スティーヴ・クーガン2007年03月30日 13時35分36秒

24アワー・パーティ・ピープル(2002)
STEVE COOGAN  1965/10/14  UK

イギリス・マンチェスター出身の俳優兼コメディアン。プロデューサーでもあり脚本家という多彩な人。
私が彼を知ったのは「24アワー・パーティ・ピープル」。マンチェスターでTVの音楽番組司会者をしていたトニー・ウィルソンという実在の人物の役でこいつがまたエキセントリックで強烈な奴。70年後半~90年にかけて、インディペンデント・レーベル「ファクトリー」を創立、ダンス・クラブを経営したものの、儲けた金の使い方を間違えて結局全てを失った・・・。めちゃめちゃ面白い人物をあの病的な細い、爬虫類を思わせる顔でキレまくる彼は見ていて楽しかった。彼を見てイギリス人って面白いなー、と思った。といったら怒られちゃうかな?(笑)

キャラクターは面白いけど、内容は結構マジだった「24アワー・パーティ・ピープル」。それまでのクーガンを全然知らなかったので舞台とかやってる人なんだろうと思っていた。英国の舞台っていうとシェークスピアとかが無条件で浮かんでくるので彼もそうだろうと・・・。だから、次に「80デイズ」って聞いただけでも???だったのに、ジャッキー・チェン相手にドタバタしてるのを見て仰天したのなんのって。
知らないというのは恐ろしい。イギリスでは「アラン・パートリッジ」というコメディ・シリーズで、超有名なコメディアンだったとはね。道理で台詞の間は絶妙だし、くるくる変わる表情や台詞の言い回しが非常に面白い。スタンダップコメディアン出身だというのも頷ける。
しかし、ジャッキー・チェンとの組合せというのは予想外だったけどね。「80日間世界一周」のリメイクだが現代らしいコメディの面白さでそこそこ面白かったんでは?オリジナルと比較してぐだぐだ堅いこと言うなよ♪ぐらいの愛嬌のある作品だったと思う。

「コーヒー&シガレッツ」の一編では、アルフレッド・モリナと二人だけの会話劇。ちょっと辛辣なブラックコメディ。人を見下した業界人間の嫌らしさたっぷりな人物を体現。掌返したように下手にまわった時の表情や口調の変化、最後に悪態つくまでのクーガンがほんとに笑える。このオムニバスの中ではこれが一番面白かった。

新作の「ナイト・ミュージアム」では、博物館の動き出すミニチュア人形でローマ帝国の帝王オクタヴィウス。あんなかっこしてるのに似合うと思えるのは何故?(笑)
ちびっこいくせにプライド高くて、子供の喧嘩みたいなカウボーイのオーウェン・ウィルソンとコンビぶりがめちゃめちゃ楽しい。ウィルソンは「80デイズ」にもちらりと出ていたけどコメディ作品仲間としては相性がいいのかな?

そんなわけですっかりコメディ俳優なのかと思えば、「マリー・アントワネット」では陰ながらマリーを支えるオーストリア大使なんて、今度は大マジ。マリーにとって、夫であるルイ16世さえ当てにならない異国で、表立って庇うことは出来ないし、世継ぎをせっついたりもするが、たぶんに心強い故郷を思わせる唯一の存在だった彼。形式ばった中にも、マリーにはちらりと優しい表情を見せていたと感じたのは私だけかなあ。

私が知ってるクーガンは以上でしかない。「アラン・パートリッジ」シリーズは観てみたいなあ。超人気のキャラクターがいくつかあるんだそうだ。「モンティ・パイソン」みたいなものなのかな~。
英国人俳優を取り上げることは多々あったが、この手のコメディ気質の人は初めてかな。今後も注目したいが、やはりハリウッド作品中心になるのだろうか。「24アワー・パーティ・ピープル」のように英国作品での彼もまた観たい。