華麗なる恋の舞台で2007年03月18日 23時24分25秒

華麗なる恋の舞台で(2004)
華麗なる恋の舞台で BEING JULIA
2004 カナダ・英・米・ハンガリー 監督:イシュトヴァン・サボー
アネット・ベニング ジェレミー・アイアンズ ショーン・エヴァンス マイケル・ガンボン ブルース・グリーンウッド ミリアム・マーゴリーズ ジュリエット・スティーヴンソン トム・スターリッジ ルーシー・パンチ モーリー・チェイキン ローズマリー・ハリス

夫(アイアンズ)の経営する劇場の看板女優ジュリア(ベニング)は変化のない毎日にうんざり。そんな彼女をときめかせたのは息子ほど年下の男(エヴァンス)。年甲斐もなくたちまち恋に落ちてしまう。その恋は彼女を輝かせはしたが、同時に嫉妬や紛れもなく訪れる恋の終わりの苦しみをももたらし、恋する以前にも増して自身の輝きを失ってしまう。

何を思ってか、都内の劇場で日曜日の最終回に足を運んで帰ってきたばかりです。ちょっと今回は忘れないうちに~♪
ニュアンス的にネタバレ気味です。ご容赦ください。

富も名声も、理解ある夫も、自身に備わった実力もあるのに"退屈"という危険な落とし穴に落ちてしまった女優。しかも年下の美しい青年との恋だなんて、なんて贅沢を言ってるんだ!それで勝手に落ち込んだ挙句にこれでもかってやり方で立ち上がるなんて!と人によっては思うだろうな。確かにそうなんだが、私は違う観点でこの映画を観た。

女優という華やかな世界に生きる女が主人公なのでことが大袈裟で派手なのだが、シンプルに考えるとこれは人生経験を積んできた女性の生き方の物語だと思う。
何らかの理由で叩きのめされるほど落ち込んでしまった時、自らの輝きを失ってしまった時、あなたなら何を支えに立ち上がりますか?

ジュリアはショックと落ち込みがスランプになり演技に影響が出てしまう。慰めてくれる夫にも当り散らすが、そんな彼女にも夫は実に優しい。彼女の本質をわかっているから、立ち上がることが出来ることを知っている。
夫だけではない。いつも仕事の顔をしている母にうんざりしつつも彼女の素晴らしさを認めている息子。常日頃から彼女を見つめ支えてくれる付き人のエヴィ。常に側にいなくても彼女を見守り信じ愛し続けてくれる友人のチャールズ卿。
彼女には信じてくれる人がいた。周囲から何を言われようと、どんな目で見られようと、彼らがいたから彼女は立ち上がることが出来たのだと思う。

年齢と共に自分が重ねてきたその年月は決して無駄に重ねてきたわけではない。自分を輝かせるために費やしてきたはずだ。自分が頑張ってきたものがあるのならば、そこから生まれた自分の輝きを見てくれている人は必ずいる。どんなに失敗しても、道を間違っても、頑張って立ち上がるのに応援してくれる人は必ずいる。

そのためには自分が頑張ってきたと思うだけのものがないといけないんだけど、そこがねえ~(笑)。正直言えば、自分にはあるかなあ???って感じ。もっとああすればよかった、こうすればよかったなんて後悔ばかりで今の自分に自信が持てるとは言えないかも。
が、しかし!今からでも遅くはないんでないか?今、この時でも頑張れば、その姿を見てくれる人だっているんでないか?
うん、いてくれると思う。いるよ、ね?(笑)

そんなことまで感じてしまった今回の鑑賞。ここまで突っ込んだ観方をしてしまったが、いやいや、基はと言えばジュリアを演じたアネット・ベニングが素晴らしい輝きを見せていたから。小じわの目立ち始めたその顔は年齢は隠せないが、それを補って余る魅力十分の女性だ。疲れた表情はシワだらけでも、嫉妬に狂えば醜くなっても、自分に自信があるときの内からにじみ出る輝きはとても美しい。
そして私が大好きなのは、彼女の快活な笑い方。大口開けて豪快に声を上げて笑う。決して醜くない。爽快で心から楽しそう。いくつになってもこの笑い方、失くさないで欲しい。

ラスト、自分自身のために大好きなビールを大きなグラスで、豪快に、そしてとってもおいしそうに飲む。
めっちゃかっこいい!私もそう見えるようになりたいです~♪