モーガン・フリーマン ― 2008年05月31日 10時45分55秒

MORGAN FREEMAN 1937/6/1 USA
映画好きなら知らない人はいない。映画好きじゃなくても地上波放送のメジャー作品を見ていれば絶対に目にしたことがあるはず。傍役俳優の御大の登場です。
90年代映画から観始まった私。5本観れば1本には必ず彼がいました。それから15年くらい映画を観てきて、彼の出演作は30本を超えました。もちろん彼の出演作品数はそんなものではないでしょうがね。
その当時をときめく若手人気俳優の主演作品で必ずといっていいほど主役の側にいて、その存在感を示していた傍役俳優の真骨頂みたいな人。彼の場合、代表作を語るより、この人とこんな作品に出ていたよ~と、語る方が彼の良さを分かってもらえそうな気がします。
あ、彼のような人のことを語るのが本来このブログを立ち上げた目的だったような・・・(笑)。
私が最初に彼を記憶したのは、「ロビン・フッド」だと思う。ケヴィン・コスナー演じるロビンの側らにいた彼。従者であり指導者でもある。経験と博識あるキャラクターの味とその存在感。以後、彼の役回りが確立されたも同然。
続いて「セブン」でブラッド・ピット演じる血気盛んな若い刑事の相棒の退職直前の刑事役。猟奇的な犯人に自身までをも掻き乱されていくピットの側で長年の経験と勘で捜査にあたる。彼の存在がピットのキャラクターをより引き立たせていた。
そしてその存在感は「ショーシャンクの空に」を観て確実になった。主演はティム・ロビンスだがこれのフリーマンはストーリーテラーの役割を担っていて両主役といってもいいくらい。ロビンス演じるアンディ・デュフレーンの希望への支えとなり彼を見守る。映画は彼の視点からデュフレーンを観ていることになり、ストーリーにすっかり引き込まれていったのはフリーマン演じるレッドの存在が大きい。
観るのが前後したが、「ドライビング Miss デイジー」を観た時、主演のジェシカ・タンディとのコンビネーションを観て、初めて、この人は只者ではないと思った。ハリウッドメジャー作品で、人気の主演俳優の側に重要な役で配される彼をただの傍役で済ませてはいけないなと。ある意味、傍役俳優の重要さと、それに値する力量を兼ね備えた役者の存在に大きな魅力を感じるきっかけになった人かもしれない。彼の演技のこの安定感と滲み出る味わい深さ。映画って面白い。役者って面白い♪
過去作を見ても彼のキャラクターの重要性は極めて顕著。クリント・イーストウッドの「許されざる者」ではイーストウッド演じるガンマンを目覚めさせる相棒。
「グローリー」では南北戦争での北軍の黒人兵士のリーダーで若い指揮官のマシュー・ブロデリックの心の成長に多大な影響を及ぼす。
「ジョニー・ハンサム」ではミッキー・ローク演じるジョニーを追い続け、その数奇な運命を見届ける。
ロバート・レッドフォードが所長に就いた刑務所の騒動を描く「ブルベイカー」では囚人の一人で、彼はレッドフォードに所内の現実を見せてくれる。
過去作の中で私が一番目に焼きついているのは「パワー・オブ・ワン」。アパルトヘイト政策時代の南アフリカで育った少年のスティーヴン・ドーフにボクシングコーチをしたフリーマン。人種間を超えた心の交流が彼の持つ温かさと重厚さが印象深い。故に彼の最期が悲しくてたまらない。そんな彼の姿を見てきた少年のこれからがこの作品のテーマなんだと思った。
その後はハリウッド作品で怒涛のごとく快進撃が続いていく。トム・ハンクス主演の「虚栄のかがり火」の判事。
「チェーン・リアクション」ではキアヌ・リーヴスのボス。
ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」では重要な決断を迫られる軍人。
「コレクター」では被害者のアシュレー・ジャッドと一緒に猟奇的な誘拐犯と闘うベテラン刑事。その続編「スパイダー」ではフリーマンの刑事が主演になった。
