ロシアン・ドールズ2006年06月03日 00時07分51秒

ロシアン・ドールズ(2005)
ロシアン・ドールズ LES POUPÉES RUSSES
2005 仏・英 監督:セドリック・クラピッシュ
ロマン・デュリス ケリー・ライリー セシル・ド・フランス オドレイ・トトゥ ケヴィン・ビショップ ルーシー・ゴードン アイッサ・メガ

バルセロナの留学生活から5年。30歳になったグザヴィエ。物書きとしてとりあえず 食っていける社会人になった。とはいえ、仕事は食うためにはしたいことだけをするわけにもいない。恋人は決まった相手もなくあっちふらふらこっちふらふら・・・。何かと電話をかけてくるこれまたふらふらした母に、早く婚約者を連れてこいと迫る祖父。人生半ばにして愛と現実の狭間で翻弄される彼の本物の大人へ道はどこへ?

今回は5作目となるクラピッシュ監督とデュリスのコンビ。私はやっぱりこのコンビが大好きだっ!
本作は前作「スパニッシュ・アパートメント」の続編だがこの前作で私はクラピッシュの名前を知ったが、知らずに「パリの確率」を観ていた。これがものすごく不思議な作品なんだけど私は非常に面白く観ていた。
本来私は凝った編集、画面処理が好きではない方なのだが、凝りに凝った今回の「ロシアン・ドールズ」の編集は、主人公グザヴィエの心情の表現手段として最適だったと思えた。適度にコメディで大真面目な青春映画という私の大好きな感覚のツボを押さえた作りで嬉しくも非常に楽しませてもらった。
デュリス=グザヴィエと思えるほどこのキャラクターとキャスティングは完璧。適度に魅力のあるグザヴィエの女関係は華やかだ。数々の女との関係の中には狂おしい恋もあればとおりすがりの関係もある。運命的な関係を目の前にしながら理想の女の後姿を追いかける・・・。
"ばっかじゃないのっ!?"と思いつつ、現実の男と女が経験する感情ってこんなものだよね。目の前ににんじんぶら下げられて誘惑に負けない人間がどれだけいるっていうのさ!
30歳のグザヴィエはそれなりに魅力的で感情に素直で欠点もあって・・・なんて愛しい男なんだろう。

ロシアン・ドールズ・・・マトリョーシカのことだ。人形の中にまた人形・・・いくつも繰り返されるその果てにある小さな核を求めて、男も女も恋を繰り返すのだ。
運命の人が一人だなんてこれが一発でわかれば苦労はしない!これが判らないからみんな悩んで泣いて苦しんでいるのだ!
でもこの悩みや苦しみは決して徒労ではない。きっと自分の身となり、きっと自分を少し成長させてくれるはず。
今日も小さな核を探して"ロシアン・ドールズ"を繰り返す人たちがこの世界には大勢いるのだ。頑張れ~♪

「報復」 ジリアン・ホフマン2006年06月04日 11時49分54秒

「報復」ジリアン・ホフマン
「報復」ジリアン・ホフマン
RETRIBUTION by Jilliane Hoffman
(ヴィレッジブックス)

その凄惨たる被害者の遺体から続発するレイプ殺人事件のキューピッドと名づけられた犯人にフロリダは怯えていた。
担当検事のC・Jは突然逮捕された容疑者の声を聞いて愕然とする。それは12年前に自分を執拗にレイプした犯人の声だった。

ここ最近流行の女性作家の作品の代表的なものではないかと思う。パトリシア・コーンウェル以来あまり女性作家には手が伸びていなかった。女性が書くサスペンスと言うとどこかロマンスとか甘ったるさがあるような気がして好みではない方なのが、それはおいといて。
読書スピードが遅い私でもさくさく面白く読めてしまった。主人公のC・Jの過去と現在。彼女の内面と行動。同じ女性が書くだけあってきめ細やかな描写は共感を誘うかもしれないが、私にはちょっと感傷的過ぎる気もした。事情が事情なのでそんな経験がない者が言うことではないかもしれないが、この主人公があまりにもよく泣くので・・・。

ただの殺人事件じゃなく検察官もからむ法廷サスペンス的な味もあり、起訴する検察官本人が被害者的立場にあるというストーリーはよく練られていて、また証拠や容疑者逮捕の過程の問題など一捻りある展開にぐいぐいと引き込まれる。
キャラクターは正直この主人公は私には思ったほど魅力的には見えないのだがおそらく多くの読者は彼女の見方につくだろう。(笑)
私が非常に惹かれたのは彼女に恋するドミニク・ファルコネッティ捜査官。恋するっつーか・・・彼女もまんざらではないのだが過去の件と今、目の前にいる容疑者の存在が頑なに一線以上彼を踏み込ませない。そんな彼女を包み込むように愛する彼は大人だ。「理解はできないが受け容れる」そう言ってくれる男だ。

