ティム・ロビンス2006年01月28日 09時53分53秒

ショーシャンクの空に(1994)
TIM ROBBINS  1958/10/16 USA

この人に注目したのは「ショーシャンクの空に」。最初がこれだった。作品も大好きでいまだに人に薦めるならこれは絶対に外さない。
長身に似合わぬ童顔。どこかぼーっとした印象があってどちらかといえばハンサムなくせにその出演作はひとくせもふたくせもある。自ら監督も手がける作品は超社会派。政治的オピニオンを持っていて堂々と言動に表していてハリウッドでも代表的なインテリ俳優。パートナーのスーザン・サランドンとは価値観が同じなんだろうな。彼らくらいなるほど納得なカップルはいない。

「ショーシャンク・・・」で目を引いてその後に観た「星に想いを」「プレタポルテ」「未来は今」「さよならゲーム」はどれもその童顔ぶりがいかされた “ぼーっとした”感じが活かされたキャラクターでこういうタイプの俳優なんだと思っていた。たまたまこのタイプを続いて観てしまったので、その後「ボブ・ロバーツ」「ジェイコブズ・ラダー」を観た時のびっくりしたのなんのって。以降普通の役を観ることは少なくなった。(笑)
社会派作品、SF、コメディ、青春ドラマ、サスペンスとなんでもやってくれるが演じるキャラクターが風変わりなものが多い。「ハイ・フィデリティ」「ヒューマン・ネイチュア」「シャレード」なんて目を疑った。最新作「宇宙戦争」もどうかと思うが・・・。

作品の選び方が良く判らないんだけど本人はいたって楽しそうだ。「オースティン・パワーズ:デラックス」や「サベイランス」なんてさぞ楽しかったに違いない。インテリな彼のこと腹の中ではニヤニヤしてたんだろうなと。
監督作品は社会派作品一辺倒。スーザン・サランドンとの共同作品の趣でなかなかのものだが「クレイドル・ウィル・ロック」で見せた楽しさが私は気に入っている。社会的皮肉も込められていながら映画の娯楽的要素もふんだん。集まった豪華なキャスティングも彼の人柄の表れではないだろうか。

バラエティに富んだ作品の数々だが、演技力あってのものだと思う。しかし評価されたのは近年の「ミスティック・リバー」が久しぶりのこと。「ラスト・サムライ」の渡辺謙と比べたら彼が上を行くのは私には当たり前に思えるけどまあそれは別の話。評価された記録が残ってもいい人だと常々思っていた。
この人は不安そうな表情がなんともいえない。悲壮感が漂うと言うか、こっちまでざわざわした気分になってくる。ちょっと人格が破綻したような役にオファーが来るのも納得と言えば納得なんですな。
最近観た「CODE46」はそんな彼を象徴するような彼だった。初期の頃からご無沙汰だったラブストーリー。しかしSFでもあり監督はマイケル・ウィンターボトムということで一筋縄ではいかないがそこがなんとも彼らしい。しかも相手はサマンサ・モートン。この主演の二人と監督の組合せは抜群。この不思議な世界を是非。ラブストーリーとしてほんわかした気分になるか、切なくて悲しくなるかは観た人次第という作品。お試しを。

初出:2005/7/10(日) 午後 7:02


既出コメント:

私もアカデミーは、絶対謙様より、ティムが受賞すると思ってました。いろんな作品に出てるんですね。ショーシャンクとヒューマン・ネイチャーぐらいしか見たことなかったもので。(^^ゞ「CODE46」は拝見しました。独特の世界ですね。私は、切なかったです。
2005/7/13(水) 午後 11:08 [ tabou ]

たあぼうさん、こんにちわ。レスが遅くてごめんなさい!最近の独特な役が目立つ彼ですが、初期のかわいいティムも是非見てやってください。印象が変わるかもですよ。勿論今の演技力全開のティムもいいですけどねー。
2005/7/18(月) 午前 1:34 [ mekabucchi ]

ティル・シュヴァイガー2006年01月28日 12時01分53秒

出展不明
TIL SCHWEIGER   1963/12/19 ドイツ

近年の若手ドイツ人俳優で最初に注目したのが彼だと思う。最近になって日本で観られるドイツ映画の本数が増えてきたこともあってもっと新しいドイツ人俳優を知る機会が増えてきたようだが、やっぱりハリウッド進出組の勢いはそれに勝る。
シュヴァイガーとトーマス・クレッチマンがその代表だろう。この二人はとうとうハリウッド映画でドイツ軍人役で共演した。「Uボート最後の決断」がそれだが、ドイツ人だけのシーンではドイツ語を使うなど結構良心的な作りで、潜水艦ものにしてはドラマティックなストーリーで珍しい人間ドラマだった。ハリウッド映画での対ドイツの考え方も40年くらい前の戦争映画のままではいられなくなったということだろう。

