LOTRのファラミアについて2005年11月19日 14時50分22秒

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2002)
THE LOAD OF THE RINGS : THE TWO TOWERS  2002

俳優に目が向く前にまずはまってしまった「ロード・オブ・ザ・リング」のファラミアというキャラクター。私の熱病はすべてここから始まった。

初見は「二つの塔」の公開で2002年なのでもう2年以上も前になる。が、なぜ今になって彼に惹かれたのか?
実は自分でもいまいちよくわからなかった。2003年の「王の帰還」では「二つの塔」より印象が強くなったのは確かなのだが、なにせフロドとサムを見ては泣き通しだったので作品全体からすれば彼らの陰に隠れてしまっていた。
しかし、やっぱり引っかかっていたのだろう。「王の帰還」での父デネソールとの確執で見せたあの哀しげな顔!"なんだ、この人は!!"あの目が忘れられない。ずっと気になっていたのはそれだと思う。
そして、ラストで見せたエオウィンとの仲睦ましさは何?という疑問。こういうのがあるともう放っておけない。webを覗いたが最後。原作ではその後エオウィンと結婚するっていうんだから目が点である。実は撮影もしているという噂に翻弄されてwebで情報を追いだした。(結局観られる事はなかったけどね・・・)

速攻で「二つの塔」と「王の帰還」のSEE版DVDを購入。挙句の果てに劇場公開されたのも観に行った。(4時間もよく劇場の椅子に耐えられたもんだ)
最初は素直に映画を観ている限りはアラゴルンが最高だと思っていたのだが、あまりアルウェンとのロマンスに引かれなかったのもあり、最後のファラミアとエオウィンのツーショットがどうにも気になった。こっちの方が似合ってるし絵になるように思えた。

で、原作による二人のエピソードは「指輪物語」本編の中で唯一のラブストーリーらしい描写で綴られておりひとつの見所でもある。それが通常公開版であのツーショットだけだったというのはかなり乱暴な気がした。「王の帰還」のSEE版で二人の出会いと惹かれ合うシーンが説明程度に追加されていた。それでもかなり短いのだが、まぁ辻褄が合ったということで良しとしますかね。思うに、この二人のエピソードは世界が今にも暗闇になってしまうかという時にあって唯一の希望の光を感じさせる意味があるのだが、原作でも超急展開過ぎるきらいがある。大団円に向けて大忙しのラストに傍役キャラのラブストーリーをハイスピードで盛り込むのは難しいだろう。劇場公開の時間短縮のために真っ先にカットできる部分なのは大いに納得できる。だったら最後に入れたツーショットだってなくても良かったと思うんだがどうだろう?

「王の帰還」においてファラミアはデネソールとの関係に焦点を絞ってあり、演じるデヴィッド・ウェナムの演技も素晴らしく不満はない。SEE版のエオウィンとのエピソードの追加はおまけだと思えばいいだろう。

ファラミアについては彼のキャラクターそのものがとても興味深いのだが、エオウィンとのロマンスだけでなくなんとも通常公開版でのカットが激しく彼の魅力がかなり損なわれている。SEE版と原作でその魅力を知ってますますはまったわけだが・・・もっと長くなるので次回につづく。

初出:2005/5/21(土) 午前 2:43

LOTRのファラミアについて その22005年11月19日 14時56分42秒

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003)
THE LOAD OF THE RINGS : THE RETURN OF THE KING  2003

通常公開時の「王の帰還」で戴冠式のファラミアとエオウィンのツーショットさえなければ疑問は起こるわけはなくこんなにファラミアが気になることもなかった。つまりあのシーンが事の発端。webを覗くことから始まって、「二つの塔」「王の帰還」のSEE版。そして大変そうでおいといた原作まで読みだした。
"SEE版と通常公開版でこんなに違うキャラも珍しい"ってなわけでますます深くはまり込んでいくのだった。とにかくファラミアのキャラクターが気になる気になる。かなり複雑とみえるキャラクターにかなり興味が湧いた。

通常公開版の「二つの塔」だけ観ている分には疑問はさほどに感じられないが、知ってしまうとファラミアの性格に大きな違いがあることがわかる。SEE版を観ると一応なぜこんなキャラクターなのかという説明がされているのでファラミアの深みが増す。よってより魅力的な人物になる。というか、その性格的に素晴らしい台詞のあるシーン、心情が表れているシーンがことごとくカットされているのにはかなりびっくりする。
結果的にこれを観たがために私はファラミアらぶ状態なのだ。なんて愛しいキャラクターなんだろ。
私はLOTRの中で「二つの塔」のSEE版が一番好きだ。

ファラミアはフロドの指輪をゴンドールに持ち帰ろうとする憎まれ役のように見えるが、SEE版と原作の台詞の端々から伝わるのは極めて愛国心と正義感に満ちているうえに友愛の精神に溢れた人物なのだ。

