ピーター・サースガード2006年01月28日 18時09分35秒

ニュースの天才(2003)
PETER SARSGAARD  1971/3/7 USA

初見は「ボーイズ・ドント・クライ」かと思っていましたが、彼の映画デビュー作「デッドマン・ウォーキング」で見ていました。といっても、森の中で殺されてしまったカップルの一人で回想シーンで数回の登場なので憶えていませんでした。再見で確認。ひたすら彼女と自分の命乞いをする青年で哀れにも泣き叫ぶうちに殺されてしまいました。

「ボーイズ・ドント・クライ」のぶちぎれ具合が激しい恐ろしい男の印象が強かったのですが、その後はなんだか全然別人。赤ちゃんみたいなふにゃっとした顔をしていてとてもキレたら怖い男にキャスティングされるようには見えなかったのですが・・・いやいや、サースガードはひとくせもふたくせもある演技派だったことが判明。
「K-19」で若い原子炉担当の下士官として乗り込んできた彼はいかにも頼りなげ。原子炉事故によって誰かが被爆覚悟の処理にあたらなければない時はびびってしまう。「K-19」の乗組員はサースガードのような若者が大半。いかに残酷な事故だったか、実際に起こったこともあって若手の俳優の演技にはかなり悲哀を感じましたが、ハリソン・フォード主演なんだよねぇ。

「夢見る頃を過ぎても」は一筋縄ではいかない役どころでいかにも彼らしい。作品的にはそんなばかな的なストーリーではあるがキャスティングが面白いのでまあいいかぐらいの印象。
赤ちゃん顔の笑顔炸裂なところを見せておいてこの展開は、サースガードを知っていた私には読めてしまったのですが、まあいいでしょう。この二面性は今後も使われることと思われる。

ところが「ニュースの天才」の彼は今までにない地味な役で意外。「ニュー・リパブリック」の編集部でみんなから信頼を得られていないのを判っている新任の編集長。スティーヴン・グラスの記事捏造事件に編集長としてあたらなければならなくなる。その苦悩ぶりは抑えた静の演技で見事だった。グラスの記者生命も救ってやりたい最初の苦悩と、救えないほどの大事で「ニュー・リパブリック」をどう守ったらいいのか、編集部員にどう納得させたらいいのかその変化も演じていて難しかったろうなと思う。自信なさげな顔から厳しい決断を下す時までの表情の変化は見事。と思ったらこの役で彼はかなりの評価を受けた模様。色物じゃなくてこういう役が物をいうらしい。

もう1本「赤い部屋の恋人」のサースガードも見応えあり。人間づきあいの下手な超インドア人間の彼は一人のダンサーを買う。一週間ベガスで一緒にすごす契約だがセックスはなしという条件付。次第に互いに恋してしまうかに思えたが・・・という彼には珍しい官能的な話だがそう簡単な話じゃない。
なんともまた頼りなげな世間を知らなさ過ぎる彼があまりに悲しい。そんな切ない表情を見せるのがサースガードの魅力の一部じゃないだろうか。

「ニュースの天才」以降、オファーが続々らしく新作の話題が絶えない。なかなか面白い作品をチョイスする人なので期待大。
まずはリーアム・ニーソンの「愛についてのキンゼイ・レポート」だろうか。ちょっとクラシックな雰囲気だが今度は善側か悪側か?サースガードの場合、どちらもいけるので開けてみるまでのお楽しみにしておこう。

初出:2005/7/27(水) 午後 9:00


既出:コメント

偶然「夢見る頃を過ぎても」を見たところです。ネタバレになるといけないので感想には彼の名前を出さなかったのですが(苦笑)ある意味キーマンでしたね。 見た目と中身のギャップは、彼の得意とするところなんですか?
2005/7/28(木) 午前 8:21 [ 哀生龍 ]

サースガードに注目して頂いて、本当に嬉しいです!私は「ニュー天」で初めて認識して以来、観られる出演作を片っ端からチェック中です。チャック役では少々ぽっちゃりさんでしたが、ルックスよりも演技が気に入ってしまって。大仰でない抑えた演技なのに、内心の葛藤を本当に上手に表現していたと思います。仰るようにどんな役でもまかせて~って感じですよね、こちらも次はどんな役をするんだろうと楽しみです。ぽわーっとしていかにも頼りなげですが、底知れぬ変態度と言いますか、限りなくクセありな稀に見る逸材だと思っております!
2005/7/28(木) 午前 10:06 [ macalius_club ]

りんさん、くらぶさんのコメントのとおりサースガードはかなりクセものアクターです。演技力はお墨付き。ザーンも出ている「ニュースの天才」を是非!くらぶさん、サースガードへの愛情溢れるコメントすばらしいです。ありがとう!
2005/7/28(木) 午後 10:39 [ mekabucchi ]

コメント

_ ニャンコ ― 2006年03月08日 16時29分35秒

ここはとても楽しいところですね。P・サースガードは「ニュース・・」でうまい俳優だなと思って、またまたビデオ見まくりました。(クレッチマンといっしょ)「キンゼイ・・」「ジャーヘッド」みてきました。大げさではない演技でうまい!舞台で鍛えているからでしょうね。これからも楽しみです。「フライトプラン」はDVDまで待ちます。

_ めかぶ ― 2006年03月08日 21時34分56秒

ニャンコさん、ありがとうございます。
楽しんでいただけて嬉しいですー。
「ジャーヘッド」の彼も良かったですねー。
「赤い部屋の恋人」が一番のお薦めです。機会があったら是非観てやってください。サースガード演技全開ですので。

_ ニャンコ ― 2006年03月09日 17時25分48秒

「赤い部屋・・」観ましたよ。さっぱりわからなくて・・。もう一度レンタルしてみます。とても複雑な演技をしていたように記憶してますが。欧米の俳優さんてどうしてこんなに次から次に魅力のある方が出てくるんでしょうね。鑑賞に堪える方ばっかり。(誉めすぎでしょうか)

_ めかぶ ― 2006年03月11日 10時20分00秒

ニャンコさん、ごめんなさいねー。
「赤い部屋・・」は確かにストーリーの顛末がわかりにくいので評価は分かれるかもしれません。映画は観る人なりに感じ方が違うもの。私も自分なりの観方をしたように思います。だから気にしないでね!
ただこれのサースガードが見事だなと思ってるんですよ。サースガードに興味を持った方が他にもいてくださっただけですごく嬉しいです♪

_ 哀生龍 ― 2006年06月03日 00時01分52秒

ショート・ショートにコメント頂き、ありがとうございます♪
そうか、“赤ちゃん顔の笑顔”と言うんですね。 あの柔らかい笑顔は☆
哀生龍は特に、喜怒哀楽が変わる瞬間の表情が、大好きなんです!
なんだかんだと言いつつ、ずっぽりハマって海外作品にまで手を出す始末。
“THE DYING GAUL”も凄く良いんですよぉ~♪
あぁ 見せてあげたい!
ショート・ショートも、サースガードとしては4作目だったんですが、彼のネタはいくらでも書けそうですよ(笑)

_ めかぶ ― 2006年06月03日 09時44分47秒

>彼のネタはいくらでも書けそうですよ(笑)
わかります。(笑)
ぼけーっとした無表情からあのほんとに赤ちゃんみたいな笑顔になるか狂気に走るかまったく予測がつかないところが彼の魅力。
どんな作品で彼が出てるのならと期待してしまいます。
りんさんおすすめのそれ、DVD環境が許せば観てみたいわ~。

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