ロマン・デュリス2008年05月04日 13時03分06秒

ロシアン・ドールズ(2005)
ROMAIN DURIS  1974/5/28 フランス

一見して濃い。決して私の好みのルックスではない。でもデュリスが出ていると、なぜか彼に目が釘付けになる。とても観る者を惹きつける何かを持っている、魅了するものがある人だ。

もともとそういう魅力のある人なんだと思うが、私が惹かれた理由はもうひとつある。セドリック・クラピッシュとの相性の良さが抜群で新作の“Paris”で6本を数えるが、クラピッシュ作品中のデュリスがどれをとってもキャラクターがいいのだ。基本的にクラピッシュ作品は大好きなんだけど、デュリスに注目したのはクラピッシュ作品がきっかけ。じゃなかったら、私の好みの違いからしてもそれほど気に留める俳優にならなかったかもしれない~。

デュリスのデビューはクラピッシュの「青春シンドローム」に始まる。これを観たのはつい最近。高校時代の同級生4人がある病院で再会する。そこにデュリスはいない。高校時代の場面に戻ってとっても可愛らしい彼等とデュリスの姿があった。学校という体制に反撥し、バカ騒ぎを繰り返しながらも、一方では丸め込まれるものあり、高校生ならではの悩みにぶち当たり、悩み、傷つき・・・。よくある話かもしれないけど、素直にどこか染み入ってしまう。デュリスのキャラクターがまた、しんみりさせる役どころ。クラピッシュが彼を気に入って起用する訳がなんとなくわかる気がする。

私が最初にデュリスを気に入ったのは同じクラピッシュ作品の「パリの確率」だった。これがまた変わった作品でSF?コメディ?なんとも形容しがたい変わった作品なんだが、かなり好きなんだよねぇ。デュリスと名優ジャン・ポール・ベルモントの関係が可笑しいったらない。なんつったってデュリスのほうが“パパ”ですもん。

作品が面白かったのでそれで憶えていたデュリスを、好きだなーと思ったのは「スパニッシュ・アパートメント」から。これもクラピッシュ作品だと知って彼とのコンビを改めて追いかけ始めることになった。
「スパニッシュ・アパートメント」は続編の「ロシアン・ドールズ」と合わせて私の永久保存版。バルセロナに集まったヨーロッパ各国の学生たちの青春ドラマだが、中心となるデュリスの魅力大爆発。このデュリスのキャラクターは決して褒められたキャラクターではないんだけど、“20代から30代の男(の子?)ってこんなもんだよ~”と、女の私はそう思う。生々しくはあるけれど、とっても素直。誘惑に駆られることもあり、そして裏切ってしまうこともある。それを後悔して焦り、本当に愛する人のもとに全力で戻ろうとする。それでいいじゃないの、可愛いじゃないの!内心、一時は泣いてしまっても、怒りまくっていたとしても、受け止めて許してやれる女になりたいと私は思うのだ。
そう、許せてしまう可愛さがデュリスにはある。そんな男のリアルさというか素直さというか、ストレートに伝わってきて、ある意味清々しいとさえ思えるのだよね。これって、デュリスだからかもしれない。世の男どもみんなに通用することではないでしょうな(笑)。

この2本で決定的に気に入ってしまったデュリスだが、彼の魅力は作家性のある監督にとっても感じるものがあるらしく、トニー・ガトリフにも気に入られて「ガッジョ・ディーロ」「愛より強い旅」。ジャック・オディアールの「真夜中のピアニスト」に起用される。
クラピッシュ作品に見られる素直な若者像とはまた違ったタイプの役だが、どれも見応えあり、俳優としてのデュリスの幅の広さを認識した。ガトリフ作品のデュリスは野生児そのもの。溢れんばかりの生を撒き散らしながら旅する青年が、眩しいくらいスクリーンいっぱいに飛び跳ねている印象を与える。
「真夜中のピアニスト」はフィルムノアールといったタッチの作品だが、タイプは違えども彼が演じる青年に、やはり人間としての生を常に感じるのだよね。何か発するオーラみたいなものがあるのかなぁ。