初めて登場した場面では始終無愛想でフロドとサムをすぐさま拘束するが、SEE版では殺した敵の少年を見下ろして殺したことに対する理不尽さを語っている。
二人を連れて行った岩屋の場面でも原作ではファラミアは指輪を見ようともしないし「落ちていても拾わない」と断言。フロドとサムの会話の中にも人格者たる性格が伺える。
最後にフロドに「やっとわかりあえた」と言ってサムとともに解放した時はえらく唐突に見えたが、もとがこういう性格だとわかればもっと納得できたはず。
この時、SEE版にはファラミアはサムに「あなたは高潔なお人柄だ」と言われて笑ってみせるシーンがある。これがカットなのが非常に残念!「二つの塔」で私が一番好きなシーンだ。
さらに、ファラミアは二人に逃げ道に案内してやるのだが、これから二人に迫る危険を察知してゴラムに「二人の身に何かあったら命はないと思え」と脅す、めちゃめちゃ頼もしいシーンもある。

「王の帰還」のSEE版にはデネソールに忠誠の誓いをする直前のピピンと会話を交わすシーンがある。ピピンの制服はファラミアの子供の頃のものだというエピソードでふたりの友情を感じさせるとてもいいシーンでこれもかなり好きだ。
原作でさらりと1行書いてあるだけなのだが、ピピンがホビット庄に帰って後に生まれた彼の子供の名前が“ファラミア”。彼らの間に友情が育まれていたことが伺える。
これは映画に期待するのは贅沢すぎるだろう。この場面はSEE版ならではの特典。こんないきさつがあるからピピンはファラミアを必死に救おうとするのだし、その後の友情につながっていくんだよね。

通常公開版でのファラミアの扱いは「二つの塔」では登場してさらりと消えていくアクセント的存在で、「王の帰還」でデネソールとのエピソードで深く印象に残るキャラクターとして存在させている。
しかしながら「二つの塔」のSEE版を観れば「王の帰還」のファラミアがより深く理解できるよ!という複雑な事態になっているようで・・・。

初出:2005/5/22(日) 午前 1:45

LOTRのファラミアについて その32005年11月19日 15時02分13秒

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003)
THE LOAD OF THE RINGS : THE RETURN OF THE KING  2003

SEE版を何度か観て、原作も読み進めてますますはまっていくにつれて満足していたはずの「王の帰還」にやっぱり不満が・・・。

エオウィンとのエピソードのことは納得できるのだが、やっぱり戴冠式のあのツーショットは納得できかねる。二人の関係に対する疑問が残る以上に、ファラミアはあんなところにいるべきじゃないのだ。あの戴冠式で彼がいるべき場所に立っていたのは・・・なぜギムリなのだ?
ファラミアは仮にもゴンドールの最後の執政。王が帰ってきて戴冠するっていうのに何の関わりもしないってことはないだろう。政権を返還する立場にあるのはファラミアのはず。戴冠の際式を執り行う側にいるべきだろ?婚約者と並んで拍手している場合か!
全部カットされて表面には表れていないが、あれほどゴンドールを愛し、王の帰還を心待ちにしていたはずなのに・・・。エピソードばかりかキャラクターの立場まで失くしているなんて不憫な扱われ方。(泣)

そもそも「王の帰還」でアラゴルンとファラミアが関わること自体が一度もないのだ。それが信じられん。
「ロード・オブ・ザ・リング」(旅の仲間)のSEE版を観て、アラゴルンとボロミアの友情が深みを増していたのを感じたのだが、それでなおさら弟のファラミアとの間に感じるものも何かしらあるだろうにと思ってしまうのだ。
まず寮病院でのファラミアを癒す場面をカットしたのが根源だと思う。SEE版にも収録されなかった。エオウィンを癒してファラミアとの出会いにつなげたので一連の流れに組み込めなかったのと、癒しの場面がかぶると判断されたのだと思うのだが。アラゴルンが瀕死の状態で戻ってきたファラミアを癒すことでゴンドールの民に「王の帰還」が伝え知れ渡ることにもなる大切な意味がある。ファラミアの立場的にも感情の面でもそういう部分は切り捨てて欲しくなかった。

余談だが、実際の統政は勿論王の実権になるわけだが、ファラミアはアラゴルンが王になった後も、彼に請われて執政の名を継続する。またゴンドールの一部をファラミア卿の領地とし領主としての任を与えられてエオウィンと任地の都で暮らすことになる。
原作ではアラゴルンがファラミアに心配りや信頼をかけていることがわかる。ピピンとの友情とゴンドールでのその後の彼の生き方は想像するに余りある。

まあいかんせん上映時間内に収められない傍役キャラの運命。ちょっと乱暴だが映画「LOTR」はフロドとサムとアラゴルンの物語なのだから。

でも、ファラミアにはまったのはこれらのことを本編で観ることができなかったからなのだ。ファラミアは公開されなかった内容でにここまで引っ張れる面白いキャラクターだった。
今でも時々SEE版を引っ張り出してきては観ている私。文句を言いながらもやっぱり好きなんだよな。
現在はたくさんいる出演者のその後の作品が公開されるたびに喜んでいる始末。
なぜか今年はLOTR一色の年になってしまっている気がする。この熱病はまだまだ治りそうにない。


ロード・オブ・ザ・リング  THE LOAD OF THE RINGS : THE FELLOWSHIP OF THE RING  2001
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 : THE TWO TOWERS  2002
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 : THE RETURN OF THE KING  2003
米 監督:ピーター・ジャクソン

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初出:2005/5/23(月) 午前 1:11