ジャッドとは相性がいいのか「ハイ・クライムズ」でも弁護士役で彼女の助けになる頼もしい存在。
頼もしさも重鎮さが増してくると、ベン・アフレック主演の「トータル・フィアーズ」ではCIA長官。そりゃないだろってなストーリーだったけど、ここでは、まあ善しとしよう。「ディープ・インパクト」ではとうとう初の黒人俳優による米国大統領役となった。地球の滅亡目前の人類に向けた演説は彼ならではの存在感でこの映画の見所のひとつとなった。彼の落ち着いた声も語り口も素晴らしい。
「ブルース・オールマイティ」ではとうとう神様役!って、これはご愛嬌。でも彼くらいの存在感がなきゃ、なかなかできる配役ではないかとも思える。
一貫して温厚な人物かドラマ性の高い作品ばかりかと思いきや、意外にそうとも限らない。
「フラッド」で正義の代表みたいに孤軍奮闘するクリスチャン・スレイターが戦った相手がフリーマン演じた強盗のボス。
「ドリームキャッチャー」の常軌を逸した大佐は意表をついて思わず笑えた(笑)。
過去作にも、荒廃した学校の立て直しを描いた「りんご白書」では体制側の弁護士役。同様のストーリーの「ワイルド・チェンジ」では今度は闘う側の教師だがこのキャラクターがなんとも個性的で・・・普段見慣れたフリーマンとは大違いでびっくりする。
すっかりキャラクターが定着しているフリーマンだが、当り前だけど長い俳優経歴において様々なキャラクターを演じているわけで、それゆえに名優たる存在感が生まれているのよね。
「ベティ・サイズモア」は殺し屋でありながら、現場を目撃した主人公のレニー・ゼルウィガーに惹かれてしまうというコメディ。
ハワイが舞台の「ビッグ・バウンス」ではホテルも経営する、アロハを着たらしからぬ判事。キャストが楽しいクライムコメディでこんな作品の彼も楽しい。
「ラッキーナンバー7」なんてひねりの効いた軽めのサスペンスではアンサンブルキャストのひとりだった。
近作ではこんな軽めの作品も増えてきてキャラクターもバラエティに富んできつつも、クリスチャン・ベールの「バットマン ビギンズ」ではベールに戦闘ツールを用意し彼の陰の力となり、「ダニーザ・ドッグ」ではジェット・リーに人間の心を取り戻させる。彼ならではの配役は見ていて安心の一言。
彼の存在感は配役の上で確たる求められるものがあるのだと思う。フリーマンじゃなきゃ!みたいな。それは共演者とのバランスにも言えること。
本格サスペンス「アンダー・サスピション」は主人公のジーン・ハックマンがレイプ事件の容疑者となるが彼を追い詰める警察署長役がフリーマン。
新作の「最高の人生の見つけ方」は、死期が近いふたりの老人が一緒に旅に出る話だがこの二人を演じたのがジャック・ニコルソンとフリーマン。なるほどなキャスティングだよねえ。
安心できる役柄も、面白い役柄も、バランスよくコンスタントに出演し続ける活躍は現在も続く。ずっと見てきた傍役俳優。いつかこの人の功績も報われるべきだと思っていたら、「ドライビング Miss デイジー」「ショーシャンクの空に」で助演賞にノミネートされていたアカデミー賞を、2005年に「ミリオンダラー・ベイビー」でついに受賞。クリント・イーストウッドによるこの作品。出演シーンは多くはないもののその演技と存在感は確か。今までの功績も合わせての受賞ってことだと思う。でも本当は、傍役として全編に渡って姿を見せている作品のほうがフリーマンらしいと思うんだけどね。
様々な俳優、女優と共演してきて彼自身も楽しいだろうし、多くの共演者たちも彼に敬意を感じてきてるんじゃないかと勝手に思うんだけど。少なくとも彼を嫌いな俳優なんていないと思う。現在の映画界に欠かせない人であることは間違いないし、いなくなったら絶対にさびしい。すっかり老人役以外にあり得なくなってしまったけど、まだまだその姿を見ていたい。
彼ならば、引退などしないで生涯現役でいて欲しいとわがままを言ってもいいでしょ?
