ショーン・ペン2006年01月16日 08時45分52秒

ザ・インタープリター(2005)
SEAN PENN  1960/8/17 USA

以前はとても苦手なタイプの人だった。いつもとがっていてエキセントリックな役が多く観る者に強迫観念を植え付けるような挑発的な演技に、私はものの見事に呑み込まれて敬遠してました。

「タップス」「ロンリー・ブラッド」「カジュアリティーズ」の若い頃から「ステート・オブ・グレース」「Uターン」「カリートの道」「ギター弾きの恋」。どれもギザギザにとがった刃を他人に向けながら生きているような人物ばかり。その隙間に入ってこられたごく一部の人とだけ判り合えればいいというような生き方をする(しかできない)男を彼自身がそうであるかのように演じるペンは異彩を放っていた。
そんな彼に強烈に惹かれるか、私のように苦手だと敬遠するか結構はっきり別れるタイプの俳優ではなかっただろうか?
それまでの作品に私が好きなものは少ない。むしろ嫌いで理解できないものもある。中でも「シーズ・ソー・ラブリー」が私には理解できない。ペンとロビンの愛がとにかく激しい。どうにもならないほど愛し合っているのはわかった。が、
愛が強ければすべてを投げ捨てて、奪ってしまってもいいのか?なんでもありなのか?許す許さないの問題はさておいてもこれを心打たれるラブストーリーとは私にはどうしても思えないのだ。
周囲を寄せ付けないほどとげとげしいまでのふたりの愛をうらやましいと思うか、理解に苦しむかは人それぞれなんだけど・・・。ラブストーリーに点が甘い私がどうにも受けつけられなかったラブストーリーだった。

そんなペンが軟化した。年齢のせいか?いや円熟味を増したのか?2003年の「ミスティック・リバー」は激しいまでの気質を残しながらも家庭を持ち愛する人のために自分なりの決着をつける男はちょっと今までのとげとげしさが違う見せ方をしていると思った。ギザギザの刃は今でも確かにあるが常に人に向けているわけではなく内側に隠し持っているような感じがした。
そしてその後の「21グラム」「ザ・インタープリター」などへつながっていく。「ザ・インタープリター」の静かな彼にはかなりびっくりした。ニコル・キッドマンを容疑者として監視しながらもどこか守護天使のように優しい目で彼女のことを見ている。深い愛を感じることはあっても、ペンに優しさを感じたのはこれが初めてだった。ラストにはかっこよすぎてくらくらしそうだったぞ!(笑)

2005年の新作「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」では彼の今を観た気がする。
平凡ながらも強い信念を持ち、それを譲れないがために怒りが蓄積していき、狂気にかられてついには強行におよぶ。一人の小心者の男が愛情に飢え、人に理解してもらえず、社会に報われることなく、怒り哀しみを爆発させてしまう。
ペンの昔から持つ激しさと内に秘めた弱さや哀しさのバランスが絶妙で今までで最高の彼を見た。
彼の演じる主人公が悲しすぎてかなり胸の奥まで染み込むような重さが後々まで残ったが嫌な作品ではない。ペンの演技も作品全体としてもかなり心に残るものになった。

あんなに苦手だったペンが今では重厚な演技がいやらしくなく見られる俳優の一人だと思える。好き嫌いははあるけれどやっぱり力のある役者だったのだなと認めざるを得ない。
でも・・・やっぱりキレないペンのほうが私は好きだけどね!

初出:2005/6/21(火) 午前 0:28


既出コメント:

マドンナの暴力夫のイメージがずっと強かったんですが、今では大好きでっす。 実力派の俳優としても素晴らしいと思うし、作家性も好きなんですー。ショーン・ペンの監督した3作にも惚れました。 アウトローなところも好き。妻もステキだしー。キレた演技もいいけど、『ギター弾きの恋』などもかわいくてよいかな。 私もリチャ・ニクを観に行かねばー。
2005/6/24(金) 午後 0:55 [ caeru_noix ]

かえるさん、こんにちわー。確かに過激な素行の話題もにぎやかな人だったのでその点もキレた演技とあいまって苦手感が拭えなかったというのがありますね。ちょっとまるくなってきたかと思われるのはロビン夫人の影響もありでしょうかねぇ。そういうロビンもキレた役が結構ありますけどね。何か通じるものがあるんでしょうな、このふたり。
2005/6/25(土) 午後 7:39 [ mekabucchi ]

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