毛色は違うが、娯楽性いっぱいの「ドーベルマン」のキレまくったデュリスも捨てがたい。ヴァンサン・カッセルやモニカ・ベルッチといった中で弟分のデュリスがある意味可愛い(?)ぞ。
評判は、ちと微妙だが、「ルパン」ではタイトルロールのアルセーヌで、優雅にコスチュームアクションを披露。
ロマン・コッポラの「CQ」にも出てますが、これは目を凝らして探してみてくだされ。
ハリウッド俳優に混じって「ル・ディヴォース」なんかにも出ていてびっくりしたが、なるほど活躍の場はいくらでも広げられそう。

でも、デュリスの基本はフランス映画でしょう。これからのフランス映画界を背負って立ってもらいたいと思う人は大勢いるはずだ。
でも今は、新作のクラピッシュとの新作“Paris”が楽しみであるー♪

コメント

_ かえる ― 2008年05月07日 17時25分50秒

そう、私もルックス的にはぜーんぜん好みじゃないんだけど、5本の指に入るお気に入り俳優です♪
センスある監督に愛されているところがまたよくて。
フランス映画ってホント、日本じゃ人気なくて、公開作品が少ないのが寂しいところですが、声援よろしゅう!

_ 哀生龍 ― 2008年05月10日 15時53分07秒

ご紹介頂いた「ドーベルマン」を見ました。(まだ感想は書いてませんが)
「スパニッシュ・アパートメント」「ルパン」では興味が湧かなかったデュリスですが、このキャラはいい!!
最高に楽しい!!
いやぁ~ いい物を見せて頂きました。

_ Navi. ― 2008年05月11日 00時43分50秒

「ドーベルマン』観た後で、ぜひ、もっと情けない「キッドナッパー」も観てくれやんす。

「ルパン」は異色かな。大予算映画には向かない役者だと思います。

_ めかぶ ― 2008年05月11日 13時58分43秒

かえるさん、どもっ♪
そうでしょ、そうでしょ。
かえるさんのお気に入りたる所以は至極納得。
このスタンスを維持して邁進してもらいたいと思っているのです。
フランス映画は物により好き嫌いが極端に分かれるので、
私には賭けというか、びっくり箱的なところがありまする。
でも、そこも面白さなのよん♪

_ めかぶ ― 2008年05月11日 14時14分14秒

りんさん、まいどっ♪
やっぱりねー、「ドーベルマン」は絶対好みだと思ったのさっ。

そうそう、これを書く前に未見で心残りだったのが、なびさんがおっしゃる「キッドナッパー」なんだすー。
絶対好きだろうなっちゅうのはわかってるんですが、レンタルでVHSしか見つけられなくて~。

「ルパン」は、・・・実は寝てしまいました(笑)。

_ (未記入) ― 2009年05月24日 22時30分40秒

映画「PARIS(パリ)」に出ていたあの男は何者か、非常に気になって検索などしていまし
たら、
こちらに目が留まりました。
その道すがら、彼が出てくる作品については、これまでにもう一作「愛より強い旅」を観ていることに
あらためて気づきました。
なるほど、こちらの映画も、映画がどうだといったこと以上に、彼という不思議な魅力に
強く印象に残ったことはたしかです。
話の流れで付け加えさせてもらうなら、当方、性別は男です。
たまたま観に行ったのが、それらだったということにすぎず、
彼が出てくる作品だと意識して観に行ったわけではありません。
それどころか、演じているのが誰なのか、観終ったあとも知らなかったのですから(笑)。
で、みなさんの意見で印象深かったのは、
「好みのルックスではない」、「ルックス的にはタイプじゃない」というこですね。
なにを言おうとしているのかわかる気がします。
つまり、規格外の魅力だということですよね。(ちがいますか?)
もちろんこれは誉め言葉のつもりです。
そしてそれが僕の感じた素直な気持ちでもあります。

_ めかぶ ― 2009年05月31日 15時21分17秒

ななしさん、こんにちは♪

ロマン・デュリスには性別を問わず魅せられる何かがあるのだと思います。
役者としての幅の広さは言うまでもなく、そのどれもが不思議にいいんですよねぇ。
“規格外の魅力”言えてると思いますよ♪

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