「報復」 ジリアン・ホフマン2006年06月04日 11時49分54秒

「報復」ジリアン・ホフマン
「報復」ジリアン・ホフマン
RETRIBUTION by Jilliane Hoffman
(ヴィレッジブックス)

その凄惨たる被害者の遺体から続発するレイプ殺人事件のキューピッドと名づけられた犯人にフロリダは怯えていた。
担当検事のC・Jは突然逮捕された容疑者の声を聞いて愕然とする。それは12年前に自分を執拗にレイプした犯人の声だった。

ここ最近流行の女性作家の作品の代表的なものではないかと思う。パトリシア・コーンウェル以来あまり女性作家には手が伸びていなかった。女性が書くサスペンスと言うとどこかロマンスとか甘ったるさがあるような気がして好みではない方なのが、それはおいといて。
読書スピードが遅い私でもさくさく面白く読めてしまった。主人公のC・Jの過去と現在。彼女の内面と行動。同じ女性が書くだけあってきめ細やかな描写は共感を誘うかもしれないが、私にはちょっと感傷的過ぎる気もした。事情が事情なのでそんな経験がない者が言うことではないかもしれないが、この主人公があまりにもよく泣くので・・・。

ただの殺人事件じゃなく検察官もからむ法廷サスペンス的な味もあり、起訴する検察官本人が被害者的立場にあるというストーリーはよく練られていて、また証拠や容疑者逮捕の過程の問題など一捻りある展開にぐいぐいと引き込まれる。
キャラクターは正直この主人公は私には思ったほど魅力的には見えないのだがおそらく多くの読者は彼女の見方につくだろう。(笑)
私が非常に惹かれたのは彼女に恋するドミニク・ファルコネッティ捜査官。恋するっつーか・・・彼女もまんざらではないのだが過去の件と今、目の前にいる容疑者の存在が頑なに一線以上彼を踏み込ませない。そんな彼女を包み込むように愛する彼は大人だ。「理解はできないが受け容れる」そう言ってくれる男だ。

画的にも想像できて題材が派手なだけに映画されたら面白いかもと思ったら映画化決定だそうだ。詳細は知らないが出版前から話題になっていたらしいので満を持してというところだろうか。
さて、私の妄想も炸裂状態で読み進んでいったのであったが、主人公のC・Jはブロンド美人であることが大前提のようなのだがなぜか私の頭から離れないのが「24」のクロエ、「ファイヤーウォール」でフォードの秘書を演じたメアリー・リン・ラスカイブ。(笑)
事件以後ブロンドを地味目にして服装も身体を隠す野暮ったいスーツ。仕事では凄腕だが、キューピッドを目の前にしてうろたえ極度の緊張状態にいつも震える姿になぜかラスカイブの考え込む時やあのぶすっとした怪訝な表情が重なった。

そしてファルコネッティ捜査官はチェッキー・カリョ。中年でごま塩髭が似合う大人の男であること、適度に優しげな表情が見え隠れすること、でも本当は情熱的であること。「テイキング・ライブス」や「ギャンブル・プレイ」の刑事役の彼をイメージした。「ニキータ」の彼もいいかも。もしかしたらもっと他に・・・とも思ったのだが、これ以上はぴんとこないので決定。(何が?)

容疑者のキューピッドことバントリングは財力のある魅力的なハンサムらしい。最初は若いのかなと思ったがいや、若く見えるタイプの男だと思い甘めで狂気が似合う冷たさがあるとなると・・・オレグ・メンシコフなんてどうだろう。彼が法廷で拘束されたままC・Jに向って罵倒しまくるところなんて観てみたい~。

こんな顔ぶれでは設定がマイアミなんて無理だな。カナダのモントリオールとかに設定変更が必要。にしたってこんな地味なキャスティングでは映画化権を買ったワーナー・ブラザーズがOKするはずがないってば。(って、私は一体何者?)
おそらく一線級の女優が主演を張ることだろう。何はともあれいつになるか知らないが映画の完成が楽しみだ。