファーが行くらしい(笑)。ハッチャーソンとグリーンウッドの親子がとても良い。微妙な心のすれ違いや通い合った時の雰囲気が泣かせるのだ。

大声で泣きじゃくる、親の姿に反応した素直な子供の表情を見せるハッチャーソンに引き込まれてしまった。
微妙な役が似合う、ルックスも決して可愛い子役とはいえない。だけど・・・いや、だからこそ先が楽しみだ。個性を生かして、さらに演技力に磨きがかかってくればこの先いろんな役がどんどんこなせていくはず。今年も新作の予定が続々。とっても成長が楽しみな俳優だ。むしろ地味なルックスこそかっこよく成長するかもしれないしね~(笑)。