LOTRのファラミアについて その22005年11月19日 14時56分42秒

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003)
THE LOAD OF THE RINGS : THE RETURN OF THE KING  2003

通常公開時の「王の帰還」で戴冠式のファラミアとエオウィンのツーショットさえなければ疑問は起こるわけはなくこんなにファラミアが気になることもなかった。つまりあのシーンが事の発端。webを覗くことから始まって、「二つの塔」「王の帰還」のSEE版。そして大変そうでおいといた原作まで読みだした。
"SEE版と通常公開版でこんなに違うキャラも珍しい"ってなわけでますます深くはまり込んでいくのだった。とにかくファラミアのキャラクターが気になる気になる。かなり複雑とみえるキャラクターにかなり興味が湧いた。

通常公開版の「二つの塔」だけ観ている分には疑問はさほどに感じられないが、知ってしまうとファラミアの性格に大きな違いがあることがわかる。SEE版を観ると一応なぜこんなキャラクターなのかという説明がされているのでファラミアの深みが増す。よってより魅力的な人物になる。というか、その性格的に素晴らしい台詞のあるシーン、心情が表れているシーンがことごとくカットされているのにはかなりびっくりする。
結果的にこれを観たがために私はファラミアらぶ状態なのだ。なんて愛しいキャラクターなんだろ。
私はLOTRの中で「二つの塔」のSEE版が一番好きだ。

ファラミアはフロドの指輪をゴンドールに持ち帰ろうとする憎まれ役のように見えるが、SEE版と原作の台詞の端々から伝わるのは極めて愛国心と正義感に満ちているうえに友愛の精神に溢れた人物なのだ。

初めて登場した場面では始終無愛想でフロドとサムをすぐさま拘束するが、SEE版では殺した敵の少年を見下ろして殺したことに対する理不尽さを語っている。
二人を連れて行った岩屋の場面でも原作ではファラミアは指輪を見ようともしないし「落ちていても拾わない」と断言。フロドとサムの会話の中にも人格者たる性格が伺える。
最後にフロドに「やっとわかりあえた」と言ってサムとともに解放した時はえらく唐突に見えたが、もとがこういう性格だとわかればもっと納得できたはず。
この時、SEE版にはファラミアはサムに「あなたは高潔なお人柄だ」と言われて笑ってみせるシーンがある。これがカットなのが非常に残念!「二つの塔」で私が一番好きなシーンだ。
さらに、ファラミアは二人に逃げ道に案内してやるのだが、これから二人に迫る危険を察知してゴラムに「二人の身に何かあったら命はないと思え」と脅す、めちゃめちゃ頼もしいシーンもある。

「王の帰還」のSEE版にはデネソールに忠誠の誓いをする直前のピピンと会話を交わすシーンがある。ピピンの制服はファラミアの子供の頃のものだというエピソードでふたりの友情を感じさせるとてもいいシーンでこれもかなり好きだ。
原作でさらりと1行書いてあるだけなのだが、ピピンがホビット庄に帰って後に生まれた彼の子供の名前が“ファラミア”。彼らの間に友情が育まれていたことが伺える。
これは映画に期待するのは贅沢すぎるだろう。この場面はSEE版ならではの特典。こんないきさつがあるからピピンはファラミアを必死に救おうとするのだし、その後の友情につながっていくんだよね。

通常公開版でのファラミアの扱いは「二つの塔」では登場してさらりと消えていくアクセント的存在で、「王の帰還」でデネソールとのエピソードで深く印象に残るキャラクターとして存在させている。
しかしながら「二つの塔」のSEE版を観れば「王の帰還」のファラミアがより深く理解できるよ!という複雑な事態になっているようで・・・。

初出:2005/5/22(日) 午前 1:45

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