映画好きなら知らない人はいない。映画好きじゃなくても地上波放送のメジャー作品を見ていれば絶対に目にしたことがあるはず。傍役俳優の御大の登場です。
90年代映画から観始まった私。5本観れば1本には必ず彼がいました。それから15年くらい映画を観てきて、彼の出演作は30本を超えました。もちろん彼の出演作品数はそんなものではないでしょうがね。
その当時をときめく若手人気俳優の主演作品で必ずといっていいほど主役の側にいて、その存在感を示していた傍役俳優の真骨頂みたいな人。彼の場合、代表作を語るより、この人とこんな作品に出ていたよ~と、語る方が彼の良さを分かってもらえそうな気がします。
あ、彼のような人のことを語るのが本来このブログを立ち上げた目的だったような・・・(笑)。
私が最初に彼を記憶したのは、「ロビン・フッド」だと思う。ケヴィン・コスナー演じるロビンの側らにいた彼。従者であり指導者でもある。経験と博識あるキャラクターの味とその存在感。以後、彼の役回りが確立されたも同然。
続いて「セブン」でブラッド・ピット演じる血気盛んな若い刑事の相棒の退職直前の刑事役。猟奇的な犯人に自身までをも掻き乱されていくピットの側で長年の経験と勘で捜査にあたる。彼の存在がピットのキャラクターをより引き立たせていた。
そしてその存在感は「ショーシャンクの空に」を観て確実になった。主演はティム・ロビンスだがこれのフリーマンはストーリーテラーの役割を担っていて両主役といってもいいくらい。ロビンス演じるアンディ・デュフレーンの希望への支えとなり彼を見守る。映画は彼の視点からデュフレーンを観ていることになり、ストーリーにすっかり引き込まれていったのはフリーマン演じるレッドの存在が大きい。
観るのが前後したが、「ドライビング Miss デイジー」を観た時、主演のジェシカ・タンディとのコンビネーションを観て、初めて、この人は只者ではないと思った。ハリウッドメジャー作品で、人気の主演俳優の側に重要な役で配される彼をただの傍役で済ませてはいけないなと。ある意味、傍役俳優の重要さと、それに値する力量を兼ね備えた役者の存在に大きな魅力を感じるきっかけになった人かもしれない。彼の演技のこの安定感と滲み出る味わい深さ。映画って面白い。役者って面白い♪
過去作を見ても彼のキャラクターの重要性は極めて顕著。クリント・イーストウッドの「許されざる者」ではイーストウッド演じるガンマンを目覚めさせる相棒。
「グローリー」では南北戦争での北軍の黒人兵士のリーダーで若い指揮官のマシュー・ブロデリックの心の成長に多大な影響を及ぼす。
「ジョニー・ハンサム」ではミッキー・ローク演じるジョニーを追い続け、その数奇な運命を見届ける。
ロバート・レッドフォードが所長に就いた刑務所の騒動を描く「ブルベイカー」では囚人の一人で、彼はレッドフォードに所内の現実を見せてくれる。
過去作の中で私が一番目に焼きついているのは「パワー・オブ・ワン」。アパルトヘイト政策時代の南アフリカで育った少年のスティーヴン・ドーフにボクシングコーチをしたフリーマン。人種間を超えた心の交流が彼の持つ温かさと重厚さが印象深い。故に彼の最期が悲しくてたまらない。そんな彼の姿を見てきた少年のこれからがこの作品のテーマなんだと思った。
その後はハリウッド作品で怒涛のごとく快進撃が続いていく。トム・ハンクス主演の「虚栄のかがり火」の判事。
「チェーン・リアクション」ではキアヌ・リーヴスのボス。
ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」では重要な決断を迫られる軍人。
「コレクター」では被害者のアシュレー・ジャッドと一緒に猟奇的な誘拐犯と闘うベテラン刑事。その続編「スパイダー」ではフリーマンの刑事が主演になった。
ジャッドとは相性がいいのか「ハイ・クライムズ」でも弁護士役で彼女の助けになる頼もしい存在。
頼もしさも重鎮さが増してくると、ベン・アフレック主演の「トータル・フィアーズ」ではCIA長官。そりゃないだろってなストーリーだったけど、ここでは、まあ善しとしよう。「ディープ・インパクト」ではとうとう初の黒人俳優による米国大統領役となった。地球の滅亡目前の人類に向けた演説は彼ならではの存在感でこの映画の見所のひとつとなった。彼の落ち着いた声も語り口も素晴らしい。
「ブルース・オールマイティ」ではとうとう神様役!って、これはご愛嬌。でも彼くらいの存在感がなきゃ、なかなかできる配役ではないかとも思える。
一貫して温厚な人物かドラマ性の高い作品ばかりかと思いきや、意外にそうとも限らない。
