父、帰る2006年02月26日 21時45分00秒

父、帰る(2003)
父、帰る VOZVRASHCHENIYE
2003 ロシア 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
コンスタンチン・ラヴロネンコ イワン・ドヴロヌラヴォフ ウラジミール・ガーリン

十何年ぶりに家に帰ってきた父は二人の息子と旅行に出かける。ただでさえ父親と言う認識も乏しい相手なのに彼の言動は横暴だ。何か別の目的があるのか旅先で子供を置いてきぼりにしようとするも、気が咎めたのか彼は二人を連れて無人島に渡る。旅するうちに少しずつだが受け容れていく兄とあくまでも反抗的な弟。

父が今までどこに行っていたのか、父の旅行に真の目的は一体何なのか、いくつかの説明がされないまま物語は進み、驚愕の事件が起こる。
この展開には愕然とするが、不明なてんなどどうでもよくなるような、この親子三人の心のドラマだった。それぞれの心に生じる葛藤や変化が、少ないセリフながらも重厚で見るものを困惑させる強力な力のある作品。

観た人によって感想はかなり違うものになるだろうと思われる。父をどんな人間と捉えればいいのか悩むところだがやっぱり子を持つ父親には違いない。兄弟それぞれに違った父に対する感情もどちらも共感できる気がしたが、最後の展開によってそれがまた違う印象に取って代わるのでますます困惑した。何と感想を残せばいいのかわからなくなるほど衝撃的で気持ちが重くなる。しばらく消えない重さだ。本当にいろんな感情が溢れてきて観終った瞬間は頭が爆発しそうだった。

兄役の子は撮影終了後しばらくして水の事故で亡くなったのだそうだ。どういう運命なのだ?この作品はあらゆる面で衝撃的過ぎる。“なぜ?”“どうして?”と言いたくなるような不条理な運命を見せつけられてかなり胸に堪える。

初出:2005/10/9(日) 午後 11:40

ジュリア・スタイルズ2006年02月26日 21時57分51秒

セイブ・ザ・ラストダンス(2001)
JULIA STILES  1981/3/28 USA

私にとってどの作品においても彼女は嫌な気がしない女の子だ。出演作は真面目なドラマもあればアクション大作からどうってことない青春ラブストーリーまで幅が広い。主演はまだそのどうってことない辺りの作品に過ぎないのだが、それでも彼女の存在感は光るものがあって私は目が離せなかった。

最初に観たのはヒース・レッジャーが注目を浴びた「恋のからさわぎ」。そのどうってことない青春ラブストーリーでレッジャーの相手役。可愛い妹とは正反対の気難しくて男受けしないお堅い女の子というキャラクター。彼女はこれが得意のようでこの手の役は新作の「プリティ・ガール」もそうだった。「モナリザ・スマイル」もややその傾向だろうか。タイプキャストといえばそうかもしれないが、こういう役のときの彼女はとても輝いている。これが私の彼女が嫌な感じがしない最大の理由。彼女の最大の持ち味だと思うので持ち続けて欲しいと思う。

イーサン・ホークの「ハムレット」ではなんとオフィーリア。なんともへちゃむくれなオフィーリア(失礼!)。彼女は「O」にも出演していてシェークスピアに思い入れでもあるのかかなりの熱演を見せている。
「モナリザ・スマイル」では興味深いキャラクターを演じ、青春ラブコメばっかりじゃない意気込みも感じさせる。

「セイブ・ザ・ラストダンス」では踊って見せた。このキャラクターはかなり彼女向きのタイプだったがヒップホップで踊ってみせるとは思っていなかったので今までにない魅力を発見。「オトコのキモチ」でもチラッと見せたが意外にセクシーな部分もあるのかも?

というわけで、あえて最初から書かなかったのだが、つまり彼女は決して美人じゃない。かわいいってタイプでもない。しかーし!演じるキャラクターによってものすごく可愛いしセクシーにもなり得る不思議な子だと思うのだ。
一番最近に観た「プリティ・ガール」。原題は“PRINCE & ME”。直訳すると“王子様と私”(笑)。身分を隠して留学してきたデンマークの王子様と恋におちる堅物のアメリカン・ガールという笑っちゃう話なのだが、これがジュリア・スタイルズだから悪くないと思ったのは私だけだろうか?確かに詰めは甘いしどうってことない作品なんだがほんとに悪くないんだって!彼女の本領発揮の1本だと思う。

「ボーン・アイデンティティー」のようにひたすら地味な脇役もある。ものすごく地味な役だがなぜか印象に残るあの存在感はなんなのだろうと思う。今でもそこそこの演技力ももっと磨けるはずだし、これからの底知れない可能性が見えると思えてならない。
得意なキャラクターはあっても良いと思う。その部分も活かしつつ、この不思議な存在感をもっと活かせる様々な役に挑戦していって欲しい。なんとまあ、まだ 24歳?女優としてはまだまだこれからだもの。この不思議な魅力が、かわいいキレイなだけの女優じゃない分(まだ言うか)生き残ってくれる確率は高いはず!

初出:2005/10/26(水) 午後 9:31


既出コメント:

はっきり言っておブスの部類かも(ごめんね)でも好きなんですよねー、「セイブ・ザ・ラストダンス」はかなりのお気に入りです。同年代の女優さんと比べても、この人みたいな独特の雰囲気とか存在感とか珍しいと思います。媚びない良さがあると思ったりします。こないだ「プリティ・ガール」という変な邦題の主演作を観ましたが、ありがちなストーリーにもかかわらず、彼女は光っていました。30代、40代の脂ののった彼女を観てみたいですね。
2005/10/27(木) 午後 0:27 [ macalius_club ]

スタイルズにコメントがつくとは思ってもみませんでした。ら、くらぶさんなのねー。意外な役者で感じ方がとても似ていることがあるくらぶさん。スタイルズに関してもまったく同じみたいよ。「プリティ・ガール」の彼女いいよね。これがマンディ・ムーアやリンジー・ローハンだったらめちゃつまんない作品になったことでしょう。これからますます期待の女優ですね。
2005/10/27(木) 午後 9:31 [ mekabucchi ]