エリザベス・シュー2008年07月22日 20時21分18秒

インビジブル(2000)
ELISABETH SHUE   1963/10/6 USA

「バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2」と「PART3」のマイケル・J・フォックスの可愛いガールフレンドをはじめ、80年代半ばから90年代に渡って、メグ・ライアン同様、親しみやすいヒロインを演じてきた。“ロマコメの女王”の座はメグが君臨してきたが、可愛らしさだったらエリザベスのほうが負けてなかった気がするのだけど。

最初に見たのは「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズよりもっと前。「ベスト・キッド」のヒロインでこれが彼女の映画デビューだから、初期の作品はかなり恵まれている。トム・クルーズの「カクテル」のヒロインも彼女。当時人気のファミリー冒険映画の「ベビーシッター・アドベンチャー」なんてのもあり。(ちなみにこの作品で彼女が子守をしたのがアンソニー・ラップ♪)
売れ筋路線を行く予感がしたのだけど、やっぱり当時の一線級のヒロインは軒並みメグ・ライアンに流れたのか、ヒロイン役は「愛が微笑む時」くらいで、「ソープディッシュ」「あなたの恋にリフレイン」など傍役に回ることが多くなる。

そしてそのおかげともいえるかもしれないが、「蒼い記憶」「トリガーエフェクト」など早くも暗い作品や汚れ役に挑戦し始める。そして何より彼女の印象を変える決定的な作品に巡りあう。いうまでもなく「リービング・ラスベガス」である。それまでの暗い作品は見方によってはB級になりかねないものばかりだが、この1本に繋がる何かが彼女の中にあったのかもしれない。
幾つかの映画賞で主演女優賞を受賞。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞にもノミネートされ、彼女の演技が大いに評価された。
酒に溺れるニコラス・ケイジを捨て身で支える売春婦のエリザベス。今までの可愛らしい彼女にしてみればびっくり!の大胆演技だ。
正直、私はこの「リービング・ラスベガス」が好きにはなれないのだけど~、彼女のキャリアとしてはこれ以上ない転機になったのは間違いない。

映画賞に関わると魅力的な脚本が集まってくるのは事実。ふたたびやってきたヒロイン役は「セイント」。主演はヴァル・キルマー。この作品、評価は微妙かもしれないが、私は大好き!変装が得意な泥棒が主人公のサスペンスであり、ファンタジーっぽくもあり、ロマンスも。このヒロインのエリザベスはとってもチャーミングだった。こういうキラキラした役は女優にとって必要だと思う。彼女にはそれだけの魅力的なものを持っているのだし、それを活かせる作品があって然るべきだから。

その後はこんなヒロイン役と汚れ役と緩急つけて作品の幅が広がっていく。文芸作品としては異色な「従妹ベット」、ウッディ・アレンの「地球は女で回っている」。とうとうポール・バーホーヴェンの「インビジブル」で透明人間のケヴィン・ベーコンに襲われる!(笑)。
ちょっと格調高めかと思えば、次はちょっとえっちい作品を選んだりして、成功しているかどうかはやや怪しいのだが(笑)、可愛い系にしては、いろんなタイプの作品に挑戦している面白い女優になってきた感がある。
何本か彼女の意外な大胆さが見られるのだが、ちょっとコメディな「従妹ベット」や(特にラストは必見♪)、妖艶さを前面に出した「パルメット」なんて強烈。「リービング・ラスベガス」で何かが吹っ切れたのか?エリザベス!
でも、これを武器にしているというのでもなく、彼女が楽しんで演じているようで、ある意味余裕ができたのかな~と思えなくもない。
女の私が観て、彼女のえっちさはどこかお茶目でキュート。なんだか憎めない。こういうのって男性には結構くるんじゃないのか?(・・・何がじゃ!)

近年は年齢のせいもあるだろうが、落ち着いてきたのか母親っぽい役で登場。たまたま共演の子役がダコタ・ファニングで続く「ハイド・アンド・シーク」と「夢駆ける馬ドリーマー」。後者はしっかり彼女の母親役。しかしながら彼女の可愛らしさは変わらず印象は昔のまま。
同じ母親役でも微妙に難しさのある「レオポルド・ブルームへの手紙」で、私は彼女の女優としての巧さを非常に感じた。こんな作品が出来るなら、安心して楽しい役、面白い役と冒険してもらってもいいような気がするっ。

演技の巧さは勿論必要なんだろうけど、映画女優たるものやっぱり可愛らしさも必要だ~。