話はそれたが、シュヴァイガーをはじめて観たのは超ハリウッド映画の「ドリブン」である。なんとスタローンもののカーアクションでライバルチームのドライバーだった。世界を転戦するレースの世界が舞台とあって国際色を出したかったためのキャスティングだったのだろうか。強面のシュヴァイガーはクールで熱い男をそれらしく無難にこなしていたように思う。注目に値したのはまさにその強面。アメリカンボーイの典型のようなキップ・パルデューとの対比が抜群に効いた。アメリカ人じゃないぞ!と言わんばかり。もっと観たくなったのは可愛らしいパルデューじゃなくてシュヴァイガーだったのだ。

で、次に観たのがドイツ映画の「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」。彼を知るならやっぱりこれだろう。これで彼にはまる人が続出するのが想像できる。やっぱり只者ではなかったか。ここでの彼はレーシングドライバーのようなヒーローじゃない、必死に“生”を生きている生身の人間だ。
もう1本ドイツ映画で印象に残ったのが「レボリューション6」ちょっと切ない青春映画の趣だが大人顔のシュヴァイガーが少年を感じさせるいい顔をしている。強面のくせに笑顔が意外と子供っぽい。すねたような表情も見せていてこれは新しい彼の一面を見た。

こんな彼の個性をハリウッドでもうまく使ってくれればいいんだけど、この国の脚本はドイツ人というだけでキャスティングされるようなありきたりの役ばっかり。シュヴァイガーに関しては国際色を豊かにしたいという感じの作品にお呼びがかかることが多いよう。「トゥームレイダー2」や「キング・アーサー」などがそう。しかしあのメイクと衣装でステラン・スカルスゲールドの息子役とは恐れ入った。各国から選りすぐりの俳優を集めといてなんてことさせるんだと思ったわ。

つい先日に観た「セックス調査団」にはちょっと興味を引かれた。米国映画だと思われるがアラン・カミングやジュリー・デルピーなどハリウッド進出組の欧州役者と共にキャスティングされている。タイトルから想像するには程遠いインテリ臭いもとが舞台の地味な作品。
が、しかしその中でシュヴァイガーはなかなか好色なところをみせてくれる。といってもエロエロじゃなくてどこかコミカルで笑っちゃう。この手のシュヴァイガーは珍しいかも。

最近レンタルの棚によく彼の出演作が並んでいる。まだ未見のものが多いが、ドイツ作品の旧作かそれともハリウッドか知らないがアクションが多いのかな?何にしてもファンには嬉しいことだろう。欧州の外国人俳優は人気がかなり出ないと日本ではなかなか観られないんだから。
比較的良心的だった「Uボート 最後の決断」のような作品が増えるといいけどね。

ついでだが最近出てきたドイツ人俳優で他に目に付くところでは「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュールがダントツだろう。まだまだこれからの俳優で先が楽しみ。「ラン・ローラ・ラン」「es」のモーリッツ・ブライブトロイ、「アナトミー」のセバスチャン・ブロンベルグなどは注目だ!ミニシアターってありがたいわ。今後もこの手の作品をどんどん配給して欲しいですな。

初出:2005/7/18(月) 午前 1:28


既出コメント:

強面で少年ぽさもあってイメージより高い声(笑)ティルは“ドイツ人”のイメージ通りでもありイメージを崩す存在でもあり!それなのに国外の映画での扱われ方は、めかぶさんが書かれている通り(涙)「Uボート~」は本当に良心的な作品なので、みんなに見てもらいたいですね!「セックス調査残」は米独合作でした。
2005/7/18(月) 午前 9:24 [ 哀生龍 ]

「セックス調査団」で実は結構あるらしいティルのコメディの一面を見ました。アクション俳優っぽい扱いが目立ちますが今後に期待しましょう。りんさんのティルコミュにもごあいさつに行ってきました。よろしくねー。
2005/7/18(月) 午前 11:57 [ mekabucchi ]

ここにもティル君がいいと言ってくださる方が、いらしゃって嬉しいです♪日本で見られる彼の作品は、アクションものが多いかな?めかぶさんのいうとおり、笑顔は少年っぽくってすっごく可愛いんですけどね。ティル君=コメディーって図があの顔から想像しにくいのかもしれませんね。(笑) 2005/7/18(月) 午後 1:17 [ tabou ]

めかぶさん コミュへのご参加、有難うございます♪ これからもヨロシクです。 実はティルってコメディ・テイスト満載の人なんです(笑)日本で見られる作品だったら、「裏切りのKISS」「SLC PUNK!」あたりで多少は感じる事ができるかな?
2005/7/18(月) 午後 2:11 [ 哀生龍 ]

