「白骨」 G・M・フォード2006年03月12日 06時48分58秒

「白骨」G・M・フォード
「白骨」G・M・フォード
A BLIND EYE by G.M.Ford
(新潮文庫)

ライターのコーソは書いた記事の不始末で訴えられ警察から逃れるために、メグを伴って取材と称してシアトルを出る。が、大雪に見舞われて命からがら飛び込んだウィスコンシン州山中の家の中で二人が発見したのは白骨死体だった。

「憤怒」のフランク・コーソシリーズの3巻め。2巻めの「黒い河」は相棒のメグ・ドアティの登場が少なくてやや欲求不満だったのだが・・・(でも彼の原動力は彼女だったんだけどね)、この「白骨」に来て私の不満は払拭された。それどころか・・・3巻目にして最高傑作の登場か!と早とちりにもそんなことを考えてしまった。
これは凄い。読んでいて怖くて背筋がぞっとした。偶然にも発見してしまった白骨死体。この発見現場で起こったらしい事件を調べるうちに彼らは血も凍るような犯人の素顔を知ることになる。そして彼らにも危険が。猟奇殺人とかそういうおどろおどろしさではなく、心の底から湧き上がる犯人の殺意とか憎しみみたいなものが伝わってきて怖いったらない。
ストーリーがこれで、さらにキャラクターたちが魅力的なのだからはまらない訳がない。先にもう勝手知ったるキャラクターたちなので、今度は何をしてくれるのか?というのがひとつの楽しみでもあるのだが、コーソとドアティは裏切らない!この「白骨」については保証しておこう。

当然のことながら、コーソはトーマス・ジェーン、ドアティはマリア・ベロを思い描いて読んだ。もう一人目立った人物でウィスコンシンの小さな町のモリーナ捜査官。彼女は中年のベテラン警官ってことで思い浮かんだのはTV「サード・ウォッチ」のヨーカス役のモリー・プライス。
この作品は恐怖の要素が大きいので明るい人物は似合わない。子役の少女が必要だが「アザーズ」「真珠の耳飾の少女」のアラキナ・マンとか暗めの子が思い浮かぶ。
映画化するなら心理サスペンスに長けた人に監督してもらいたいなー。なんて、勝手なことを言ってみる。

読むだけでもミステリー好きにはお薦めしたい。できれば1冊目の「憤怒」は読んでおけばかなり楽しめる。「黒い河」は飛ばしてもOKかも。

初出:2005/11/24(木) 午後 9:47