ジョディ・フォスター2007年11月23日 22時29分11秒

ブレイブ ワン(2007)
JODIE FOSTER   1962/11/19  USA

今頃何故な今度は女優です。映画ファンじゃなくても知ってる超実力派。彼女のポジションは不動のもの。彼女の実力に加えてその人間性と生き方とその存在感。ある意味孤高の人だよね。
子役時代から30年以上のキャリアは誰もが認めるもの。でも思うほど作品数は膨大ではない。子役からティーンの頃はその特異な演技力と大人びた雰囲気でいろいろと起用されていたが、大人の女性としての役を演じるようになってからは、作品が厳選されて1年に1本ペースが定着。

私の最初の彼女はたぶん「告発の行方」。オスカーを受賞した問題作。今じゃ珍しくないけどレイプシーンを初めて見たのもこれだったと思う。それよりも化粧もドロドロ、傷だらけの顔で激しい口調と表情がどんなに強烈だったか。演技派女優の初めてが彼女だったわけです。アカデミー賞を知ったのも彼女がきっかけではないかと思う
その後の「羊たちの沈黙」は言うまでもない。サスペンス映画にオスカーをもたらしたこの作品の凄さ。文句のつけようのないキャスティングとその演技。何回でも鑑賞に耐えられる。
このあたりで彼女は知性が漲る印象が固まる。実際にエール大学出身だし、最先端の女性の生き方を邁進してるというか~。ま、一般人とは違うレベルで人生を歩いている人ってことだやね。

「ジャック・サマースビー」や「マーヴェリック」、後には「アンナと王様」「ロング・エンゲージメント」なんかでクラシカルで女性らしいコスチュームの彼女を見るとブロンドで真っ白な肌の美人。それでも笑わない表情がきりっとするからいっそう知的なんだよね。女性的でも一捻りあるキャラクターばかり。

「ネル」「イノセント・ボーイズ」で製作に関わり、「リトルマン・テイト」では監督も。いかにも彼女らしい。ちょっと説教くさい気もするけど、彼女の精神がそういう時期だったんだろうなと。「ネル」はそういう役だからだけど無垢な感じがとてもよかった。純粋なんだけど力のある瞳。この映画、私は好きなんだよね。
個人的に好きなのがもう1本、「コンタクト」がそれ。またもや知性が光る学者の役だけど、自分の夢を純粋に信じることで報われる人の心に優しいSFだった。デヴィッド・モース演じる父親との再会シーンが美しくてとても好き。ジョディが幼い女の子に戻るあの表情がとても印象的。

近年になって増えたのが“強い母”の役。「パニック・ルーム」と「フライト・プラン」。自分も母親になった彼女がこの役に惹かれたのはわからないでもない。でもだからといって作品がいいかというとそうでもなさそうな。「パニック・ルーム」はまだしも「フライト・プラン」はねえ。いかにも過ぎてちょっと食傷気味になった。

これだという主演作じゃなくて「ロング・エンゲージメント」や「インサイド・マン」のようにふらりと助演で演技するのも、気負いがなくていい感じだ。これも孤高の女優の余裕かね。

さて、彼女をUPする気になったきっかけは新作の「ブレイブ ワン」。チャールズ・ブロンソンの「狼よさらば」のジョディ・フォスター版とでもいうか。ストーリーは判りやすい復讐もの。さすがに70年代ではないのでバイオレンスを痛快にかっこよくというわけにもいかない。まあ、彼女の主演なんだからそんなことは有り得ないけど。ラストの展開は是非が分かれるところだろうが、私が感じ入ったのはそういうところじゃなかった。
愛する婚約者を奪われた哀しみ。彼への愛ゆえに生まれた揺ぎ無い憎しみ。彼が生きていた頃の姿が余りに幸せな女性なのでその気持ちが痛々しくて切ない。
独特なラブシーンがあったが、こんなに胸が痛いラブシーンを観たのは初めてだった。ジョディ・フォスターならではかもしれない。切なくて美しい女の映画だった。
知的で強いイメージが定着している彼女だけど、女性らしさを演じる彼女の美しさ、愛らしさは目を奪われるほどに美しい。両方の魅力を持ち合わせていて且つ誰もが認める演技力。やはり大女優だねえ。

女優の運命たる年齢の波は彼女にも勿論訪れる。「ブレイブ ワン」の彼女もクローズアップ画面の顔には確かにシワが。でもそんなのも気にならないほど、年齢に関係なくひとりの女の感情を見せられて圧倒された。実際美しいと思ったしね。
余談になるが、ふと思った。メグ・ライアンもこういう役をやればいいのに。ロマコメの愛らしい女優から抜け出すのに汚れ役やセクシャル路線転向でと考えるのは安易だよ。こういう心が揺らされるような女の役がもっと欲しいなあ。