お堅いドイツ人役じゃない作品ももっと観たいですよねー。ティルを含めてドイツ人俳優に傾倒気味のこの頃。最近もう一人追加。「ウィンブルドン」でポール・ベタニーの親友を演じたニコライ・コスター・ワルドー。笑顔が優しい二枚目。(ビデオリリースの際は是非!)ところが「フォーリン・フィールズ」の戦士役ではまるで別人。ちょい強面でティルに似てるかもよ。
2005/7/20(水) 午後 11:34 [ mekabucchi ]

ミランダ・オットー2006年01月28日 17時59分26秒

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002)
MIRANDA OTTO 1967/12/16 オーストラリア

非常に地味な女優だが「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」と「・・・王の帰還」で一躍脚光を浴びた。
ローハンの勇ましい姫エオウィンとゴンドールの執政家の次男ファラミアは当初ウマ・サーマンとイーサン・ホークの予定だったというから驚きだ。ミランダとウェナムになってくれたのは私には非常にありがたい話だ。(笑)

ミランダもウェナムと同じオーストラリア人だが早くからハリウッド進出もしているし英国映画などにも出演しているのだが、彼女はインディーズ系でめちゃめちゃ個性的な役を選んできた感がある。メジャー作品となるとほんとに目立たない傍役で新作の「宇宙戦争」は最初と最後だけ、「ホワット・ライズ・ビニース」の暗~い隣人の奥さんを憶えている人がどれだけいるだろう?
「シン・レッド・ライン」ではベン・チャップリンの回想に登場する国に残してきた妻。戦場シーンと彼女の淡いシーンの対比が印象的だったがあれが彼女だったのだ。
「LOTR」がメジャーで初の大役といってもいいんじゃないだろうか。

オーストラリアでも米国でもインディーズ系のちょっと変わったテイストの作品に目が行く。オーストラリアの「ラブ・セレナーデ」や「女と女と井戸の中」。ストーリーもなんだか不可解だしオットーのキャラクターが???なんだろな?この女の子は。そういいたくなるどこかとっても不思議ちゃんな雰囲気がある。
米国でも「ヒューマンネイチュア」の似非フランス姉ちゃんも結構キテたと思う。ブロンドに真っ白な肌の彼女はセクシーな衣装がえらく似合う。派手目のメイクであのランジェリー姿はまるでお人形のようだ。なかなか小悪魔的で似合っているから恐ろしい。
ノーメイクで素朴な格好をしていてもどこか艶かしさを感じるのが彼女の個性だろう。インディーズ系作品にはその傾向が顕著に見られる。英国作品の「禁猟区」もそうかもしれない。アフリカで象の保護活動をしている超自然体の女性なのだがドレスや透けそうなシャツなんぞを無造作に着ている彼女はちょっとどきっとする。ストーリーはシビアだし都会育ちのアメリカ人との恋とアフリカでの生活の間で揺れるといういたって真面目なストーリーなんだけど、とんだ邦題タイトルも大胆なパッケージも誤解を生みそう。レンタルの棚はほぼ100%官能系に置いてあるに違いない。そんなことないのにと思いながらも、でもちょっと彼女は艶っぽい感じのする女優なのかもとも思う。

そんな彼女になぜエオウィン役が回ってきたのだろう?ほとんどノーメイクにクラシカルなドレスか甲冑姿で剣を振り回す勇ましいお姫様。戦いに参加することなく館に閉じ込められるような“檻の中”に生きることを恐れているという超勝気な性格。
実はミランダ自身がこのタイプなのかもしれない。インディーズ作品が多く、役の選び方が個性的なのもそのせいかもね。
勝気なお姫様は好きになる男もレベルが高く王家の血をひくアラゴルンに恋するもあえなく失恋。にこりともしない強気の姿勢がみるみるうちに恋する乙女まっしぐらになってしまうのがなんだか痛々しい。
結局失恋の痛みでこの世に未練が無くなったのか決死の戦いに挑んでいくも、王を失って自分は生き残ってしまい絶望の淵に立たされる。そこに現れたファラミアに熱烈なラブコールを受けてゴールイン。
このエオウィン姫はミランダには面白くってたまらないキャラクターだったんじゃないだろうか。

「LOTR」の後、女をまったく感じさせないような元気なキャラクターを演じた「フライト・オブ・フェニックス」で今度はアフリカの砂漠で長期の撮影。彼女も母国を離れてグローバルに飛び回っている。
今後メジャーにインディーズに活躍するだろうと思われるがただいま産休中。どんなお母さんになっちゃうのでしょう?あんまり落ち着かないでねー。

