テレンス・ハワード2007年04月25日 18時23分33秒

ハッスル&フロウ(2005)
TERRENCE HOWARD  1969/3/11  USA

2006年のアカデミー賞で主演男優賞でノミネートされていたハワード。受賞したのはそっちじゃなくて「クラッシュ」の作品賞だった。式場でのハワードは自信に満ちたオーラが漂っていて、何だかとてもとってもセクシーだった。

彼をはじめて見たのはコリン・ファレルの「ジャスティス」。捕虜として収容されている米軍の兵士たちの間で、人種間の確執によって起こった殺人事件の容疑者になったハワード。誇りを崩さない姿勢を貫くハワードはとても神々しかった。
ファレルとブルース・ウィリスのサスペンスアクションでありながらドラマも織り込んで、ちょっと詰め込み過ぎの感のある作品だが、ハワードの部分はそれに埋もれることなく十分に存在感があった。

最初が印象深かったので、その後に続々と出てきた「ビッグ・ママス・ハウス」「エンジェル・アイズ」「グリッター」「セックス調査団」「バイカーボーイズ」などでもすぐにわかった。傍役としてオファー続々の売れっ子の人気俳優のようだ。
役柄も善人から悪人。金持ちから貧しいチンピラと多彩。コメディからシリアス、インディペンデント系からメジャー作品まで幅広く活躍しているのも頷ける。

「ジャスティス」であんなに神々しかったのに「Ray/レイ」ではいい加減なマネージャー。ハル・ベリー主演の「彼らの目は神を見ていた」でも人間の嫌らしさを漂わせた男だった。
嫌な奴でも目に力があるハワードは迫力があって、ほんとにいたら絶対に近寄りたくないと思った。

2005年は彼にとって素晴らしい年になっただろう。アンサンブルキャストの「クラッシュ」にキャスティングされたハワードの役は、裕福な成功者にもかかわらず黒人であったために警察から不当な扱いを受ける。その時の対応が元で夫婦の間に溝が出来てしまう。微妙な感情の動きを抑えた演技で見せる彼のエピソード部分は、妻役のタンディ・ニュートンとともに見応えのある部分だ。

そしてついに主演の「ハッスル&フロウ」。劇場公開がレイトのみだったので私は泣く泣く諦めたのだけど、チラシやポスターを見た時から、かっこい~!と思っていた。
ポン引きのハワードは馴染みの店にこの町から出た人気ラッパーがやってくると聞いて、止めていたラップを再びやろうと決心。彼に渡すべくデモテープ作りを始めるのだが、自宅をスタジオにして録音していく過程がとてもいい!ヒップ・ホップの世界ってあんまり興味がないんだけど、この時の言葉を紡ぎ出すハワードがとにかくセクシーで見入ってしまった。
物事は簡単にはいかずに落胆するが、その時の彼の表情にも目が釘付けになった。後味がいいと思ったこの作品、一見の価値ありだ。

今、黒人俳優の中で最もセクシー。色気のある俳優だと思っている。演技的にもタイプ的にもデンゼル・ワシントンの後継はハワードじゃないかなと。まだワシントンほどの大きさは感じられないが、この存在感はただものじゃないと思う。