ナイロビの蜂2007年03月06日 07時54分06秒

ナイロビの蜂(2005)
ナイロビの蜂 CONSTANT GARDENER
2005 英 監督:フェルナンド・メイレレス
レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ ダニー・ヒューストン ビル・ナイ ピート・ポスルスウェート

外交官のファインズと運動家のワイズは出会って幾らもたたずに恋に落ち結婚。ファインズの任地であるナイロビに暮らしていたが社会運動を続ける彼女はある日出かけた先で無残な遺体となって発見される。ファインズは事件の真相を追う決意をする。

"THE CONSTANT GARDENER"は直訳すると"誠実な庭師"。製薬会社による人体実験という社会問題的には大きなテーマを扱っているがこれは十分にラブストーリーだ。内気な情熱家のレイフ爆発。荒れまくったレイチェルの家の庭を激情に駆られて掃除し始めた時のgardenerのレイフに胸が詰まって大変だった。そこから真相の究明に立ち上がる決意をしたわけだ。
"生まれついての革命家"の彼女とそういう彼女に惹かれた"誠実な庭師"のレイフ。そのままの彼女を愛しているから踏み込まない。そういう彼を愛しているから巻き込まない。結果、お互いに苦しみを抱えてる部分もあったりして見ていて歯がゆくていらいらする。しかし、だからそういう形もありなんではないかと思った。だからこそレイフの決意後の行動に説得力があると。
単純にラブストーリーを観たとまでは言いわないが、でもやっぱりとても愛を感じる映画だ。レイチェルの最高に美しい姿が目に焼きついているのはレイフ演じる夫の目で見た愛する妻の姿だからなのだ。

大自然の風景(不毛で絶望的にも見えますが)の中に貧困や大きな力に食い物にされる弱い国民たちの姿。この映画といい「ホテル・ルワンダ」といい、アフリカの貧しい国々に大きな絶望を感じてしまう。原色っぽい太陽や埃を感じる映像が「シティ・オブ・ゴッド」の監督作だった。納得。メイレレス監督の映像は社会問題部分がリアルに浮き彫りなのにこれだけラブストーリーと一体化してるのはすごいと思う。

親密すぎるうちあけ話2007年03月06日 11時01分22秒

親密すぎるうちあけ話(2004)
親密すぎるうちあけ話 CONFIDENCES TROP INTIMES
2004 仏 監督:パトリス・ルコント
ファブリス・ルキーニ サンドリーヌ・ボネール アンヌ・ブロシェ

ボネールはカウンセラーと間違えて税理士のルキーニの事務所の扉を叩いた。間違いだと言えないままボネールのうちあけ話を聞いてしまうルキーニだが、後日、間違いに気づいても彼女は話を聞いてもらいに彼を訪問し続ける。

サンドリーヌ・ボネールの時にも述べたのだが、キスも抱擁のひとつもないのにこの官能的な雰囲気は何なのだろう?と。今思えばこれがルコントらしさなのかなと。今までに観た(そんなに多くはないが)ルコント作品は私にとって“雰囲気のあるフランス映画”の典型だった。物語が好きな私は雰囲気で楽しむということになかなかなれなくてルコント作品はどちらかといえば苦手だったといえる。今作は観終わってから「あ、これってルコントだったんだ~」と気がついた。私としては初めての気に入ったルコント作品になったらしい。もっともルコント作品の中でも本作はわかり易いほうではないのかな?(笑)

ボネールがとても魅力的なのは前にも述べたが、ルキーニもステキ。彼も地味で体裁もいまいちな中年男から外見は勿論だが自信で内側から輝きを見せるような男に変わっていく。彼の過去作は未見で今回初めてだったがフランスの名優を知ることが出来てよかった。あのダンスは必見。かっこいいわ~。(笑)

お互いに癒し癒されて最初と最後では二人とも服装も表情も全然別人のように変わっていくこの劇的な変化が見事だ。
そしてこのストーリーに非常に効果的な光の使い方、アングル、映像にものすごく魅せられた。
ボネールの喉元のピンボケで揺れる映像。ラストのカウチに並ぶルキーニとボネールを天井から見たアングル・・・。
どれも目に焼きついている。雰囲気を楽しむということはこういうことをも言うのかな~と。

レイヤー・ケーキ2007年03月06日 12時53分17秒

レイヤー・ケーキ(2004)
レイヤー・ケーキ LAYER CAKE
2004 英 監督:マシュー・ヴォーン
ダニエル・クレイグ コルム・ミーニー マイケル・ガンボン シエナ・ミラー デクスター・フレッチャー ジェイソン・フレミング マーセル・ユーレス

麻薬密売人のクレイグは小規模で手堅い商売をしていたが引退を目前にやっかいな取引をすることに。次々とトラブルが重なり彼は窮地に追い込まれていく。

「レイヤー・ケーキ」とは階層社会を意味するらしい。上はクリームで飾りつけられて甘く美しいが下は穴の開いた旨みの少ないスポンジ。これが裏社会ならなおさら顕著なわけで・・・。

同年に007が控えているクレイグだがやっぱり彼はこういう小品が非常に良く似合うと思う。ハードめのクライムサスペンスだがめっちゃかっこいいかというとそうでもない。うまくやったかと思ったら、間抜けにもボコボコに殴られたりするのだけどそこが人間臭くていいんだな。ルックスが超かっこいいわけじゃないから逆に人間臭い役で魅力が出るんだと思う。
メジャー級になってもこの路線は捨てないで欲しい。っていうか、たぶん捨てないと思うけど。
とかいって生で見たクレイグはブロンドに吸い込まれそうな青い瞳。カメラを向けられた時の表情はさすがにプロ!めっちゃかっこよかったっすけどね。

えらく渋めのキャストで固められているがクライムサスペンスやバイオレンスものにお約束のきれいな姉ちゃんが登場。本作ではシエナ・ミラー。私、この人の顔がどうにも憶えられない。ほんとにただのきれいな姉ちゃんなだけで印象が薄い。ちょっと前はそれがサフロン・バロウズだった。5,6本観てようやくわかったかな。彼女はどうだろう?他には「アルフィー」しか観てないけど何かと話題になってるから雑誌とかで見てるんだけどねえ。次は「カサノバ」か。

英国らしいスタイリッシュな映像はスチュワート・サッグ監督、ステラン・スカルスゲールド主演の「キス・バン」を思い出した。加えてデュラン・デュランの懐かしい曲をを起用したりする音楽の使い方もかっこいい。気に入るわけだ。サントラはお薦めです。
それにしても"ORDINARY WORLD"のあの使われ方って・・・(笑)。人によって受け止め方はいろいろだと思うが私は好きよ♪