ダイアン・キートン、メリル・ストリープの次の代でトップを走る女優の代表格もいい年齢になってきた。だけど揺ぎ無い魅力が活きる作品でいつでも輝きを放っていて欲しい。だって女優はやっぱりスクリーンの華だもの。安心できる実力と美しさを兼ね備えた女優は貴重。最近心配なハリウッドの脚本力には本当に頑張ってもらいたいです。

デヴィッド・クラムホルツ2007年11月24日 22時53分43秒

NUMB3RS ナンバーズ(2005~)
DAVID KRUMHOLTZ   1978/5/15  USA

一転、久しぶりのマイナー俳優。さあ、彼を知ってますか~?。でも映画ファンなら彼の顔は何度かは見ていると思います。そこそこ面白いラインナップの出演作。その選択はセンスいいと思う。

彼を最初に見たのはお気楽青春映画「恋のからさわぎ」。ヒース・レッジャーとジュリア・スタイルズ主演のやつです。彼らが主演なんだけどそのふたりそっちのけで笑いを取っていた準主演的な二人の男の子キャラがいたんだけどジョセフ・ゴードン・レヴィット(彼についてはもしかしたらそのうちね)とクラムホルツ。このクラムホルツのキャラが傑作だった。微妙に苛められっ子っぽい役で図体のでかい同級生にいじくり回されてるんだけど、顔にマジックでちん○の絵を書かれるという苛めははじめて見たぞ!クラムホルツ演じるその子のキャラはそんなの慣れっこでちっともめげないんだけど、顔にその絵があるまま出ている時間が結構長い。クラムホルツの心境やいかに?楽しんでるんだろうか?ストーリーより気になってしまった。ちなみにこの作品、私は好き♪

「Fカップの憂うつ」「リバティ・ハイツ」などのコメディでのポーカーフェイス的な微妙な雰囲気は彼ならではのもの。「恋のからさわぎ」での彼の可笑しさはある意味その集大成だったような気もする。

最初がそれなので彼のことは忘れられるわけがなく、その後あちこちで見かけるたびに注目俳優の一人になっていった。「リバティ・ハイツ」「アイス・ストーム」「舞台よりすてきな生活」「サイド・オブ・ニューヨーク」「セレニティ」「ボビー」といったインディペンデント系の小品、製作に俳優が関わる小作品も多いんだけど仲間が多いのかな。そういう傾向があるからこだわりの感じられる作品でよく顔を見かけるし群像劇っぽいものも多い。こういう使われ方をしてる俳優って絶対に独特の魅力があるからだと思う。監督やキャスティングディレクターましてや俳優仲間の記憶に残ってるんだろうなと。
「RAY/レイ」や「ザ・メキシカン」などの大作の傍役に名を連ねてるのもそのためだと思う。

映画デビューは93年の「ライフwithマイキー」。マイケル・J・フォックスがマネージャーをするタレント事務所の子役スターだった。「アダムズ・ファミリー2」や「サンタクローズ」などの子役時代の彼を覚えているだろうか?それ以前に10歳くらいから舞台に立ち13歳でブロードウェイデビューしている。出演作の傾向がなんとなく頷けるような経歴。

ハンサムとはいえないけど親しみの持てるルックス。「プリティ・イン・ニューヨーク」「サイド・オブ・ニューヨーク」などで一応ラブストーリーも経験済み。ちょっとコメディだったり、一筋縄ではいかない捻った感じがこれまた彼らしいかも。

捻った感じ、ポーカーフェイス・・・そこに最近加わった新しい魅力を発見。それが、ちょっとオタク的な雰囲気(笑)。
いやいやバカにしたもんではない。最近映画ではあまりお目にかからないなと思っていたら、彼もTVドラマのシリーズに出演中だった。これを観る機会があったんだけど、なかなかいいんだこれが!
「NUMB3RS ナンバーズ」がそれ。1話完結のサスペンスだが、主人公たちの設定が面白い。FBI捜査官の兄にロブ・モロー(彼もいずれ取り上げたい♪)、彼の天才数学者の弟がクラムホルツ。この彼が天才数学者の名のとおり、アルゴリズムとかフィボナッチとか統計学、数学的知識、数学的直感(?)を駆使して現場主義の兄とは違う観点からヒントを見つけて難事件の捜査に協力する。
クラムホルツの天才振りがはまりすぎ。彼の独特なルックスと雰囲気がぴったり。これはいいキャラクターだ。典型的なエリートFBI捜査官の兄役のモローとのコンビがとても良い。この兄弟の微妙な関係や掛け合いもドラマ上のウェイトが大きく毎回見応えがあった。ドラマの評判もかなりいいらしい。

一度TVに行かれて人気になってしまうと数年は映画に戻って来れなくなるのが常だから、新作でお目にかかれなくなるのが寂しいところだが、性格俳優の域をマイペースで追ってくれそうな彼のことだから息の長い活動を続けてくれるんじゃないかと思っている。