「フラッド」で正義の代表みたいに孤軍奮闘するクリスチャン・スレイターが戦った相手がフリーマン演じた強盗のボス。
「ドリームキャッチャー」の常軌を逸した大佐は意表をついて思わず笑えた(笑)。
過去作にも、荒廃した学校の立て直しを描いた「りんご白書」では体制側の弁護士役。同様のストーリーの「ワイルド・チェンジ」では今度は闘う側の教師だがこのキャラクターがなんとも個性的で・・・普段見慣れたフリーマンとは大違いでびっくりする。
すっかりキャラクターが定着しているフリーマンだが、当り前だけど長い俳優経歴において様々なキャラクターを演じているわけで、それゆえに名優たる存在感が生まれているのよね。
「ベティ・サイズモア」は殺し屋でありながら、現場を目撃した主人公のレニー・ゼルウィガーに惹かれてしまうというコメディ。
ハワイが舞台の「ビッグ・バウンス」ではホテルも経営する、アロハを着たらしからぬ判事。キャストが楽しいクライムコメディでこんな作品の彼も楽しい。
「ラッキーナンバー7」なんてひねりの効いた軽めのサスペンスではアンサンブルキャストのひとりだった。
近作ではこんな軽めの作品も増えてきてキャラクターもバラエティに富んできつつも、クリスチャン・ベールの「バットマン ビギンズ」ではベールに戦闘ツールを用意し彼の陰の力となり、「ダニーザ・ドッグ」ではジェット・リーに人間の心を取り戻させる。彼ならではの配役は見ていて安心の一言。
彼の存在感は配役の上で確たる求められるものがあるのだと思う。フリーマンじゃなきゃ!みたいな。それは共演者とのバランスにも言えること。
本格サスペンス「アンダー・サスピション」は主人公のジーン・ハックマンがレイプ事件の容疑者となるが彼を追い詰める警察署長役がフリーマン。
新作の「最高の人生の見つけ方」は、死期が近いふたりの老人が一緒に旅に出る話だがこの二人を演じたのがジャック・ニコルソンとフリーマン。なるほどなキャスティングだよねえ。
安心できる役柄も、面白い役柄も、バランスよくコンスタントに出演し続ける活躍は現在も続く。ずっと見てきた傍役俳優。いつかこの人の功績も報われるべきだと思っていたら、「ドライビング Miss デイジー」「ショーシャンクの空に」で助演賞にノミネートされていたアカデミー賞を、2005年に「ミリオンダラー・ベイビー」でついに受賞。クリント・イーストウッドによるこの作品。出演シーンは多くはないもののその演技と存在感は確か。今までの功績も合わせての受賞ってことだと思う。でも本当は、傍役として全編に渡って姿を見せている作品のほうがフリーマンらしいと思うんだけどね。
様々な俳優、女優と共演してきて彼自身も楽しいだろうし、多くの共演者たちも彼に敬意を感じてきてるんじゃないかと勝手に思うんだけど。少なくとも彼を嫌いな俳優なんていないと思う。現在の映画界に欠かせない人であることは間違いないし、いなくなったら絶対にさびしい。すっかり老人役以外にあり得なくなってしまったけど、まだまだその姿を見ていたい。
彼ならば、引退などしないで生涯現役でいて欲しいとわがままを言ってもいいでしょ?
コメント
_ ゆりえ ― 2008年06月01日 04時10分54秒
_ めかぶ ― 2008年06月01日 07時12分25秒
おはようございます。
今日もほんとに早いですね(笑)。
そう、「モル・フランダース」と「目撃者」は、メモに残ってるんだけど、思い出せないんですよー。
「モル・・・」は冒頭に出てきた気がするんだけど、“スケベなおじさん”でしたっけ???
私も好きじゃなくて忘れたかったのかしら(笑)。
「目撃者」はウィリアム・ハートのでしょ?う~ん・・・。
こんど再見してみましょう。
今日もほんとに早いですね(笑)。
そう、「モル・フランダース」と「目撃者」は、メモに残ってるんだけど、思い出せないんですよー。
「モル・・・」は冒頭に出てきた気がするんだけど、“スケベなおじさん”でしたっけ???
私も好きじゃなくて忘れたかったのかしら(笑)。
「目撃者」はウィリアム・ハートのでしょ?う~ん・・・。
こんど再見してみましょう。
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いつも立派な人格者が多いので、「モル・フランダース」のちょっとスケベなおじさんは意外で、こういうフリーマンは見たくないなぁと我侭な観客です。
「目撃者」で刑事役を見たのが一番若い彼かなぁ。
なんといっても「ベティ・サイズモア」の彼が一番ロマンティックで好きですぅ。クリス・ロックが呆れようが。