画的にも想像できて題材が派手なだけに映画されたら面白いかもと思ったら映画化決定だそうだ。詳細は知らないが出版前から話題になっていたらしいので満を持してというところだろうか。
さて、私の妄想も炸裂状態で読み進んでいったのであったが、主人公のC・Jはブロンド美人であることが大前提のようなのだがなぜか私の頭から離れないのが「24」のクロエ、「ファイヤーウォール」でフォードの秘書を演じたメアリー・リン・ラスカイブ。(笑)
事件以後ブロンドを地味目にして服装も身体を隠す野暮ったいスーツ。仕事では凄腕だが、キューピッドを目の前にしてうろたえ極度の緊張状態にいつも震える姿になぜかラスカイブの考え込む時やあのぶすっとした怪訝な表情が重なった。

そしてファルコネッティ捜査官はチェッキー・カリョ。中年でごま塩髭が似合う大人の男であること、適度に優しげな表情が見え隠れすること、でも本当は情熱的であること。「テイキング・ライブス」や「ギャンブル・プレイ」の刑事役の彼をイメージした。「ニキータ」の彼もいいかも。もしかしたらもっと他に・・・とも思ったのだが、これ以上はぴんとこないので決定。(何が?)

容疑者のキューピッドことバントリングは財力のある魅力的なハンサムらしい。最初は若いのかなと思ったがいや、若く見えるタイプの男だと思い甘めで狂気が似合う冷たさがあるとなると・・・オレグ・メンシコフなんてどうだろう。彼が法廷で拘束されたままC・Jに向って罵倒しまくるところなんて観てみたい~。

こんな顔ぶれでは設定がマイアミなんて無理だな。カナダのモントリオールとかに設定変更が必要。にしたってこんな地味なキャスティングでは映画化権を買ったワーナー・ブラザーズがOKするはずがないってば。(って、私は一体何者?)
おそらく一線級の女優が主演を張ることだろう。何はともあれいつになるか知らないが映画の完成が楽しみだ。

My favorite actor 新作情報(June.2006)2006年06月06日 00時06分43秒

サイレントヒル(2006)
SEAN BEAN in SILENT HILL(2006)

ショーン・ビーン http://mekabu.asablo.jp/blog/2005/08/14/45957
新作情報が次から次とファンにはありがたい豆様。
とりあえず今月中にも観られそうなのが「サイレントヒル」。映画としてはホラーのようだが元ネタはゲームだそうだ。と聞くとゾンビ退治のようなアクションを想像するのだけどそうではないらしい?ミステリーっぽいとか?豆様は主演のラダ・ミッチェルの旦那。どうしても嫌な予感が拭えないのだが・・・ま、待ってみようか。
やっと今年リリースの「シャープ」も新作が始まるそうで、何やら米国でTVシリーズの噂もあり・・・。働き者なのはいいことだが観る方が追いつかなくなりそう。

ジュリア・スタイルズ http://mekabu.asablo.jp/blog/2006/02/26/269828
彼女の新作はなんと「オーメン」。しかもダミアンのママ!と思ったら養子らしい。つーことは・・・。こちらも激しくやな予感。今、ホラー作品に出る意味あるのか?

ダニエル・クレイグ http://mekabu.asablo.jp/blog/2005/08/25/54867
12月の「007/カジノ・ロワイヤル」の前に「レイヤー・ケーキ」が観られそうだ。とってもクライムサスペンスの匂いぷんぷんのこの新作。気がつけば、「Jの悲劇」に「ミュンヘン」にと働き者のクレイグ。先日は「ジャケット」なんぞにもよくわからない役で出ていたのでそこまでしなくてもいいよと思ったのだけど・・・。
とりあえずこれは期待してもいいんじゃないだろうか。ボンドの前にひと暴れするクレイグを観ておこう。わくわく。

スティーヴン・ディレーン&ジェイソン・アイザックス
http://mekabu.asablo.jp/blog/2006/05/29/385438
http://mekabu.asablo.jp/blog/2006/06/06/395356
偶然UPしたばかりの二人の顔を「美しい人」の予告編で見かけて、これは私に"絶対観ろ!"と言ってると思った。
「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督が再びオムニバスで女を語るらしい。
ストーリーは9つ。出演女優は主なところでホリー・ハンター、ロビン・ライト・ペン、グレン・クローズ、キャシー・ベイカー、シシー・スペイセク。おまけでダコタ・ファニング。
そこにからむ男たちが先のスティーヴン・ディレーン&ジェイソン・アイザックスにアイダン・クイン、ウィリアム・フィックナーときた。絶対行きます、はい。