初出:2005/7/20(水) 午後 11:24

ピーター・サースガード2006年01月28日 18時09分35秒

ニュースの天才(2003)
PETER SARSGAARD  1971/3/7 USA

初見は「ボーイズ・ドント・クライ」かと思っていましたが、彼の映画デビュー作「デッドマン・ウォーキング」で見ていました。といっても、森の中で殺されてしまったカップルの一人で回想シーンで数回の登場なので憶えていませんでした。再見で確認。ひたすら彼女と自分の命乞いをする青年で哀れにも泣き叫ぶうちに殺されてしまいました。

「ボーイズ・ドント・クライ」のぶちぎれ具合が激しい恐ろしい男の印象が強かったのですが、その後はなんだか全然別人。赤ちゃんみたいなふにゃっとした顔をしていてとてもキレたら怖い男にキャスティングされるようには見えなかったのですが・・・いやいや、サースガードはひとくせもふたくせもある演技派だったことが判明。
「K-19」で若い原子炉担当の下士官として乗り込んできた彼はいかにも頼りなげ。原子炉事故によって誰かが被爆覚悟の処理にあたらなければない時はびびってしまう。「K-19」の乗組員はサースガードのような若者が大半。いかに残酷な事故だったか、実際に起こったこともあって若手の俳優の演技にはかなり悲哀を感じましたが、ハリソン・フォード主演なんだよねぇ。

「夢見る頃を過ぎても」は一筋縄ではいかない役どころでいかにも彼らしい。作品的にはそんなばかな的なストーリーではあるがキャスティングが面白いのでまあいいかぐらいの印象。
赤ちゃん顔の笑顔炸裂なところを見せておいてこの展開は、サースガードを知っていた私には読めてしまったのですが、まあいいでしょう。この二面性は今後も使われることと思われる。

ところが「ニュースの天才」の彼は今までにない地味な役で意外。「ニュー・リパブリック」の編集部でみんなから信頼を得られていないのを判っている新任の編集長。スティーヴン・グラスの記事捏造事件に編集長としてあたらなければならなくなる。その苦悩ぶりは抑えた静の演技で見事だった。グラスの記者生命も救ってやりたい最初の苦悩と、救えないほどの大事で「ニュー・リパブリック」をどう守ったらいいのか、編集部員にどう納得させたらいいのかその変化も演じていて難しかったろうなと思う。自信なさげな顔から厳しい決断を下す時までの表情の変化は見事。と思ったらこの役で彼はかなりの評価を受けた模様。色物じゃなくてこういう役が物をいうらしい。

もう1本「赤い部屋の恋人」のサースガードも見応えあり。人間づきあいの下手な超インドア人間の彼は一人のダンサーを買う。一週間ベガスで一緒にすごす契約だがセックスはなしという条件付。次第に互いに恋してしまうかに思えたが・・・という彼には珍しい官能的な話だがそう簡単な話じゃない。
なんともまた頼りなげな世間を知らなさ過ぎる彼があまりに悲しい。そんな切ない表情を見せるのがサースガードの魅力の一部じゃないだろうか。

「ニュースの天才」以降、オファーが続々らしく新作の話題が絶えない。なかなか面白い作品をチョイスする人なので期待大。
まずはリーアム・ニーソンの「愛についてのキンゼイ・レポート」だろうか。ちょっとクラシックな雰囲気だが今度は善側か悪側か?サースガードの場合、どちらもいけるので開けてみるまでのお楽しみにしておこう。

初出:2005/7/27(水) 午後 9:00


既出:コメント

偶然「夢見る頃を過ぎても」を見たところです。ネタバレになるといけないので感想には彼の名前を出さなかったのですが(苦笑)ある意味キーマンでしたね。 見た目と中身のギャップは、彼の得意とするところなんですか?
2005/7/28(木) 午前 8:21 [ 哀生龍 ]

サースガードに注目して頂いて、本当に嬉しいです!私は「ニュー天」で初めて認識して以来、観られる出演作を片っ端からチェック中です。チャック役では少々ぽっちゃりさんでしたが、ルックスよりも演技が気に入ってしまって。大仰でない抑えた演技なのに、内心の葛藤を本当に上手に表現していたと思います。仰るようにどんな役でもまかせて~って感じですよね、こちらも次はどんな役をするんだろうと楽しみです。ぽわーっとしていかにも頼りなげですが、底知れぬ変態度と言いますか、限りなくクセありな稀に見る逸材だと思っております!
2005/7/28(木) 午前 10:06 [ macalius_club ]

りんさん、くらぶさんのコメントのとおりサースガードはかなりクセものアクターです。演技力はお墨付き。ザーンも出ている「ニュースの天才」を是非!くらぶさん、サースガードへの愛情溢れるコメントすばらしいです。ありがとう!
2005/7/28(木) 午後 10:39 [ mekabucchi ]