ジェイソン・アイザックス2006年06月06日 21時36分32秒

ラブ・アクシデント(2004)
JASON ISAACS  1963/7/6 UK

悪役に魅力があると作品が面白い。憎らしければ憎らしいほど主人公を応援したくなるのが普通だが、人によっては悪役の方に惹かれてしまうことがある。私もそうなることが多い。
アイザックスはそれはそれは憎々しく悪役を演じるのにとても長けた人で、今それが一番際立っているのは「ハリー・ポッター」シリーズのルシアス・マルフォイ。ドラゴのパパだろう。とりわけハリーとハーマイオニーが好きな人には相当嫌われてるんじゃないだろうか。

記憶に残る悪役・敵役には他に「パトリオット」、「ソルジャー」、「ピーター・パン」(フック船長)などがあるがどれも見事だ。非常に英国人らしい細身でさらっとしたタイプのルックスはクールを通りこして、そのまなざしは凍るような冷たさが漂う。冷酷非道な物言いといい彼もハリウッドの悪役御用達英国人俳優と言えた。

が、最近にきてちょっと変化が。悪役でない顔に気づかれてきたのは彼への注目が高まってきたということだろうか?
「スウィート・ノベンバー」でゲイ役の彼を見た時は余りに思いがけなくて驚いたがいやはや全然違和感がない。線が細いので動きがしなやかなのだ。
英国人のスマートさは「ピーター・パン」で2役のウェンディのパパや「タキシード」のスパイなどで観られ、クラシカルなスーツ、タキシードがよく似合っている。
「アルマゲドン」にNASAの科学者ではインテリ風だったり、「ブラックホーク・ダウン」では逞しいところを見せていて印象的だった。
英国時代の作品をあまり観ていないのだが「ディボーシング・ジャック」での彼が良い。ここでも悪役なのだがこれはクライムムービーでいて辛口のコメディでもある。クールな顔を見せながらブラックな笑いがあり非常に面白かった。彼のラストには唖然とする。

さて、ここまでだったら取り上げるまでに至らなかったのだが、とうとう彼にもロマンチックロールがあるのを発見。「ラブ・アクシデント」なるふざけた邦題の作品だが、原題は"PASSIONADA"。ポルトガル系の女性に恋してしまい、あの手この手で迫る詐欺師の英国人のアイザックス。まったくかわいいのなんのって。ラブシーンも初めて見たがなかなか情熱的であった!

やっぱり芸達者な曲者アクターだったか。今後もハリウッド作品で様々な顔を見せてくれるだろう。ちょっと遡って英国時代の旧作も探して観てみようかな。

「報復ふたたび」 ジリアン・ホフマン2006年06月20日 23時29分51秒

「報復ふたたび」 ジリアン・ホフマン
「報復ふたたび」 ジリアン・ホフマン
LAST WITNESS by Jilliane Hoffman
(ヴィレッジブックス)

キューピッド事件から3年。事件のある一面を知る関係者が次々と殺されていく。檻の中のバントリングの動きも怪しく、C・Jは再び恐怖に襲われる。

なんだよなんだよ、これがなかったらまるで「報復」が未完の作品だったみたいじゃないの。正直、今回の終わり方もちょっと引っかかる。あまりこういう作りは好きじゃないんだけど、内容はなかなか面白い。大概1作目を超えられない続編だが、前作の続編と言うよりもまるで解決編みたいなのでちょっと作りとしてはずるい気もするけど・・・。

面白いけど難点なのは1章、1章の長さが短いのでどこかドラマや映画の脚本を意識してるような軽さを感じてしまうところ。
だから読みやすいといえばそうなんだけど小説らしくない。
文章力がいまいちなんじゃないかと言うと偉そうだけど、なんか安っぽく感じるのはなぜだろう?

それでも私的にポイントが高いのはキャラクターが魅力的だから。(笑)
過去の一件のせいでかなり性格が重く暗めのC・Jが今回はさらに暗い。ここまでくるとちょっとうざいかも。逆にファルコネッティ捜査官のいい男ぶりが増していてほんとに惚れ惚れすることこのうえない。今回は頼もしいだけじゃない。落ち込んですさんだ姿もありますがこれまた哀愁を誘ってかっこいいんだな。
やっぱりカリョだよカリョ!勝手に想像して読んでるだけなのにカリョを見たくなってきてしまった・・・。